PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White 作:鈴夢
需要と供給
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「…これが、この地下の秘密…」
目の前に広がる光景に常守は言葉を漏らす
厳重すぎる警備が続いた先にたどり着いたのは
巨大な研究所だった。
人の姿はなく、何やら台の上に袋に入れられた怪しい物体が置かれていた。
それに近づく常守、
そっと袋のジップを下ろすと険しい表情を浮かべる。
「……人体実験、
それも密入国者の体を使っていたのね…」
既に死んでいる浅黒い肌の女性
歳はまだ若く、胸元には
共通して刻み込まれていた焼印を見つける。
「方法は?どうやって日本の警備をかいくぐって密入国者を集めたの?」
そっとジップを戻し一宮を睨みつけ問いかける。
一宮は淡々と語り始めた。
「需要と供給だよ
…我々の薬や金を求めていた組織に手を貸し
その見返りに人や臓器を寄越させた」
研究所内の別の部屋の扉を見つけた六合塚と雛河が中をのぞき込む。
その部屋の中には、無数の箱が置かれており
その中身は臓器だった。
「上手くスキャナーに引っかからないように
独自の電波遮断輸送機を使って、密輸させていた
…そして、使い物にならなくなった奴は薬漬けにして
廃棄区画に棄てる
どうせ言葉も分からず、体も弱い奴らだ、情報も漏らすことなく死んでいく」
残忍な行為に常守をはじめ、宜野座と須郷は表情を歪ませる。
「…誰の指示?」
「指示はない、独断で行った」
「そんな訳ないでしょう?」
わかりやすい嘘をつく一宮に
宜野座がとある人物のIDを突きつける。
「有栖川 吉富東京都知事
この男は過去にこの薬品会社の執行役員だった、そうだな?」
「そ、…それが何だ?」
明らかに動揺する男にもはや弁明する措置もない
宜野座は続けて話を進める。
「有栖川は移民肯定派のリベラル
移民を日本に受け入れ始めたのもこの知事からだ
しかし当時、賛成派は少なく肯定党は低迷…」
とあるデータをデバイスに映し出す。
下っていく折れ線グラフ、しかし急激に折れ線が上昇している奇妙なデータだった。
「だが、この年を境に一気に支持率が上昇
とある企業が肯定党のスポンサーとして、大きく広告活動を行った年
その企業こそがトランスペアレント製薬会社」
「調べたデータの結果、
多額の政治献金が動いていることが分かっています
…データ上、名前もすべて隠されていましたが解明することなんて容易い」
須郷も続いて口を開けば
不自然な帳簿を映し出す。
「かなり高額な金銭の動きがありました
都知事からの献金で間違いないですよね?」
「……ッ……」
絶対に漏れるはずの無いデータが抜かれていることに、驚く一宮。
何も言えずただ動揺し続ける。
「政治活動を助ける見返りに多額の資金援助、そして外国人の入国者の一部を実験にと横流し、それを黙認する都知事
…その実験で得た強力な薬で財を成し、更に人間や臓器が必要となり、どこかの組織と独自で取引をして不正に密入国者を使っていた」
常守は後退る一宮へ詰め寄ると
鋭く睨みつける。
「この会社の社長は初代社長の孫、
大した成果は出しておらず、ただの会社の顔として席を置いているだけで実質、製薬会社のあらゆる部門の責任者を担っているあなたが実権を握っていた」
"どう?"と口にすれば一宮はその場に腰を抜かし座り込む。
「実験の為に用意されている移民達はどこにいるの?
教えなさい!」
容赦なく男につかみかかった瞬間、研究所に雛河の声が響き渡る。
「見つけました!
拘束された人達がこっちに…」
須郷が代わりに一宮を抑え込むと
常守と宜野座は雛河の元へと走り向かう。
解除された部屋の中には
数十人の人々が拘束され、檻のようなものに監禁されていた。
全員、青い服を着させられ怯えるように常守達を見上げていた。
生体認証をするももちろん全員IDは無く、どこの国の人達なのかもわからない、何か喋っている様子だが翻訳もされなかった。
しかし、ある1人の男性が中国語を話すと
常守達の翻訳機能が反応する。
「僕達は新疆ウイグル自治区から連れてこられたんだ!
助けてくれ!」
「…新疆ウイグル自治区、だから中国語…
……もしかして!」
常守がそう呟いた瞬間、唐之杜から連絡が入る。
『朱ちゃん、美佳ちゃんの行き先が分かったわよ』
「もしかして、新疆ウイグル自治区ですか?」
『あら、そっちもちょうど情報を掴んだ感じ?
…でもこっちはもっと詳細な場所まで分かったわよ』
唐之杜からデータが送られてくる。
新疆ウイグル自治区のとある場所に赤いマーキングが表示される。
『あの長い数字は経緯度が示されていたの、しかも3カ所ね
それぞれの経緯度を結んだ真ん中、きっとその場所に
美佳ちゃんを乗せた輸送機が向かったはず』
緯度・北緯、経度・東経
それが羅列されている数字だったと判明
意外すぎるカラクリに唐之杜はため息を漏らす。
「すぐに局長に国外捜査の許可を取ります
志恩さんはすぐに航空機の手配をお願いします」
『了解、任せて』
そして通信が切れる
宜野座は全員の拘束具を解き
雛河は室内に転がっていた赤い薬品を見つける。