PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White   作:鈴夢

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それぞれの目的(2)

 

 

 

((しまった…!))

 

背中に強い衝撃が走ると同時に

体が前方に思いっきり吹っ飛ぶ。

 

体勢を戻す前に、傭兵達に体を取り押さえられれば

壁に押さえつけられ身動きが取れない。

 

「ん…ぐっ…」

 

強い衝撃を受け、タイミングが悪くいつもの頭痛に襲われてしまう。

舞白を背後を取り、蹴り飛ばした男が

目の前に現れる。

 

 

大柄でスキンヘッド

…顔に刻まれた傷…

 

 

「また会ったな、銀髪の女」

 

聞き覚えのある声

やはり、昨夜の男に違いなかった。

 

「……あんたが…ここのボス?」

 

男、アブドルは口元を緩ませ

舞白の目の前へしゃがみ込む。

 

サラサラと白い髪の毛に触れれば

グッと掴みかかり、強引に持ち上げる。

 

「……ッ……」

 

「昨夜はやってくれたな、お嬢さん

おかげでおもちゃ達が逃げてしまったよ」

 

「…下衆野郎……

あの人たちはおもちゃじゃない、人間よ

あんたと同じ血が通った人間…」

 

舞白は怯むことなく相手を睨みつける

それを面白がるように、アブドルは更に掴んだ髪の毛に力を入れる。

 

「同じ人間?笑わせるな

…俺たちはアイツらとは違う、弱い奴らは奴隷になる運命なんだ」

 

「………ふふふ」

 

「何がおかしい?」

 

まるで狼のような鋭い目付きを向けたまま

口角を緩める。

 

 

 

「あなただって、元々は迫害を受けてきたんでしょう?

薬、金…、くだらない権力を手にして

ただそれの真似事を繰り返してるだけ…

真っ当に生きている人間の方が強いわよ、あんた達は

群れを生して偽りの強さを見せているだけ、

…本当に弱いのはあんた達よ!」

 

その瞬間、体を思いっきり捩らせアブドルの顔面目掛けて蹴りを入れる

突然のことに怯んだ相手は、舞白の髪の毛から手を離す。

 

体を押さえつけていた傭兵を、いとも簡単に振り払えば

小銃を懐から取り出す。

 

 

((…もう少し、引っ張るのよ

そうすれば霜月さんは無事逃げられるはず…))

 

その場から逃げることも出来るが

あくまでも今は時間稼ぎに徹する。

 

しかし、その考えが舞白を窮地に陥れることに。

 

まだ若干視界が歪みふらっとよろけてしまう

その隙を取られ、アブドルの容赦ない攻撃に襲われてしまう。

 

圧倒的体格差、体術のレベルの差はないにしても

明らかに今の状態は不利だった。

 

「…くだらない権力…?

弱いのは俺達だって?」

 

怒りに満ちた男の表情は恐ろしいものだった。

ほかの傭兵たちも近づかず、ただ2人を傍観しているだけ。

 

((視界が…ぼやけて…))

 

何やらふらふらとする舞白の隙を見つければ、

男の強烈な拳が舞白の腹部に命中する。

 

 

その衝撃で部屋の扉を突き破る舞白の体。

廊下の岩壁に頭を強打すると、頭上から赤い鮮血が滴り落ちる。

 

 

「ゲホッゲホッ…

…まずい…」

 

破壊された扉から現れるアブドル、

手から離れた銃は遠くへと転がっていた。

 

「よくこの俺をここまで追い詰めたな女…

傷をつけられたのは何年ぶりだろうな」

 

舞白が振るったナイフが首に傷を負わせていた

しかし浅く、致命傷にはなっていない

 

 

((……こっちはマズイけど

霜月さんは…バレずに逃げれたみたい、よかった…))

 

ホッと安堵したのもつかの間、

男の大きな手が舞白の首を掴めば力を込める。

 

 

「んぐっ……」

 

細い首を簡単にひと捻りにできるであろう手の大きさに力

メリメリと指が喰い込んでいく。

 

 

「あの日本人の女を逃がしたのはお前だな?

どこへ逃がした?目的は?」

 

「……ぃ…わな…い…」

 

更に力が込められる。

徐々に視界が白く曇り、耳も遠くなっていく感覚

あぁ、このままだと死ぬ…

 

意識を手放そうとした瞬間、

銃声が響くと男の手から開放される舞白。

 

そのまま床に倒れ込むと、銃口を向ける人影が微かに視界に映る。

 

「…しも…つき…」

 

逃げたはずの霜月が舞白のリボルバー銃を構え、アブドルや

傭兵達を睨みつける。

そしてその手は微かに震え、余裕は無い様子だった。

 

 

((なんで戻って来たの…))

 

 

ぐったりと体を投げ出したままの舞白。

残念ながら体を動かす力が戻らず、ただ見据えることしか出来なかった。

 

「……ッ…その子を離して…」

 

霜月の日本語は通じるはずもなく

アブドル達は小馬鹿にするように笑い出す。

 

 

「日本人のお嬢さん、そんなものを手にして

何をする気だい?」

 

傭兵達が霜月に近寄っていく。

舞白は他の傭兵達に身柄を拘束され

どこかへと連れていかれてしまう。

 

 

「私は日本の公安局の人間よ!

…大人しくした方が身のため…!」

 

霜月も男たちにねじ伏せられれば

手に再び縄をかけられる。

 

 

「コイツらを"あの部屋"に連れていけ

目的を吐かせるまで容赦なく拷問だ」

 

アブドルが指示を出すと

霜月も運ばれていく。

 

 

「ちょっと!離しなさいよ!

…このっ…」

 

暴れ続ける霜月に

アブドルが容赦なくナイフを向ける。

 

その刃先が霜月の首に突きつけられると

微かに刃が皮膚を抉る。

初めての鋭い傷みに霜月の表情が恐怖で曇っていく。

 

「…殺すぞ、女」

 

殺気の目を向けられ、さすがの霜月も口を閉じる。

 

 

頼みの綱の舞白も戦闘不能、

この状況に絶望する霜月だった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

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