PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White 作:鈴夢
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迷路のように入り組む地下を
2つの影が止まることなく駆け抜ける。
そして銃声、ナイフが弾ける音、
荒い息遣いの舞白と、アブドルは誰にも邪魔されることなく
ケリをつけようと闘っていた。
「はぁ……はぁ……」
再び姿が見えなくなれば
舞白は耳を澄まし集中する。
時たま聞こえる外の激しい戦闘音に気を持っていかれそうになるも、気配と音を聞き逃さまいと呼吸を落ち着かせる。
「ふー……ふー……」
((……どこ……
どこから出てくる……?))
過去に泉宮寺豊久と衝突したあの地下の悪趣味な空間を思い出す。
あの時に比べれば敵は1人、余裕だ、と考える。
ナイフを持つ手に力を入れ
咄嗟に感じた、右からの気配に目を見開く。
「ッ……」
突如鳴り響く銃声、
男から放たれた弾を、なんとか交わせばそのまま相手に向かって
舞白は走り抜ける。
「((この女……戦い慣れしすぎだろう……))」
向けられる銃口に臆する事なく
襲いかかる舞白に恐怖を覚え始める。
「ハァアアアッ!!」
ナイフを勢いよく振るい相手を圧倒していく
しかし男も簡単に倒れるような奴ではない
簡単に交わすと舞白の体を掴み投げ飛ばす。
今まで相手をしてきた中で圧倒的な力を持つアブドル
舞白も先程受けたダメージが大きく
ふらふらと体が揺れていた。
同時に男も幾らか攻撃を受け
ダラダラと血まみれになっていた。
どちらが先に倒れるかは時間の問題、
再び、ゆっくりとナイフを構え相手を見すえる舞白。
「チッ……」
弾が無くなったのかその場に銃を捨てるアブドル、
すると小脇からナイフを取り出せば
男も構えの体勢に。
「もう投降した方が身のためだと思うけど?
……この収容所ももう終わりよ……」
「……煩い……黙れ!!」
2mを超える巨体、もちろんその分振るわれるナイフのスピードも威力も桁違いだった。
必死に交わすも左腕にかすれば血が飛び散る
霜月から借りた公安局のジャケットに血が滲んでいく。
「くっ……!」
更にそのまま押し倒されれば
頭目掛けてナイフが振り下ろされるも
ギリギリ、手で相手の手首を掴めば動きを制止する。
「……このナイフで、お前の脳ミソ抉り出してやるよ……」
「……ぐぅっ…………!」
押さえ込まれる力の方がもちろん強く
ナイフの切っ先をなんとか頬に逸らすも
頬に切り傷が刻まれていく。
「悪いけど、脳ミソはこんな所で抜かれる訳にはいかないのよ!」
両脚を思いっきり突き上げ男の体を離すと
今度は舞白が男に襲いかかり押し倒す。
「……なんで……負の連鎖を繰り返すの……?
あなた達だって……過去に同じ思いをして……」
グッとナイフを男の目の上に突き立てる。
「はぁ……はぁ……
……お前に何が分かる……ッ……?
連鎖は繰り返される……それだけだ!」
「そんなの言い訳よ!
ただ弱い者が弱い者をいたぶって楽しんでるだけ!
偽物の権力……実際あなたを信頼している傭兵は
誰一人としていなかった!
ただ偶然持っていた力を振り回して、怯えさせて従わさせてただけ!だから誰もあなたを助けに来ないのよ!」
舞白は力を振り絞ってさらに押し込む
動揺したのか、男は逆らうことが出来ず
そのまま左目に刃が突き刺さる。
「グァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!目があああ!!」
アブドルは激しく体を揺らし、舞白を突き飛ばす。
「……本当に強い者は……
どんな権力にも臆さず、正しい道を切り開いていくのよ…
あなたはその真似事をしただけ!繰り返しただけ!
お金に、薬に、どんなに欲しかったものも手に入れたとしても
永遠に孤独なあなたは本当に欲しかったものなんて手に入らない!」
アブドルは左目を押さえゆっくりと立ち上がる
「平和ボケした日本人なんかに……理解されるはずがない……
……この世界はな、奪った者が、支配した者が、強欲な者が生き残る!
正しい道?そんなものハナっからこの国には存在しないんだよ!」
とてつもないスピードで舞白に向かって走り出すとそのまま壁に強く押し付ける。
男の腕が首に食い込み舞白は顔を歪め、手に握っていたナイフが遠くへと弾き飛ぶ。
「目の前で家族が殺されたことは?
牢にぶち込まれ食い物も与えられず、死んだ人間の肉を喰らったことはあるか?糞尿にまみれた牢に監禁されたことは?
洗脳され、名前も言語も全て奪われ、信じていた仲間には裏切られ、……そんな奴らに正しい道など分かるわけねぇだろうが!!」
右手に握られているナイフが舞白の右太腿に振り下ろされる
「ッグ……」
そのままグリグリとナイフを動かされると
とてつもない痛みが全身に襲いかかる。
「どうだ?苦しいか?
すぐ殺さず、こうやって弄ぶのが快感なんだよ……
特にお前みたいな強気の女をな?」
狂った男、楽しむように弄ぶ姿は
まさに異常、外道だった。
「……ふふふっ……ば、か……じゃない?」
右太腿を滅多刺しする手を掴むと
舞白は笑みを浮かべていたと思えば、鋭く恐ろしい顔つきになる。
そして勢いよくそのナイフを引き抜けば
また容赦なく、今度は男の右目にナイフを突き刺した。
「言ったでしょ?……詰めが甘いって……
……私がそんな事で恐怖に怯えると思う?
勝ったと思い込んで調子に乗ったやつほど隙が出来るのよ」
目の前で激しく悶える男、もう両目は使い物にならない
一生男には光が差し込まないだろう。
「……人々の希望を、光を奪ったあなたが
のうのうと生きていけると思わないで……
"すぐ殺さず"でしょ?
私もそういう主義なの」
声にならない悲鳴を上げ、地面にゴロゴロと転がる姿は
先程までこの収容所を仕切っていた強い男は想像もつかない。
この男も所詮、偽物の権力に喰われた、過去の悲惨な歴史に喰われた被害者。
しかしだからといって許せるわけがない
この男もその歴史を繰り返していたのだから。
「……許さん…………
…お前も俺も、ここで地獄に落ちてやる……」
男の手元で何か音が鳴る
何かが引き抜かれたような音。
「((手榴弾!!))」
舞白はすぐに勘づくと
右脚を引きずり男から離れる。
「((どこか、爆発から逃れられる……))」
刹那、爆発音が響けば男の体は粉々に
そして舞白もその影響を受け、壊れていく地下の下敷きになるのだった。
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