鬼と呼ばれましたが冒険者になれば英雄になれますか? 作:もぐらたたきアルファ
決意を固めてからさらに翌日まで準備に奔走して、3日目の朝
ようやく探索を再開する。
先頭は、拾ってきた木材やトタンで作った軽いがしっかりした作りの盾と腰に大きな石を割って作られた片手斧を差した主人公。マスターが攻撃を受ける可能性を抑える為の武装である。
その後ろを後方からの攻撃に備えた朱乃が包丁を穂先に使った槍を持って続く。
さらに、2人の腰には同じデザインのウエストポーチが付いていた。
1人と1体は、音を立てないよう慎重に進んでいった。奇襲を受けたら不味いと分かっているからだ。
そんなことを考えているうちに最初のゴブリンを、倒した箇所を素通りして何度か分かれた道を曲がったりしていると、遂に目の前に2体のゴブリンが現れた。
あちらも同時に気付いたようで元気に叫び声を上げて走り出してくる。
「いくぞっ!
「えぇ。まかせて!」
俺も同時に走り出して盾を構えて突撃……すると見せかけて先頭のゴブリンに刺激的な真っ赤な液体の入ったペットボトルの霧吹きを顔面に吹きかけた。
百均で追加購入した飲み口に回してつけられるタイプのアイディアグッズだ。
「ぎぃあぁーーっ!!」
刺激物が粘膜に入って悶えるゴブリンを朱乃に任せて次のゴブリンに向かう。
無事な方のゴブリンは相方の悲鳴に驚き足を止めてしまった。
「はぁぁぁーーー」
霧吹きを捨てて今度こそ盾をゴブリンにぶちかます。勢いの乗った一撃は見事ゴブリンを張り倒した。そこからマウントを取りさらに盾の淵でガンガン殴る。
「はっはっー!」
暴力を振るっているとやはりテンションが上がってくる。
「どいて!」
鋭い声に従いばっとゴブリンから離れると、すれ違いでやってきた朱乃が槍をゴブリンに突き刺してトドメを差した。
「やっぱり力は朱乃の方が強いな。あと刃は良い」
撲殺はよほど腕力が無いと難しい。出来ても時間がかかりすぎるので複数でこられるとやってられない。
「包丁は大丈夫か?」
「えぇ。まだまだいけるわ。」
ただ、刃物は刃物で弱点がある。破損しやすくて刃が欠けてしまったら戦えなくなる点だ。一長一短あるので試行錯誤していかなければならないと主人公は思った。出来ればどの武器も使ってみたいとも。
その後10分ほど歩いていたら遠くに階段が見えてきたところだった。目的地が見つかり、喜んで走り出そうとしてピタリと足を止める。
安全地帯の手前に狼に騎乗したゴブリンが門番のように立ち塞がっていたからだ。
こちらを見つけたゴブリンライダーはにぃっと笑みを浮かべ狼を走らせてくる。
「任せて!」
ゴブリンライダーの存在は実は既に知っていた。採集帰りの朱乃が遭遇してしまい追いかけられたからだ。
幸い安全地帯がすぐそこだったので難を逃れたがかなり危ないところだった。故に対策も用意していた。
朱乃はポーチから取り出した瓶を狼の手前に放り投げた。地面に落ちた瓶は割れて強烈な刺激臭がする液体をぶちまけた。
その匂いを嗅いでしまった狼は哀れな鳴き声をあげながらひっくり返る。当然騎乗していたゴブリンは放り出されて主人公達の前まで転がる。痛みに呻きながら見上げた時。己を見下ろす凶悪な2人の笑顔が最後の光景になった。
「オカシラ!オデテキタオス」
ゴブリン2体目を手に入れて安全地帯で召喚してみた。
頭が悪いようだ。
【Tips】迷宮の深さ
深ければ深いほど敵が強力となる迷宮は、その階層数によって大まかにランク分けされている。ランクごとに召喚制限がある。
・Aランク迷宮:推定深さ101階以上 カードの召喚制限十二枚(マスター一人当たり)
・Bランク迷宮:深さ51階以上100階以下 カードの召喚制限十枚
・Cランク迷宮:深さ31階以上50階以下 カードの召喚制限八枚
・Dランク迷宮:深さ21階以上30階以下 カードの召喚制限六枚
・Eランク迷宮:深さ11階以上20階以下 カードの召喚制限四枚
・Fランク迷宮:深さ10階以下 カードの召喚制限二枚
Cランク迷宮であればすべての階層でCランクモンスターが出現するというわけではなく、10階以下であればFランクモンスターしか出ない。
Aランク迷宮が推定となっているのは、未だAランク迷宮の最深層に人類が辿りついていないからである。
最深層には、その迷宮のランクよりワンランク上のモンスターが待ち受けており、それを便宜上“迷宮主”と呼んでいる。主はランクが一つ上なばかりか迷宮からバックアップを受けており、能力の強化や配下を召喚する権能を与えられている。
原作【Tips】まとめ1参照