PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White   作:鈴夢

47 / 62
再会

 

 

・・・・・・・・・・

 

医療用専用車両の扉を開け、慌てた様子で駆け込む狡噛と宜野座

その先の手術台に乗せられているのは舞白

 

様々な機械や器具が辺りに置かれており、中の医療スタッフ2人が必死に医務官と何かを話しているようだった

 

鳴り響くエラー音に逼迫する現場

 

 

「ダメです!バイタル崩れ続けてます!」

 

脈拍、呼吸 、血圧、体温

全てが危険な状態だと狡噛と宜野座もモニターを見て理解する

 

 

「狡噛捜査官…あなたの妹だと聞いています

かなり危険な状況で…おそらくもう…」

 

様々な手を施したが体は冷たくなっていくばかり、スタッフたちも半ば諦めかけていた

 

「…待ってくれ、他にも何か出来るはずだろう?」

 

妹なら、きっと大丈夫だと

タフでいつも元気な姿しか見てきていない

確証はないが今までそうやって危険を掻い潜ってきた

 

しかし目の前で眠っているその姿は弱々しく、本当に普通の少女なのだと思い知らされる

 

「なんとか体の傷は塞ぎましたが緊急用の輸血がもう無くなってます!これだとさらに危険が……」

 

1人のスタッフが医務官に声をかける

宜野座はハッと目を見開くと前に立つ狡噛を押し退け舞白の元へ向かう

 

「血は俺から使ってくれ、舞白の血液型はO型だったよな?狡噛」

 

狡噛は頷くとそれを確認した宜野座は上着を脱ぎ捨て、シャツの袖を捲り上げる

 

「俺もO型だ、必要な輸血量を抜き取れ」

 

「しかし……かなりの量を……」

 

「いいから抜け!」

 

宜野座の鋭い声にビクッと体を揺らし驚くも、スタッフは素直に応じ輸血の準備へと入っていた

宜野座のとっさの判断に救われた狡噛は

舞白の傍らへと向かい何度も声をかける

 

 

「帰ってこい……逝くなよ舞白

……舞白……ッ……」

 

「……………」

 

冷たく、動かない手を強く握る

久しぶりに触れた妹の手は見た目は細いものの、長く紛争地帯に居た反動か掌はマメが複数できており、それを見ると狡噛は苦しそうに俯く

 

「…狡噛、…悔いても仕方ない、

舞白が選んだことなんだろう、信じるしかない」

 

宜野座の血液を直に器具で舞白に流し込んでいく

狡噛と同じく傍らの椅子に腰を下ろすと舞白に目を向ける

 

「…………逝くな、」

 

ただ眠っているように見える姿

2人はふと幼き頃の舞白の寝顔を重ねる

 

ずっと2人で守り続けてきたこの少女を

失う訳にはいかない

 

宜野座も手を握り、自分の頬へと当てる

 

 

「……今回くらい約束を守れ、舞白

…俺をいつまで待たせる気だ、何度裏切る気だ

"また会おう"…その言葉は嘘だったのか」

 

ピクリとも動く気配のない舞白を

ただただ見つめることしか出来なかった

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

「「汝ら世にありては艱難あり、されど雄々しかれ。」」

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

その声を最後に色彩を取り戻す

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伸ばした手を引き上げるのは

大好きな、2人の掌……

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

 

「……ん…」

 

 

暖かい感触、瞼を持ち上げると

もうその場所は"あっち側"ではなかった

 

 

 

「……おい……狡噛……」

 

懐かしい声、不意に左側に目を向けると宜野座の姿が

 

「…嘘……だろう?……舞白!?」

 

ふわふわと歪む視線を右に向けると兄の姿

 

 

 

 

「…バイタル……安定してます!

心拍数基準値まで上昇!体温も……

…………すごい……」

 

スタッフが医務官に呼びかけると

医務官は異常なバイタル回復に目を見開く

 

輸血を初めて1時間半、回復しないバイタルに不安に駆られていたが急回復する数値にその場にいた全員が驚いていた

 

 

 

狡噛は椅子から立ち上がり舞白の頬を両手で包み込む

 

「見えるか?聞こえるか?

…舞白……」

 

やっと焦点も合うとパチパチと瞬きをする

 

 

 

「…………あれ……

……ここは?…

……ッ……お兄………」

 

そのまま強く抱きしめる狡噛

その様子に舞白は小さく笑みを浮かべる

 

「……よく戻ってきた」

 

「ただいま、お兄ちゃん……」

 

抱きしめられたまま、傍らで驚いた様子の宜野座に目を向けるといつもの笑みを零す

 

 

「……約束、守ったでしょ、ノブ兄」

 

 

「舞白……」

 

 

そしてギュッと目を瞑ると抱きしめ続ける兄に手を回す

 

 

「ありがとう

……戻って来れたよ」

 

 

 

 

 

気づけば外で繰り広げられていた激しい戦闘音が止んでいた

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

「「孤独は懲り懲りだが、君の今後を傍観するのも悪くないね」」

 

 

残された真っ白な砂浜の足跡が波に攫われ消えていく

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。