PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White   作:鈴夢

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聞きたかったこと

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

岩の壁に囲まれた他の部屋とは雰囲気が全く違う空間。

 

部屋には暖炉が置かれており

冷え込む地下も、この部屋だけは異様に暖かい。

 

鉄製の頑丈そうな椅子に座らされている

霜月と舞白。

2人は手足を椅子に縛られた状態だった。

 

部屋の外には警備をする傭兵の姿。

先程までアブドルを含めた複数の傭兵の姿があったが、2人を拘束し終えると部屋から出ていき、室内には2人のみだった。

 

地下ということもあり今が朝なのか昼なのか夜なのか…

時間もわからなければ、ここに来てどれくらい経っているのかも互い分からず、ただただ何も無い時間が過ぎて行く。

 

隣で意識を失っている舞白に、何度も声をかける霜月。

 

「ねぇ!起きなさいよ!」

 

「………」

 

「狡噛舞白!」

 

「………ぅ…」

 

一体どれだけ声をかけたか覚えていないが

霜月は息を切らすほど必死に声をかけ続けていた。

 

そしてやっと舞白は瞼を持ち上げると

ゆっくりと体を起こす。

 

「…ここ…どこ…

…霜月…」

 

虚ろな瞳で不意に隣の霜月に目を向ける

その瞬間、一気に目を覚ましたかのように目を見開けば

霜月に喰いかかるように声を上げる。

 

 

「何で逃げなかったの!?

あのままいけば、間違いなくあんたは逃げられてたのに!」

 

「何よそれ!あんたが死にかけてたから助けたんじゃないのよ!」

 

「振り返るなって、言ったでしょ?

それに奴らは情報を引き出してから殺すはず

あのまま殺されることは無かった」

 

「…そんな事出来るわけない!

あんな大男に掴み掛かられて…死にそうになってるのに

放っておける分けないでしょ、バカなの?」

 

言い合う2人

しかし現実問題そんな事を言い合っても仕方がない

実際、今のこの状況はかなり危険だった。

 

「……ごめん、助けてくれたのに

ついカッとなって…」

 

冷静さを取り戻し舞白は霜月に謝る。

彼女は身を呈して舞白を救おうと動いてくれた

その気持ちを無下にはできなかった。

 

「分かればいいのよ、ったく…

振り回されっぱなしよ…」

 

はぁ、と盛大にため息を漏らせば

霜月は状況を説明する。

 

「小一時間前まであいつらがこの部屋にいたの

…何を話してるのかわからなかったんだけど、あのデカい男が男たちに指示を出してた」

 

舞白はその話を聞き部屋の内部を観察する。

よく見たらこの部屋、見たことがあると思えば

最初にこの収容所に侵入した時に

通気口から覗いた部屋に違いないと気づく。

 

目の前の暖炉、そこから伸びる鉄製の焼きごての様なものを見つける。

 

ここは確か、女性が焼印を入れられていた場所。

そして何やら拷問器具のようなものが置かれている台を見つければ、眉を顰める。

 

「あいつら、たぶん私たちを拷問する気よ

…とくに霜月さん…、あなたは日本のスパイだとか言われてる」

 

「拷問……」

 

拷問器具を目にすると霜月は身震いする。

そんな残酷なこと、映画や小説の世界でしか知らなかった。

 

「銃も奪われてる

椅子も鉄製、安易に壊せれないし

出入口は1箇所のみ…」

 

部屋の隅に舞白の着ていた防弾ベストに銃、ウエストポーチなどが投げられていた。

霜月に渡していたリボルバー銃も同じ場所に置かれていた。

 

しかし舞白は渡していたナイフがその場所に無いことに気づく

不意に霜月のジャケットに目を移し

頭の中であることを考えていた。

 

「縄もかなり固結びされてて解くことはできない

参ったわね

…狡噛舞白、あなたはこういう状況慣れてるでしょ?

何かないの?」

 

「そりゃ全く私たちに勝算が無いわけじゃないけど

もう下手に動けない

…奴らはそれでも人を殺すことに対して躊躇することも無い

案外簡単に殺されるかもしれないし」

 

手を動かしてみるも縄とは思えないほど固く結ばれておりビクともしない

久しぶりに舞白も焦りを浮かべていた

 

「一先ず、あいつらの動きを見るしかない

高リスクだけど、今どうしようもないのは事実だからね」

 

舞白は首を天井に向けゆっくり深呼吸する。

相変わらず呑気そうな舞白の姿に、

霜月は若干不安を浮かべていた。

 

 

 

「そういえば、まだ私に聞きたいことがあったとか言ってたよね?

話してよ」

 

「はぁ?あんた本当にイカレてんの?

この状況分かってる?」

 

「あんたでもないし、狡噛舞白ってなんかよそよそしいから普通に名前呼んでよ?さん付けも嫌だなー」

 

恐怖に怯える霜月を、少しはリラックスさせようとまたまた呑気な話を口にする。

強がる姿の裏には恐らくとてつもない恐怖心。

霜月のちょっとした動きや表情、発言

全てを観察し、分析する。

 

「…せっかくなんだから話そうよ?

霜月美佳ちゃん?」

 

「……本当に…変なやつ…」

 

この異常な状況下でも笑顔を向ける舞白に

何故か少しずつ安心感を覚えると震えもなくなっていく。

 

霜月は椅子にもたれ掛かり固まった肩を軽く回し

真っ直ぐ正面を見据える。

 

 

「…あんたは…、

…舞白は…、宜野座執行官とどういう関係なの?」

 

予想外すぎる質問に目を丸くする舞白。

 

「え?聞きたかった事ってそんな事なの?」

 

「何よ?そんなに変?」

 

ニヤッと笑みを浮かべる舞白に対して

霜月は至って真剣そうだった。

 

 

「ただのお兄さんみたいな存在」

 

"妹のような存在"

 

それぞれがつまらない、本音じゃない同様の発言をしていると分かれば

つまらなさそうにため息を漏らす霜月。

 

「…宜野座さん、あなたの事

絶対好きでしょ、間違いなく」

 

「さすがにそんな事ないでしょ〜

私が失踪してもう6年、ナイナイ」

 

「舞白、あんたも好きなんでしょ?

宜野座さんの名前を出した時の顔を見れば1発で分かるのよ」

 

まるでプロファイリングもどきの発言。

ズバッと言われてしまえば舞白も笑うしかない。

 

「まさかこんな所で恋愛話なんて、人生何があるか分からないね」

 

「で?どうなの?

話そらさなくていいから答えなさいよ」

 

問い詰めるように言われると

舞白も仕方ないな、と思うと口を開く。

 

 

「大好きな人だよ」

 

そう言った舞白の顔は今まで見た事がない表情だった。

普通の女の子、穏やかな笑み

この人もこんな顔をするんだ、と内心思っていた。

 

 

「口煩くて、最初は嫌いだったけど

どんな時も味方でいてくれて、何より人を大切にする姿勢がすごく良いなって」

 

「口煩いのは万国共通なのね」

 

ふふふっと笑みを浮かべる霜月。

笑顔を取り戻したと思えば、自然と舞白にも笑みがこぼれる。

 

 

「願わくば、また会いたい

無理だろうけどね」

 

天井に目を向ける舞白。

最後にあったのはあのシーアンの時

あれから2年、連絡手段も勿論ない為どうしようもない。

 

 

 

「…おっかないヤバい子だと思ってたけど

意外とちゃんと人間味もあって可愛いのね」

 

「まだそう見えてるならよかった」

 

ただ銃を握り締める怖い女の子ではなく、

ただただ同年代の普通の女の子のような反応を見せる舞白に、霜月は安堵する。

 

 

「…私さ、舞白とほぼ同じ経歴で

あの槙島の事件で友達を失ったり、職能適性も監視官A判定は私たち2人だけだったみたいだから

勝手に親近感が湧いてたの」

 

「槙島の事件…?」

 

「桜霜学園の事件

私は幼なじみと友人を失ったわ」

 

その幼なじみの友人は、舞白の親友の咲良でもあった。

あの夏の日に咲良が話してくれたのを思い出す。

 

意外な繋がりに舞白は驚いていた。

 

「もし、あなたと私が

監視官として同期で働いていたら

…こんな感じだったのかなって」

 

「………」

 

「また出会って数時間だけしか経ってないけど

振り回されっぱなしだし、土壇場でぶっ飛んだ事するし

…でも、何だか楽しい

それに舞白が言う言葉一つ一つに信頼しちゃう私がいるの」

 

宜野座の言う通りだと確信していた。

 

本当に同期として、一緒に監視官をしていたら

史上最強の名コンビになるだろうと。

 

 

 

「どうにか、ここから一緒に逃げましょう

お互いの目的をきちんと果たした上でね」

 

 

2人は顔を見合い小さく笑みを浮かべる。

 

そして、舞白がとあることを口にすると

霜月は戸惑うもある行動に。

 

 

しばらくすると複数の足音が聞こえ

部屋への扉が開かれると傭兵達がゾロゾロと現れた。

 

 

 

 

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