鬼と呼ばれましたが冒険者になれば英雄になれますか?   作:もぐらたたきアルファ

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展開に納得がいかず遅くなりました。申し訳ありません


第一階層・逢う魔が時(おうまがどき)の森林

 

「いってらっしゃい」

 

 夏らしく熱くてじめっとした夜。大吾はいつも通り仕事に行く母を見送りながら最後の探索に胸を弾ませていた。

 

 2回目の探索は昼前に帰ってから次の日の夜まで新しく入った仲間の名前を考えながら過ごした。

 

 大吾は暴力が苦にならない性質だったが、それでも敵に警戒しながら歩いたり、どこまで続くか分からないダンジョンを歩くのはなかなかに疲労したので休息が必要だったのだ。

 

 

【種族】ゴブリン【名前】朱乃

 

【戦闘力】40(戦闘力+10)

 

【先天技能】

・集団行動:群れの中で生きる習性。集団での行動に対するプラス補正

 

【後天技能】

・蛮族の嫁:蛮族の嫁に必要な技能が揃っている。

(料理、性技、清掃、育児、原始医療(薬草知識と応急処置を内包)、道具作成などのスキルを内包する

 

・頑丈:頑丈な肉体を持つ。生命力と耐久力を常時向上させる。

 

【種族】ゴブリン【名前】無し

 

【戦闘力】30

【先天技能】

・集団行動:群れの中で生きる習性。集団での行動に対するプラス補正

 

【後天技能】

・突撃:助走つけて行う攻撃の際戦闘力を引き上げる。ただし、一度でも止まったり曲がると効果を失う。効果が切れて10秒間のリキャストタイムが発生する

 

・従順:マスターの命令に基本的に逆らわない。命令された行動に対する弱いプラス補正

 

 探索の前におさらいする。初見ではよく分からなかったスキルというものが分かってきた為改めて戦術を練り直す必要がある。

 

 朱乃は頑丈スキルがある為敵の攻撃を受けるメイン盾になり得る。さらに色々な技能の集合体である蛮族の嫁スキルは戦闘にはあまり役立たないがサポート能力はこれまでかなり世話になった。正直出来ることが多すぎて扱いきれていないのが現実である。戦闘力は先日の戦いで10上昇した。地味だがありがたい。

 

 新入りのゴブリンは一度も戦っていないが唯一攻撃力を高める効果を持つ突撃スキルを持っている。間違いなくこのパーティーの最大火力だ。朱乃と違いゴブリンらしく頭はあまり良くないが、従順スキルがあるからか素直に言うことを聞いてくれたのであまり問題はないだろう。そんな彼に一日考えた名を送る。

 

「お前の名前は武蔵だ!鬼武蔵と呼ばれていた戦国武将森長可にあやかって付けた。名前に負けないぐらい強くなって欲しい。」

 

 名付けとは一度やったら生涯を共にすることになる契約である。その重要性は大吾にもすぐ理解出来た。

 本来はもうしばらく相性を確認してから名を与えるべきなのだが、この無理無茶無謀おまけに無法に付き合わせる以上最低限の命の保証をしてやるのが筋だと大吾は考えた。

 故に歴史教養本で印象に残っていた名を与えた。

 

「ムサシオレノナ」

 

 噛み締める様に己の新しい名前を呟くのを見て一日中考えた名前を気に入ってくれたようで安心する。おかしな名前にしなくて本当によかった。

 

「私の名前にも由来があるのかしら?」

 

 武蔵の名前の由来を聞いて気になったのだろう。出来れば気にして欲しくなかったことを聞かれて思わずびくっとした。彼女の朱乃という名前の由来は決して話せない。自分の株が大暴落してしまう。だが

 

「………秘密だ」

 

 少し悩んだが完全には隠さないことにした。彼女の綺麗になりたいという願いにも反さない………はず

 

「ふーん?」

 

「そうだ。いずれな。というわけで出発する!」

 

気まずい話題が出てしまったのと探索が待ち遠しかったので誤魔化すように出発の号令をかけた。

 

【母視点】

 

「ふぅーーーーーー」

 

 静香はあまりの疲労に大きなため息がでた。彼女の店でたまにもらえる疲労回復ポーションを一気飲みしても全く疲れが取れた気がしない。それは疲労の原因が精神的な物だからだ。

 夜の仕事を体力的に辛いにも関わらず客の前では疲労を表に出せない過酷な仕事である。だが……今宵は段違いだった。

 

 

 それは働き出して少々たった時だった。店に髪の毛がかなり残念になってしまっている中年の上客(通称部長)がパンパンになっているタキシードを着てやってきたのである。

毎回指名されているので静香も格好をいぶかしながらも笑顔で挨拶に向かった……までは良かったのだが

 

「結婚しよう!静香さん!!」

 

 いきなりの告白に血走った目で腕を掴まれたところで歴戦のキャバ嬢の忍耐を超えてしまった。太った体を突き飛ばした上口汚く罵ってしまったのだ。

 何を言ったのかはよく覚えていないが、部長がブチギレて暴れ回ったことから相当やらかしたみたいだ。ストレスが溜まっていたのだろう。

 

 その後は警察を呼ぶと脅したらこちらを睨みながらも帰ってくれたが、さすがにそれ以上働く気にならず他の客や仲間に頭を下げ掃除したところで早退させてもらった。

 

「明日また店長と皆に謝らないと。ていうかあのハゲが壊した備品私が弁償するの?」

 

 ぼやきながら我が家に上がると息子の部屋から明かりが見えた。現在は夜10時小学生が起きているには少々遅い時刻である。

 ちょうど良い機会だと注意するためドアを開けた瞬間先程以上の驚愕に表情が張り付く。

 

開きっぱなしの押し入れの中に自分にとってはトラウマ物である黒い穴が空いているのが目に飛び込んできたからだ。

 

 

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