PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White   作:鈴夢

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真白な君

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

公安局 局長室

 

扉が開かれると、3つの影が足を踏み入れる。

常守、霜月、そして舞白。

 

部屋の奥のデスクにて、両肘を立て、顔の前で手を組み、目線を送っているのは、局長の禾生壌宗。

 

銀髪のショートカットに角縁眼鏡のスマートな印象の女性。

その目つきは鋭く、舞白をじっと見つめている様子だった。

 

 

「失礼します。

…外務省行動課の狡噛舞白監視官補佐をお連れしました。」

 

常守がまず口を開く。

3人は舞白を真ん中に挟む形で、局長の目の前に立っていた。

 

霜月は何故、わざわざ外務省の人間をここに連れてきたのか。

そして何故、常守と霜月も同席なのか不思議そうにする。

 

常守は局長の出方を警戒しているようにも見えていた。

 

 

「本日よりこちらでお世話になります。

外務省行動課 特別捜査官 狡噛舞白です。」

 

舞白は真っ直ぐに禾生に視線を向け、敬礼をする。

禾生壌宗の正体は何となく分かっていた。

昔、槙島の言っていたことが本当なのであれば、目の前のこの人物はシビュラシステム。

 

舞白と同じ免罪体質の特殊体質を持つ、殻を被ったただの作り物の人間だと。

禾生は口元を緩ませ、微かに笑みを向けると舞白をじっと見続けていた。

 

「……ご苦労だったね、狡噛舞白。

国外の調査に、複数の任務の対応、さぞ疲れているだろう?」

 

「いえ、問題ありません。

公安局でもしっかり、任務を全うさせて頂きます。」

 

無表情で淡々と言葉を並べる舞白。

冷たい、互いの視線が交差する。

 

 

 

そしてその瞬間、禾生は席から立ち上がると

隠し持っていたドミネーターの銃口を舞白に向ける。

 

 

 

「なっ……何!?」

 

冷静な2人を横に、霜月はかなり驚いた様子で後退る。

全く動揺しない2人に目を向けると、霜月は状況が飲み込めていない様子だった。

 

禾生の目が青く光る。

そして彼女のサイコパスを読み込んだのか、その結果に満足したのか、不気味に笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

「…やはり……相変わらずの美しいね、君のサイコパスは。」

 

外務省の特別捜査官である舞白のサイコパスは

ドミネーターで計測できないはずだと、霜月は不信感を抱く。

 

 

「どういうこと?

……舞白のサイコパスは計測出来ないはずじゃ……」

 

ドミネーターを向けたとしても、普通ならば

犯罪係数の特定には許可が必要だと、トリガーがロックされる仕組みだった。

しかし、霜月も知っている通り

禾生壌宗はシビュラシステム。

 

全く動揺しない、寧ろ微かに笑みを浮かべる舞白に目を向ける。

 

「……その銃口を下ろしなさい、シビュラシステム」

 

銃口を手で払い、常守が鋭い目付きで禾生を睨みつける。

異様な光景に、禾生と舞白を交互に見続ける霜月。

 

 

 

 

「フフフ、そんなに警戒しないで欲しいな。

シーアンから、2年ぶりの再会だ。

……少し語ろうじゃないか?」

 

ゆっくりドミネーターを下ろし、テーブルに置く。

そして再び視線を舞白へ向けると、口を開く。

 

 

「君の知性、深淵なる洞察力、

…それはシビュラシステムの更なる進化において我々が求めて止まないものだ……」

 

「……そうやって、槙島も口説いたのね?」

 

「懐かしい名前だ。

…あれは本当に惜しかった……

君と、君の兄に殺害されたのは本当嘆かわしい……」

 

刹那、いつもの頭痛と耳鳴りに襲われると

微かに表情を歪ませる舞白。

咄嗟に左手で首を押さえると、深呼吸をする。

 

「……まさか、舞白……」

 

いままでの行動や、禾生との会話に

ピンと来た霜月。

 

紛れもなく、舞白は免罪体質者

そしてシビュラの正体を知っているような様子に眉を顰めていた。

 

「"免罪体質"の君を、

本来であれば6年前に、強引な手段を使ってシステムの一員に取り込む予定だったのだが……

よく逃げ切ったね、狡噛舞白」

 

"厚生省特別機関の保護対象者"

あれはただの表面上のフェイクでしかなかった。

"保護"ではなく、強制的に取り込むための"手段"

 

舞白のID経歴の謎が払拭された霜月は

視線を禾生へと向け直す。

 

 

「まだ、諦めないつもり?」

 

なんとか痛みに堪えながら、目の前の相手を真っ直ぐに見据える。

 

 

「……いいや、君とは約束を交わしたからね。

我々もそこまで薄情ではない。」

 

"君が今後どのように生き残って、どのようにこの世界にその存在意義を齎すのかとても興味深い"

過去、そう言い放ったシビュラシステム。

 

この世界に役に立つと、判断されれば

彼らは取り込まないという約束だった。

 

 

「…こちらとしては、外務省の特殊部隊に、君のような人材を置いておくのはむしろ好都合だと判断した。

シビュラシステムの真実を知り、特異な免罪体質を持つ、

そんな君を利用する他ないとね。」

 

要するに、手駒をほかの省庁に置けることを、むしろ都合良しと判断しただけ。

逆に無所属で、何も利用価値がないと判断されていれば、即取り込まれていた。

花城と常守の判断は間違っていなかったのだ。

 

禾生は、テーブルに置いていたドミネーターを再び手に取ると、正面に立つ舞白に手渡す。

 

受け取った舞白の瞳が青く染まると、手首のデバイスと連動し、指向性音声が舞白の脳内に響き渡る。

 

『携帯型心理診断 鎮圧執行システム・ドミネーター、起動しました』

 

"INITIALIZING"という文字と共に、舞白のID情報などが表示される

 

『ユーザー認証 狡噛舞白 特別捜査官

外務省行動課所属 有期使用許諾確認

適正ユーザーです――』

 

 

 

「狡噛舞白、君には大いに期待している。

常守監視官、霜月監視官、彼女を頼んだよ。

下がってよろしい。」

 

 

舞白はドミネーターを握りしめたまま、椅子に座る禾生をじっと見つめる。

 

 

「真っ白な君に、再会できたこと、

我々は欣喜雀躍しているよ。

精々頑張りたまえ。」

 

禾生の怪しげな笑みに気味悪さを憶える。

舞白は頭を下げる。

 

「…失礼します」

 

 

そのまま常守と霜月に促され

局長室を後にするのだった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

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