PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White 作:鈴夢
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町を抜け、雪で覆われた真っ白な草原を車両が音を立てながら駆け抜けていく。
一面にひろがる真っ白な雪。
そして青く澄んだ美しい空。
この国を発つ最後の最後に、テソンに再会するという目標を達成させ、その表情は安堵を纏った様子。
隣に居るのは最愛の兄。
そして再び、自分の居場所を見つけることも出来、
目の前のその光景が祝福してくれているような気がしていた。
清々しい雰囲気を纏う妹を横目で見る狡噛は、表情には出さないものの漸く再び共に歩き出せる喜びに包まれていたのであった。
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「もう、寄るところはないな?」
「うん、大丈夫だよ
…ていうか、これ以上花城さんを待たせる訳にも…」
デバイスに入る連絡
それは"いつまで道草を食うつもり?"というもの
向かう先は、大昔に利用されていたチャルチャン空港の跡地。
そこには外務省の航空機が待機していたのだった。
「久しぶりに日本に帰る心境は?」
「うーん……不安も感じるし、でも嬉しい気持ちもあるし、なんとも言えないなぁ」
今日、6年ぶりに日本へと帰還する舞白。
正直帰れることは嬉しく感じるも、ガラッと変わるであろう環境に不安を抱いていた。
再び監視社会に戻ることや、外務省の捜査官という未知の役割を担った本人にとって、なんとも言えない気持ちだった。
だが同時に、再び皆に再会出来る期待や世のため人のために働けると思うと嬉しさも感じられる。
「そんなお兄ちゃんこそ、どう思ってるの?」
ひょこっと隣の兄に顔を向け、
そんな兄はどう思っているのか気になっている様子だった。
元公安局の刑事課に身を置いていた兄にとっては、外務省は畑違い。
そして
"組織に所属するとやりたくない事をやらされる"
と以前口にしていた兄が、まさか再び自ら選択して組織に入ることに疑問を解決抱いていた。
「なんと思わないさ、目的は違えどやる事はほぼ同じ
俺も成すべきことを成す、お前と同じだよ、舞白」
具体的にものを話さない兄に、若干つまらなさそうに口を尖らせるも、続けて狡噛は口を開く。
「…ただ、唯一の肉親のお前と一緒に何か行動できるって言うのは悪い気はしない
危険なのは変わらないかもしれないが隣にお前がいる、それだけで兄ちゃんは幸せだ」
「……」
変わらない妹への想いに、
恥ずかしそうに顔を逸らす舞白。
「まあ、日本に戻ったら即訓練だ
久しぶりに俺がつきっきりで相手をしてやるよ」
「お兄ちゃんスパルタだからなー…でも楽しみ」
「俺もお前の蹴りを喰らうのは恐ろしい」
互角と言っても過言ではない2人の身体能力。
そんな会話を交えつつ、ふと狡噛は思い出したかのように懐からあるものを取り出す。
「…そうだ、
お前にこれを返さないとな」
「?」
ポンっと投げられたのは見慣れたリボルバー銃。
霜月に渡していた大切なものだった。
「あー!これ!
…美佳ちゃんが返すの忘れて持って行っちゃったのかと思ってた」
「そんなわけないだろう?
そもそも監視官でも本物の銃を持つには許可が必要だからな」
重厚感のあるリボルバー銃を眺めると、そっとジャケットの内ポケットにしまう。
「まだ持ってたんだな」
「勿論
…御守りみたいになってるから」
槙島の頭を射抜いたリボルバー銃。
トリガーに指をかけた感触は忘れられるはずもなかった。
「槙島聖護に全てを奪われて怨んで、
間違いなくこの手で殺したはずなのに
…何故か心のどこかで、まだ槙島聖護が私の中で生かされてる」
ふとした瞬間にいつも脳裏に浮かぶ人物。
未だに執拗に現れる彼の姿を、心の底から怨む気持ちは既になくなっていた。
何故なのか、それは6年経った今でも分からない。
死にかけた時も、何故か彼に生かされ、今に至る。
狡噛も、微かに舞白から感じる槙島の気配。
それは2年前から変わっていなかった。
しかし昔とは違い、その事に関して狡噛は特に不安を感じてはいない様子。
「今のお前なら何も心配はしてない
ただ、もう1人で抱えるのはもう無しだ
…組織に所属するのであれば、余計分かってると思うがな」
「分かってるよ、大丈夫
もう無茶はしないよ」
そっと左手で首に触れ、クスッと笑みをこぼす。
そんな妹の頭を、運転席から狡噛は手を伸ばすとワサワサと撫でるのだった。
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「ちょっと、あなた達…どこほっつき歩いてたの?」
空港にたどり着き、寂れた滑走路の脇に車が停められると
2人は荷物を抱え車両から降り立つ。
兄妹を出迎えた花城は、
腕を組み呆れた表情を浮かべていた。
「申し訳ありませんでした、花城さん」
その様子にいち早く、舞白は頭を下げ謝罪を述べる。
そしてどことなく清々しい雰囲気を醸し出した舞白を見ると、微かに笑みを浮かべていた。
「舞白、これで心置き無く日本に帰れそうかしら?」
「…はい、お陰様で」
舞白はふふふっと笑みを浮かべ、抱えていた大きな黒いカバンをギュッと抱きしめる。
その様子を隣で穏やかに見守る兄の姿。
外務省の新部隊を担う2人のその姿に、
花城は改めて良い人選をしたと考えていた。
「なら良かったわ
……それじゃ、すぐに出発よ?
早く乗りなさい」
花城は目の前の航空機に目を向けると、
2人に早く乗り込むように促す。
舞白は荷物を更に抱きしめ、ギュッと目を瞑ると深く深く息をする。
「……ふぅーーー…」
その様子の妹を見兼ねた兄は
背中をポンポンと押す。
目を開け、隣の兄を見上げ
2人は目を合わせ笑みを浮かべる。
「日本に、帰ろう…舞白」
「うん、帰ろう」
2人は歩き出す
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