PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White   作:鈴夢

3 / 62




腐敗した刻印

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

2118年 1月某日 午後3時 東京

 

廃棄区画で見つかった複数の密入国者。

しかし、それは生きた者ではなく死人。

 

近年まで鎖国状態だった日本も、

少しずつ諸外国との外交を始めると、必然と様々な事件も増える。

 

その様々な事件、

扱うのは勿論、公安局刑事課。

 

休みも返上で明くる日も明くる日も事件に立ち会う日々。

そんな日々に疲れた様子の霜月美佳。

 

 

「最近多いな、ID無しの密入国者の死体…

…こいつらも名前も国籍も不明の正に名無し……って

おい、霜月、大丈夫か?」

 

執行官 宜野座伸元、

死臭が漂う薄暗い部屋で、気分の悪そうな霜月を見ると

思わず手を伸ばす。

 

「大丈夫です、お気遣いなく……」

 

パッとその手を払い、いつもの精神安定剤をまるで菓子感覚で口に含む。

 

上司でも相方でもある常守朱も、この日はほかの事件て駆り出され

まさに本当の人手不足状態に陥っていた。

 

 

「とにかく、後は鑑識ドローンにお願いして

私たちは次の現場に……」

 

「そっちは既に二係に手配してる、俺たちはこの現場を何とかしないと」

 

「…………はぁ……」

 

いつもなら二係に事件を手渡すくらいなら、と真っ先に事件現場に直行していたが、どうやらそんな余裕も無くなっていた。

 

その様子を十分に悟った宜野座は、

鑑識ドローンの結果をデバイスにて確認する。

 

「死亡推定日は殆どが5日以上経過

この中にIDを持つものは誰一人おらず、

…まあ見るからにアジア圏の奴らだろうけどな

どのように入国したかもまだ足取りが掴めん」

 

「……まあ、彼らだけでここまで来れるなんて有り得ない

きっと日本側から何者かが手引きしてるわ」

 

ハンカチで鼻と口を押さえ、死体に触れる霜月。

今までの彼女では考えられない行動に、宜野座はふと常守を思い出した。

 

霜月も公安局に入局して数年。

数々の事件を解決し、ここ最近ではとある施設の秘密を暴き出したり、著しく様々な経験を積んでいた。

 

過去の霜月は犯罪を未然に防ぐ事が絶対的な正義だと、手段を選ばず無茶苦茶な行動ばかりが目に付いていたが、

今では常守の話に耳を傾け笑みを浮かべるほど、余裕もあり刑事として大きく成長をしていた。

 

 

 

霜月は死体の腐敗状況や死亡原因を探る。

するとある女性の左横腹に、

何かの焼印の跡をを見つけた。

 

 

「……何これ?刺青……じゃなくて、焼かれた跡……

……痛そう……」

 

霜月の言葉を聞き宜野座もその死体へと近づく。

 

「焼印?……」

 

何かの文字に鎖が巻かれたような印、

腐敗しているせいかハッキリは見えないが、明らかに焼かれた跡に間違いなかった。

 

 

「……宜野座執行官、そっちの死体も確認して

私はこっちから」

 

「了解だ」

 

2人は部屋に転がっている男女数人の死体の体を見ると、

悲惨な状況に2人は目を細めるも、細かく確認していく。

 

 

「……こっちの男は胸に大きな縫い跡、しかも雑……

……右腹部に焼印があるわ」

 

「こっちの女性の死体も

手術痕が複数、左腕に焼印がある」

 

 

他の死体も焼印か手術痕のようなものがある者ばかり。

そして部屋を見る限り、なんとか生活をしてきたような様子。

かなり切羽詰まった生活だった様子が伺えた。

 

「…この焼印、やけに腐敗してない

…………変な漢字、中国漢字?」

 

デバイスで漢字を読み取ると"攒"という漢字が表示される。

 

 

「サン、意味は……

……あつめる、あつまる、ひとつの場所に群がる……

何なの?意味不明……」

 

宜野座は室内に転がっていた薬品を見つけると、照明を当て確認をする。

そして他にも、様々な袋の中から違法薬物などが次々と見つかる。

 

 

「鎮痛剤に覚醒剤…日本には無いはずの違法薬物だらけだ」

 

「……はぁ……なんなのよ、もう…

…こいつらただの死体じゃないってこと?」

 

「恐らくコイツらは内蔵をくり抜かれてる

そして捨てられた、そうとしか考えられない」

 

「……だから難民の受け入れとか、

そもそも外交なんて辞めればよかったのに……」

 

イライラとし始めると、再び精神安定剤を口に放り込む。

その様子を心配する宜野座だったが、何を言っても聞かないだろうと半ば諦めていた。

 

 

「とにかく、採取したデータ、

鑑識の結果も解析すれば何かがきっと分かるはずだ

一旦局に戻ろう、監視官」

 

「……戻ったらシャワー浴びさせて……

臭いで目眩が酷いの……」

 

「あなたは少し仮眠を取るべきだ

ろくに休んでないだろう」

 

「事件が休ませてくれないのよ、

…それに、なんであんたの方が年上なのに疲れてないの?不思議…」

 

ブツブツと言葉を発する霜月を、半ば強引に部屋から連れ出し、

助手席へと押し込むと、宜野座は運転席へ。

 

霜月は助手席の背もたれを下げると両手で顔を覆う

 

 

そして脳裏に、あの気味の悪いマークがやけに浮かび上がる。

 

攒、サン

あつめる、ひとつの場所に、

それを鎖で巻き付ける

 

気味の悪い刻印がやたら脳裏から離れず、

公安局に戻っても、気が休まることは無かった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。