PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White   作:鈴夢

58 / 62
最終章
監視官補佐 狡噛舞白


 

 

・・・・・・・・・

 

 

2118年 7月 東京

 

公安局刑事課一係 刑事室

 

 

あの時から変わらない一係の面々。

全員が、ある人物へ視線を向けていた。

 

 

 

「皆、座ったままでいいから聞いて?

……こちらは以前話した外務省の……

って、説明は不要かもね?」

 

常守がその人物の隣で嬉しそうに笑みを零していた。

背後のデスクでは、霜月がやれやれと言わんばかりの表情を浮かべその様子をただ見つめる。

 

 

視線を一点に集める先に佇むのは、白髪の女性。

ようやく、板に付いてきた敬礼をすると真剣な目付きで皆に目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「外務省行動課、捜査官の狡噛舞白です。

本日より3ヶ月という短い期間ではありますが、監視官補佐としてこちらでお世話になります。

ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い致します」

 

肩あたりまですっかり伸びた白髪、

上下パンツスーツ姿の舞白の姿は、以前よりも更に逞しく感じさせる。

 

 

「前回、花城さんが来た時は、内閣官房が推進する省庁間人事交流という名目だったけど、今回は違うの。

新たに結成された"外務省行動課"。

今後、更に上手く連携できるように、そして彼女の育成の為に、外務省直々にお願いされた事なの。」

 

常守が簡単に説明をする。

 

舞白は公安局に所属は勿論したことも無く、ドミネーターの事やその他諸々、知らないことばかりだった。

それを見兼ねた課長の花城が、直々に局長を通し依頼をしたのだった。

 

 

見慣れた顔が目の前にあると、舞白は一気に緊張が解け、笑みをこぼし始める。

 

「また、皆さんにこういった形で再会できたこと、とても嬉しく思います。足でまといにならないように精一杯頑張ります!」

 

気づけばいつもの天真爛漫さが現れると、他のみんなも笑みを浮かべていた。

目の前で穏やかな表情を浮かべる宜野座と目が合えば、互いに少し恥ずかしい気もする。

 

 

その様子に気づいた背後の霜月は、面白がるように茶々を入れる。

 

「宜野座執行官、うつつを抜かさず

きちんと仕事してくださいね?」

 

「………当たり前だろう……」

 

宜野座は咳払いをすると、茶々を入れた霜月に"後で覚えておけ"と言わんばかりの視線を向けていた。

 

 

「まさか、狡噛の妹の舞白ちゃんと仕事をする日が来るなんて……」

 

六合塚も成長した姿の舞白に驚くも、昔の頃から変わらない、あどけなさが残る面影に微かに笑みを浮かべていた。

 

「((…外務省行動課……

こんな、まだ若い女性が……))」

 

須郷は無言のまま、自分が過去に断った外務省の特殊部隊に、まだあどけなさが残る女性が入るという事実を知り、眉を顰めている様子。

 

「……よ、よろしくお願いします!」

 

雛河は全く知らない未知の相手、しかも歳下の女性が現れたことに少し動揺している様子だった。

 

 

「予想以上の激務にどこまで耐えられるか見物だわ、舞白?

せいぜい先輩の足を引っ張らないように……」

 

「主に、育成担当を担ってもらうのは霜月監視官になります。

……美佳ちゃん?お願いできるわよね?」

 

突然の常守の言葉に思わず席を立つと、声を裏返させる霜月。

 

「な!なんでですか!?

前回も花城フレデリカさんが来た時は先輩が担当……」

 

「だから、今回は美佳ちゃんにお願いしようって決めたの。

局長も、花城課長も問題ないって言ってたし」

 

面倒事を押し付けられてしまったと、霜月は目の前で満面の笑みを浮かべる舞白に目を向ける。

口をポカンと開けたまま、驚きを隠せない様子だった

 

 

「よろしくお願いしますね?

"霜月監視官"」

 

「……嘘でしょ……」

 

ガクッとデスクに突っ伏す様子を、面白そうに見つめる舞白。

思わぬ再会、そして予想外の処遇に霜月の苦労は絶えなさそうな様子。

 

 

 

「それじゃあ、早速。

分析室、食堂、執行官の専用フロアの案内、

諸々お願いしてもいい?」

 

常守は、デスクに力なく突っ伏す霜月の耳元で早速仕事を伝えると、ゆっくり頭を上げる。

 

 

「……局長命令なら仕方ない……

やってやるわよ……」

 

ボソッと呟けば勢いよく立ち上がり、自分よりはるかに背の高い舞白を見上げ、腕を組んでは言葉を発す。

 

 

「じゃあ、行きますよ?

"狡噛監視官"」

 

グイッと腕を引かれると、皆のデスクの間を抜け、刑事室から2人は姿を消す。

 

その後ろ姿を全員が見送る。

次世代のエースの2人組がどこまで活躍するのか、期待に溢れていた。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。