鬼と呼ばれましたが冒険者になれば英雄になれますか?   作:もぐらたたきアルファ

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第四階層・氷雪登山

 「ふはぁーーー」

 

 武蔵爆散事件と言う悲しい事件を忘れる為に大吾は、一旦休憩している。()()につかって。

 

 この湯はもちろん自分で焚いたわけでは無い。階段から上がって左側の地面から湧き出していたのだ。

 最初に見た時は喜ぶ前にこんなものまであるのかとギョッとしたが、疲労が溜まっていたのと好奇心が抑えられず入ることにした。ちなみに泥と返り血で派手に汚れた服は軽く洗って濡れないように階段の中に並べてある。だれもこないから大丈夫だろう。

 こうなれば雪景色も素晴らしい絶景として見ていられる。朝日を浴びてキラキラ輝く山は素晴らしい。

 

 そんな素晴らしい温泉に大吾は1人で入っているわけではない。大吾の向かい側には別のガードで再び復活した武蔵が体操座りで湯に浸かっている。死のショックはそれなりのようで少し落ち込んでるようだ。

 

「まあ、元気だせよ。新しいスキルも手に入ったし。」

 

 そう二度の復活を果たした武蔵のスキル欄には「生還の心得」というスキルが追加されていた。これは死ぬようなダメージを受けた時ロストを一度防げるという有用なスキルだと冒険者の冊子に書かれていたので大吾にも分かった。

 

「…ダイジョウブ」

 

 暗い顔だが確かにそう言ったことから大吾は信じようと決めて、もう1人の方に気を向けた。

 

()()()はどうだ。腫れは治ったか?」

 

 それは暗黒世界で、仲間になり、大吾たちを導いたローパーに付けた名前であった。そのクールなあり方と戦いぶりが忍者のようだったことが名前の由来である。

 このサスケだが例の桃を収穫して抱えた結果触手が真っ赤に腫れあがっていたのだ。

 

「痛みはおさまってきた」

 

「異常があったら次はちゃんと言えよ。」

 

「承知」

 

 短いが簡潔に答えるサスケとのやり取りは結構悪くない。上手くやっていけそうである。ただ、自分の死がサスケが何も言わなかったせいだと思っているのか武蔵が睨みつけているのが、少々心配ではある。

 

【種族】ローパー【名前】サスケ

【戦闘力】25(初期値20)

【先天技能】

・触手

【後天技能】

・暗殺者の心得

・絞め技

 

 相変わらずスキルの詳細な意味は分からない。だが、暗殺者の心得で隠れながら締め技で仕留めるという感じなのは間違いない。触手は影響あるのか無いのか。まぁいいや。

 

「……よし。交代だ。」

 

 武蔵とサスケを送還し、朱乃を呼び出す。1人だけこの素晴らしい温泉が無しなのは恨まれるから仕方ないのだ。大吾は朱乃を残してさっさと上がった。

 

 

 

 

「よし!これならいける!再出発だ!」

 

 ダンジョンの過酷な環境による疲労を奇跡のような温泉で癒した大吾は再び出発することにした。

 寒さ対策はなんとかなった!まず、大吾自身は暗黒階層で手に入れた桃による力技である。神秘の桃はひとかじりするだけで肉体に活力がしばらくあふれ続ける。持続性があるため極寒フィールドでも耐え抜けるようになるのだ。

 カード達の対策は色々試したあげく武蔵にサスケを巻きつけて体温を確保させるというやり方に行き着いた。ローパーは体重が軽かったため出来た事だ。

 

「「…………」」「この階層を抜けるまでだから我慢してくれ」

 

 武蔵はもちろん感情をあまり出さないサスケですら嫌そうな気配を出している。この2人は相性が悪いのかもしれない。

 

 

 探索は雪で何度も滑りながらではあるが順調に進んだ。何せ雪は降っているがまばらなので視界を妨げないのと、出発地点が高台になっていたので朱乃が地図の大部分を完成させてしまったからだ。次の階段の位置の予想さえ出来てしまったからだ。

 肝心のモンスターは……

 

「ギキャァーっ!!」

 

 もはや見慣れたゴブリンなのだが、初期装備のまま半裸の姿でブルブル震えており、サスケのおかげで寒さをしのげている武蔵は軽く倒してしまった。サスケも触手で目潰しをするなど仲が悪いように見えて良い連携が出来ていた。

 この階層は環境対策のみが重要だったようだ。

 

「見つけた!」

 

 丘にになって向こう側が見れなくなっていた箇所を乗り越えると無事階段を見つけ、過酷な極寒フィールドを後にした。

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