PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White 作:鈴夢
カタルシス
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力なく床に体を投げ出す
もう体のどこが痛いのか分からないくらい、感覚が麻痺している様子だった。
爆発のせいで耳鳴りが続き
脳内に鋭い音が延々と残る。
微かに聞こえる爆発音
銃声、人々の声。
薄らと目を開けると目の前は瓦礫まみれだった。
「((……ッ……痛い……))」
地下の一部が爆発で崩れたようで
胸元から下が瓦礫で埋まり身動きがとれなかった。
そして微かにひび割れている天井が目につくと
更に、崩れるのも時間の問題だと気づく。
しかし大怪我を負った脚は動くはずもなく、
ただうつ伏せで頭上の瓦礫が落ちてくるのを待つだけしか選択肢は無さそうだった。
「……私……こんなところで死ぬの……か」
なんとか力を振り絞り体を抜こうと頑張るもビクともしない
同時にアブドルから受けた傷のせいか
酷く失血状態に陥り目眩が起こる。
「…………はぁ……」
立てていた肘をペタっと下ろし
床に顔を擦り付ける。
ぼんやりとし始める視界、
段々と聞こえなくなる音。
ギュッと握っていた拳を緩め
ゆっくり瞼を閉じる。
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目の前に広がる海、
あ…、人が死ぬ時たどり着くってよく言われてる場所。
見える世界は真っ白で
ただ穏やかに打ち寄せる波を見つめる。
「この先を歩いていけば
お母さんにもお父さんにも、咲良にも会えるのかな」
ゆっくりゆっくり歩みを進め
生ぬるい海へと足をつけていく、
不思議と吸い込まれるように、さらに沖へと進もうと体が勝手に動く。
走馬灯のように脳内再生される今までの思い出。
優しい兄に育てられ、友達にも恵まれて
何不自由しなかった生活。
兄と喧嘩した日もあった、怒鳴りあったことも
たくさん困らせて、たくさん迷惑をかけた
兄が潜在犯落ちした時は家でずっと涙を流した
いつも家で迎えてくれた兄がいない、
事件に翻弄された兄に首を掴まれたこともあった
口煩い兄が何度も現れるとクスクスと笑みを浮かべる。
「本当に……お兄ちゃんは心配性なんだから」
無事、あの花城さんと外務省で活躍していると知るともう後悔はなかった。
最後の最後で生きていることを知れて、
このまま死んでいいと思った。
太腿まで海に浸かる
ボーッと水平線を眺めさらに進もうとするが
不意に足が止まる。
「……結局、約束守れなかった
ノブ兄……、」
2度も舞白を信じて見逃してくれた宜野座の姿が思い浮かばれる
どんな時もそばに居てくれた、唯一涙を見せられる相手
強がっても全てを察して静かに隣にいてくれた
何も聞かず、何も言わず、優しく背中を摩ってくれた
幼い頃から沢山可愛がってくれた宜野座
兄にも言えないこともこの人にならと全てを話せられる人
「……もう一度会いたかった、
…ちゃんと謝りたい、約束破ってばかりで
泣いてばかりでごめんなさいって……」
ポロポロと溢れる涙。
「あと一度だけでいいからあの腕で抱きしめて欲しいよ
馬鹿だなって、頭を撫でて……
………ッ……」
気づけば腰まで海へと浸かっていた
徐々にひんやりとした感覚が体を覆っていく
しかし脚は止まらない、深く深く進む。
朱さんにもちゃんとお礼を言いたかったな
秀星に借りてたCDも返せてないし、
六合塚さんに貰ったマニキュアのお礼もしてない、
唐之杜さんにもっと恋愛相談しておけば良かった
征陸さんにもノブ兄の聞きたかったこと聞けてない
青柳さんに何年も前のクリスマスの時の事も……
色んな人の顔が思い浮かぶ。
霜月美佳、ちょっとしか居れなかったけど
私と同い年で、面白い人だったな
……着てた上着も返せてないし、あのリボルバー銃
そういえば貸したままだった……
無事、皆を助けてくれたかな……
友達になりたかった、な、……
胸元まで沈む体はもう止まらない。
「「もうこっちに来るのかい?狡噛舞白」」
聞き覚えのある声が響くと
舞白は立ち止まる
目の前に現れたのは槙島聖護。
夢にも最近現れず久しぶりの姿に、
舞白はクスクスと笑みを浮かべる。
「私もそっち側に行くよ」
「「案外あっさりしてるんだな」」
1歩踏み出すと肩まで浸かる
「「君とまた語り合えるのは嬉しいことだ
次は何の話をしようか?」」
「語り合うのはもう懲り懲り
静かに好きな本でも読んでいたい」
「「……君らしいね
そういう所が気に入っていたよ」」
槙島は舞白の手にゆっくり触れ、重ね合わせると自分に引き寄せる。
「「こうしてみると本当に僕達はそっくりだったね」」
同じ白髪に唇を落とし笑みを浮かべる。
「それは見た目だけって事でいい?」
「「……どうだろうか
結局のところ、僕達免罪体質者は
誰にも理解などされず、真っ白な存在
…間違いなくそこは全く僕と同じだよ」」
槙島の胸元に頭を填め
いよいよ口元まで沈んでいく
「「……もう、孤独は懲り懲りだよ」」
そっと瞼を閉じる
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刹那、首根っこを掴まれるような
腕を強く引かれる感覚に襲われると
目を見開く舞白
色彩のある世界へと引き戻され
徐々に戻る聴覚、聞こえてきた人物の声に
ゆっくりと顔を持ち上げた
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