鬼と呼ばれましたが冒険者になれば英雄になれますか?   作:もぐらたたきアルファ

12 / 16
第二階層・熱帯樹林(2)

 

「まさかイモムシがあそこまで頑丈だったとはなぁ」

 

「………毒も効かないなんて」

 

「グググ。マケタ」

 

3者はそれぞれ屈辱に震えながらとぼとぼと歩いている。先ほどエンカウントした巨大芋虫のモンスターは攻撃こそ無かったが、こちらからの攻撃も一才通じなかった。しばらく袋叩きにしていたがキリが無かったため途中で逃げるはめになったのだ。まるでタイヤのような弾力と固さを併せ持った頑丈な芋虫であった。

 

 

 

ブーンブーン

 

「蚊がきたぞっ!!」

 

 それからしばらく歩いたところに再び特徴的な音が聞こえてきてすぐさま警戒しだす。今回は最初と違いもったいぶることなく飛び出してきた。

 

 ただし一体ではなく六体同時にである。

 

「逃げるぞっ!!」

 

 今まで無かった程の数に迷わず逃走の判断をする。横からの襲撃なので引き返さず進んでいた道をそのまま進めたのが不幸中の幸いだろう。

 

 逃げ出したのは良いが空を飛ぶモンスターをまけるはずもなく、一行は必死に武器を振り回してモスキートを振り払いつつ走る。だがこのままでは限界が来るのはそう遠くない。その最悪の未来に大吾は徐々に焦りだした時

 

「旦那さまっ!!スプレーを使って!」

 

 朱乃のセリフにはっとして2階層では一度も使ってなかった刺激物入りのスプレーを取り出し、ちょうど近くに寄ってきたモスキート相手に吹き付ける。

 

「よっしゃぁー!」

 

 刺激物が掛かったモスキートは首を絞めたような鳴き声をあげて墜落して悶え苦しんでいた。それはまさに虫退治スプレーをかかった虫そのものである。

これなら…逃げる必要は無い!

 

 

 

「ふぅーーーっ!あっついっ!」

 

 朱乃と武蔵に止めと追い込みを任せ、大吾がスプレーで落とすというやり方が決まってからは後は作業的に進んだ。とはいえ数が多かった為、かなり動き回ることになり、すっかり汗で服がひっついている。

 

「朱乃助かったぜ。スプレーのこと完全に忘れていたわ」

 

「うふふ。役に立てて良かったわ」

 

 大吾よりは環境ダメージに強いのか余裕のある笑みが頼もしい

 

「よしっ!先に進むぞ!」

 

 

 

 

「おお(絶句)………」

 

 モスキート集団をなんとか撃破してからは蜘蛛やらバッタやらの虫モンスターをスプレーで問題無く倒していき1時間ほど進んだところ、ついに階段を発見して降りた際このセリフが出た。

 

 第3階層は漆黒の闇が広がる夜ステージであった。視界がまったく効かない夜ステージはそれだけで避ける冒険者もいるほど危険なステージではあるが今の大吾にそんな無粋な事は考える余裕は無い。

 

 人口の明かりはおろか月明かりすら無い新月の夜。それによって浮かび出された満天の星空は町育ちの大吾にとってはあまりにあまりに美しい光景だったからだ。

 

「少し休もう」

 

 大吾は思う。この素晴らしい光景を見れただけで法も常識も無視してダンジョンに潜って良かったと。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。