がっこうぐらし!RTA強化禁止縛り女装男子ルート   作:ナナシマのゴンベ

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だいはちわ 二階制圧

 恩讐の彼方を目指すRTA、はーじまーるよー。

 前回は、めぐねえを闇落ちさせました。

 

 今回は、見張りの途中に寝落ちした所さんからです。予め、くるみに早起きを頼んでおいたので、眠っている姿を見られてもお説教はありません。

 それにしても騒がしいですね。レバガチャでアス君を叩き起こしましょう。

 

【知らない天井だ】

 

どうやら、アス君と要介護(めぐねえ)は放送室の前にいるままで、掛け布団代わりのカーテンをかけられたようですね。

 まあ、放送室にも碌な寝具はないので、わざわざ運び込む必要はない、と判断したのでしょう。……簡易布団を集めなかったのはガバですが、昨日の食事でお釣りが来ているので続行します。

 さて、アス君が起床したので、周囲を確認します。

 

「それじゃあっ、くるみ達が噛まれたらお終いじゃない!」

「ゆうりが噛まれても終わりだろ!」

 

えー、くるみちゃんとりーさんが言い争ってますね。なんで? え、なんで? りーさんが発狂するのはいつもの事ですが、ゴリラの正気度低くないですか?

 ……とりあえず、話を聞いてみましょう。

 

「あー、その、な……、りーさんが、戦い方を教えてくれ、って言いだしたんだ」

「だって、今戦えるのって、くるみととおるさん、一応たかえさん、の三人だけでしょ? やっぱり、一度くらいは()()()と、その……」

「その一度で、殺されかねないって言ってるだろ!」

「それは、あなただってそうじゃない!」

 

おおう、話を聞いたら、またギスギスし始めましたね。とりあえず、めぐねえを起こし……、いや、ダメですね。生徒が自主的に戦おうとするとか、要介護(めぐねえ)の正気度を削る案件です。

 話上手ネキを呼ぶ……、いや、ダメですね。くるみに賛成するでしょうし、宥めようとして逆効果になるのが目に見えてます。

 

「おっはよー!」

 

ゆきちゃん! 空気清浄機YUKI-Chanと称えられる彼女なら、この空気を換えてくれるはず!

 

「どうしたの? みんな、顔怖いよ?」

「な、なんでもないのよ。ただちょっと、焦りすぎてたみたいで」

「あ、ああ。それより、たかえ起こしてきてくれ。めぐねえも起こして、飯にしようぜ」

 

りーさんもゴリラも冷静になってくれましたね。りーさんの戦闘訓練に関しては、二階の制圧の時にでも行うとしましょう。

 

 では、食事をしつつ本日の方針を決めましょう。ちなみに、メニューは昨夜のカレーです。カレーの日の翌日に残ったカレーを食べるのはよくある事なので、同じメニューが続いても正気度が下がらないのが嬉しいです。

 閑話休題。本日の目標としては、図書館・食堂・購買・美術室・家庭科室の確保になりますね。

 

「やっぱ家庭科室は必要だよね。今は購買に制服があるからいいけど、どっかで洗濯しないと」

「そうですね。じゃあ家庭科室まで確保して、美術室との間にバリケードを作りましょうか」

「何で作る? 家庭科室の机って、床とくっついてなかったか?」

「食堂から運ぶしかないわね。図書室のも使えるかしら?」

 

個人的には、美術室で「工作」スキルを使いたいんですがね。ただ、他のメンバーが美術室の攻略に乗り気でないのなら、今は諦めましょう。

 無理に行動して紐ルートになるくらいなら、今ある設備で装備を整える方がうま(あじ)です。

 

 それでは、編成を決めましょう。二階制圧はアス君とゴリラ、三階の死体遺棄は残りのメンバーに任せます。特に、りーさんとチョーカーさんには「バリケードに取り付いたかれらを倒す」事も伝えておきましょう。

 

「あ……、そうね。なにも、正面から戦う必要はないものね」

「だね。ところで十流、あの振り子みたいなやつ、私にはくれないの?」

 

そういえば、たかえ嬢には渡していませんでしたね。お詫びも兼ねて、大きめのをプレゼントしましょう。

 

「え、どこから出したの?」

 

これも「持ち運び」スキルの恩恵ですね。ポケットに物を入れすぎて服の耐久度が減る、というデメリットも無視できます。

 

「はー、なんかコツがあんだね。今度、ヒマな時にでも教えてよ」

 

お、スキル習得イベントが出ましたね。二階の物資を運ぶ時にでも手伝わせつつ教えましょうか。

 

 では、購買のバックヤードから制圧していきましょう。といっても、部屋のサイズ的にモンスターハウスでも10人程度で、味方には無敵のゴリープラチナがいます。いえ、今は精神が不安定なクレイジーゴリラモンドでしたね。

 いずれにせよ、制圧シーンは倍速です。正直、破壊力AスピードAのゴリラから、どれだけ多くの経験値(かれら)を掠め取れるかの勝負ですからね。アス君も覚醒した今、負ける要素が一切ありません。

 

【ドラァッ!】

 

はい、バックヤード・厨房・食堂の制圧が終わりました。図書室は本実況では初めて訪れるので等速で流します。

 

「……、いないな」

 

誰もいませんね。いえ、司書室に一人いました。せっかくなので、ボーラの試し打ちをしましょう。

 おっと、まだ「強肩」スキルを取っていませんでしたね。めぐねえを闇落ちさせて貰ったポイントで取得しましょう。

 では、投擲開始です。錘の一方を持って紐ともう一方の錘を回転させ、足元の模様めがけて投げる! 反射したボーラが元司書の足に絡みつき、錘の衝撃で倒れましたね。

 

LEVEL UP

 

しかも、頭を打ったようです。確率とはいえ、即詩の入る飛び道具は便利ですね。

 

「へー、そう使うのか」

 

そういえば、使い方を説明していませんでしたね。後で「投擲」スキルの講座も開きましょうかね。

 では、購買を確認しましょう。まあ、奥側の扉は前日に棚で封鎖してあるので、やはり入り込んではいませんね。その代わり、廊下に三体ほどいるので倒しておきましょう。

 

「やってみていいか?」

 

シャベルゴリラがボーラゴリラに転職するようです。大人しく見守りましょう。……身も蓋もない事を言いますと、投げ物なんか使わず突撃しても倒せると思いますけどね。

 

「よしっ!」

 

一体を倒してガッツポーズするくるみちゃん、可愛いですね。まあ、脚がへし折れている標的(かれら)を見なければの話ですが。これ、(スマホ)を頭に投げるだけでも十分だったのでは?

 あ、残りが気づいたようなので処理しましょう。ニュー上履きキックを食らえ。

 

「よし、残りは家庭科室か」

 

一応、準備室もありますが無視して良いでしょう。用があるのは洗濯機と、裁縫するならミシンが欲しいくらいですからね。

 当然、制圧は倍速です。まあ、シャベルの隙間を縫ってキックするだけですからね。

 

「楽勝だったな。……なんか、少なくないか?」

 

まあ、二日目(実質初日)に2-Aと職員室でモンスターハウスを引きましたからね。それに、特別教室は頻繁に利用する場所でもないので、かれらの数は控え目だったりします。

 

「あー、週に一回使うかどうかだよな、平均したら」

 

閑話休題、二階の制圧が終わったので、三階の掃除をしているメンバーを呼びにいきましょう。

 

「そうだな。……いや、ちょっと待って。なんか、嫌な予感がする」

 

それを聞いたアス君も警戒態勢になります。

 

「気のせいかな……。なんか、やつらの声が多くなってないか?」

 

(気のせいじゃ)ないです。というのも、本日の起床時間は遅めだったからです。前日に厨房や購買を漁ったおかげで、疲れが溜まっていたんですね。

 そうです、七日目(あめのひ)を乗り切る最後のフラグ「混雑時(昼)の食堂を確認する」です。

 

「やべえ! 来るぞ、どうする!?」

 

逃げます。先頭集団の一体にボーラを当てれば、転ぶなり詩ぬなりしたかれらに後続が足を引っかけ、即席バリケードの出来上がりです。

 動きを封じている隙に逃げましょう。あ、当然ながら試し打ちしたボーラ2つは回収済みです。

 

「よし、行くぞ」

 

味方にぶつからないよう、少し離れてからボーラを回しましょう。勢いがついたら投げて、結果も見ずに走ります。道中で制圧した部屋の扉を閉めるのも忘れずに。

 階段まで来れば一安心です。そうだ、後で階段や踊り場に有り余っている食器を置いて足場を悪くするのもありですね。

 

「二人ともどうしたの!?」

 

職員準備室の掃除をしていたりーさんが出迎えてくれました。シャベルは……綺麗なままですね。使い方を教えていないので、ボーラでキルスコアを稼いでもいないでしょう。

 

「あいつら、いきなり集まってきやがった!」

「こっちに来てるの!?」

 

来ては……なさそうですね。

 

「良かった……。それにしても、なんで集まってきたのかしら?」

 

りーさんの疑問を聞いたら、時計を確認しましょう。くるみとりーさんも、つられて時計を見ます。

 

「もう昼か……」

「もしかして、お昼ご飯を食べに来た、とか?」

「あー……、あるかもな。あいつら、夜にゃいなかったし」

 

これでフラグ回収は完了しましたね。では、我々も昼食にしましょう。おお、カレーうどん……、そろそろカレーライスに飽きてくる所さんですからね。

 

 ご飯を食べ終えたら、引き続き二階の制圧をしていきましょう。といっても、扉を破られた部屋で残党狩りをし、廊下のかれらを処理してバリケードを作るだけですね。

 

「授業をしませんか?」

 

あ、要介護……もとい、めぐねえが誘ってきましたね。闇落ちした結果、罪悪感や使命感に押し潰される事がなくなり、要介護を脱却しています。闇落ちとは。

 

「…………まあ、午前中の方が、あいつらも少ないみたいだしな」

 

ごりらちゃんは二階の制圧を明日に回すつもりのようですが、ここは押し通しましょう。というのも、ここで確保しておきたい物があるからです。

 矛盾塊をボーラで倒した(ダブルミーニング)事で得た経験値を使い「美声」スキルを取ります。では、説得していきましょう。

 

【購買のお弁当とか、冷凍庫に入れておきたくない?】

「それは、そうですが……」

【CDを聞き終えたら、ケースにしまってから次のCDを開けるでしょ? 誰だってそーする、僕もそーしたい】

「あー……、そうか?」

【何より、授業をサボる為なら何でもする!】

「明日葉さん!」

「だな! いっちょやりますか!」

 

はい、無事に説得できました。なお、翌日は確定で授業となりますが、体育と称してボーラの使い方を教えられるのでうま(フレーバー)です。

 では、二階の制圧からバリケードの設置まで倍速で流していきます。正直、もう負け筋も見所さんもないんですよね。

 どうして等速に戻す必要があるんですか?

 

「…………なあ、りーさん呼んできてくれないか?」

 

はい、朝の約束を果たす為ですね。かれらを購買と食堂に1体ずつまで減らしたので、ここで恵体コンビの(かれら札害)処女を散らしましょう。

 では、三階に戻って二人を呼びましょう。

 

「ええ、すぐ行くわ!」

「…………わかりました」

 

ヤる気マンマンなりーさんと、静かに闘志を燃やすめぐねえ。彼女たちを引き連れて二階へ行きましょう。

 

「早かったな」

 

まずは食堂に入りますと、既に調理済みの矛盾塊がいました。手足は折れて、うつ伏せなので嚙みつく事もできません。

 ちなみに、購買の方の矛盾塊はどうなりました?

 

「あっちも同じようにしといた」

 

手際が良いですね。ならば、二手に分かれましょう。食堂をゴリラとめぐねえに任せ、アス君はりーさんと購買に行きます。これなら、りーさんが頃し損ねても拗れる事はないはずです。

 

「ああ、そっちは任せた」

 

 では、りーさん。無防備な詩に損ないに慈悲を与えましょう。

 

「…………………………ええ、そうね。そうよ、これは慈悲。必要な事。私は、私は、私は、私は、私は、私は、私は、できる!」

 

シャベルが矛盾塊を貫きました。詩体蹴りを続けると正気度が下がりますので、りーさんを宥めましょう。

 流石りーさん、よくできました。あなたならヤれると信じてました。でも、もう成し遂げたんだから、リラックスして大丈夫ですよ?

 

「ええ、そうね。私……、やったわ! やれた、やれた、やれた、やれた、やれた!」

 

うーん、正気度が低いのが見て取れますね。まあ、サイレント発狂よりは断然マシです。それに、戦闘での正気度減少が減るので七日目(あめのひ)にはお釣りが来るでしょう。

 何より、そろそろ誰かの正気度を下げておきたかったんですよね。そうしないと学園生活部を結成できませんし。

 閑話休題。「美声」スキルを使いつつ、りーさんを落ち着かせましょう。

 

【よく頑張ったね、りーさん】

「……とおるさん、手を、握ってもらってもいい?」

【もちろん。では、お手を拝借】

 

LEVEL UP

 

おお、二回目の信頼イベントが来ましたね。これで半覚醒までは行ったはずなので、ゲームオーバーの危険性が大幅に減少しました。

 りーさん由来のガメオベラが、試走の半分を占めますからね。(超いっ敗)

 

「さ、行きましょ! めぐねえから聞いたんだけど、お弁当を厨房に持って行くのよね?」

 

では、弁当・おにぎり・パンを厨房に運んでいきましょう。ここで、りーさんの「目利き」スキルが括約します。消費期限に関わらず、食中毒を引き起こす物を除外してくれます。

 あ、仕分けするのは良いんですけど、どうやって運びましょう? いくら「持ち運び」スキルがあっても、物理的な積載量は増えませんからね。

 

「……え? 普通にレジ袋使えばいいじゃない」

 

…………あ、そうでしたね。エコバッグを日常的に使っているので忘れてました。(唐突な善人アピール)

 

「とおるさん、たまにポンコツになるわね」

 

いえ、アス君は素でポンコツです。それを走者のリアル知力で補っています。え、走者もポンコツ? せやな。

 では、食糧を仕分けしている間、みーなーさーまーのーたーめーにー(詠唱開始)

 

 「美声」スキルの解説をします。(詠唱破棄)

 このスキルの効果は「良い声を出す」だけです。が、そのシンプルさゆえに応用の幅が異様に広いのが特徴です。

 まず、良い声なので説得力が高まります。実際、話の内容よりも話し方の方が重要、という研究結果が出ています。

 次に、良い声なので遠くまで届きます。オペラ歌手とか声優とか、声量も求められますからね。

 更に、大声を出せるので肺活量も高まります。つまり、持久力が向上します。

 

 ただ、ここまで優秀な「美声」スキルにもデメリットがあります。それは「キャラボイスが実装されているバージョン(しかもフルボイスのみ)にしか存在しない」という点です。ウォンテンドーボッスン版では、つい先日のアップデートで追加されました。

 それと、知力への上昇補正がないので、説得するにしても説得内容そのものを用意できない点が欠点ですかね。話すネタを用意するには別のスキルか味方のサポートが必要となります。

 

 ちなみに、アス君は「音楽」スキルと「美声」スキルをバラバラで持っていますが、複合スキルである「歌唱」も存在します。

 ただ、こちらは複合スキルなので習得に2ポイント必要ですし、初期スキルとして見ると楽器を所持できないので微妙ですね。

 

 さて、荷造りも終わったので厨房に向かいましょう。さて、めぐねえの覚醒ガチャはどうなっているでしょうか?

 

「「…………っ!」」

 

りーさんのシャベルを見たゴリラ(くるみ)要介護(めぐねえ)が凄い顔をしましたね。ええ、はい。ルビでお分かりの通り、覚醒ガチャは爆死しました。

 その証拠に、要介護(めぐねえ)のバサ槍は綺麗なままですね。しかも、矛盾塊の周りには刃物の跡が大量にあります。無駄に耐久度を減らさないで欲しいんですがねえ。

 いえ、この際なので覚醒2号(ゆずむらたかえ)のバサ槍と一緒に強化改造を施しましょう。というか、購買にあった高枝切りバサミ(片刃)からカバーを外して槍にする方が効率的ですね。

 

「くるみ、運ぶの手伝って。まだ購買に沢山あるのよ」

「……ああ、わかった」

「運ぶのはレジ袋に入ってるのだけよ。他のは危ないから捨てちゃって」

「……おう」

 

やっぱり、くるみの正気度が低いですね。要介護(めぐねえ)が詩に損ないを始末し損ねるのを何度も見て、精神が擦り減ったのでしょう。生徒の心を守るんじゃなかったんですかねえ? ……まあ、いいでしょう。(IZK)

 とりあえず、アス君と要介護(めぐねえ)でバリケードを作成しましょう。ついでに「美声」で話しかけて、少しでも正気度を回復させましょうか。あ、それなら三年C組のYTコンビも呼んで、人手とヒーラーを増やしましょう。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「知らない天井ね。……なんちゃって」

一回言ってみたかった台詞を言ってみる。ここは放送室で、私たちはカーテンを布団代わりに眠っていた。

「うーん、昨日よりはマシだけど、やっぱりお布団が欲しいわね」

「だな」

誰かが返事してきた。金属が床を擦る音がする。くるみのシャベルだろう。

「んじゃ、見張り代わってくる」

「なら私も一緒に行くわ。コーヒーでも淹れましょ」

「おっ、サンキュー」

 

 放送室の外では、めぐねえととおるさんが眠っていた。

「どうする、運ぶか?」

「んー、そうね……。あんまり変わらないんじゃない?」

「だよなあ……。じゃ、掛け布団くらいはかけてやるか」

「そうね。何処かで、ちゃんとしたのが手に入らないかしら」

「校長室とかのソファーだけじゃ足りないよな」

「購買、後はバックヤードに何かないかしら」

くるみと相談しながら、めぐねえ達に布団(というかカーテン)をかける。

「あら、これ何かしら?」

「ん、何それ? パンフレット?」

「緊急避難マニュアル、だって」

二人で顔を見合わせ、

「「あ」」

気づいた。何処かに、非常用の備蓄とか、ある筈よね。

「なんか、こう、避難所とかにある、簡易布団だっけ? あんなの、ウチにもあるよな」

「そうよね……、後で探しましょっか。ていうか、めぐねえ知ってる筈よね」

先生用の避難訓練とか、あるわよね?

 

 二人で見張り……、といっても、何も来ないから、ただ座っているだけだった。

「ねえ、くるみ」

「ん、なんだ? りーさん」

「戦い方、教えてくれない?」

「……ッ!」

ザリッ、と床を削る音が響いた。

「ダメだ。戦うのは、あたしだけで……、あ、いや、とーるもか。あたしととーるの二人だけで良い」

それじゃあっ、くるみ達が噛まれたらお終いじゃない! それに、私たちは同じ学校(いえ)で暮らす家族だ。辛い事を、誰かに押し付けて、自分は綺麗なままなんて、許される筈がない。

「ゆうりが噛まれても終わりだろ!」

それから、とおるさんも交えて言い争い(今から思えば、狼狽えているだけだったけど)、掴み合いになる直前で

 

「おっはよー! どうしたの? みんな、顔怖いよ?」

なんて、底抜けに明るい、ゆきちゃんの声がした。

「な、なんでもないのよ。ただちょっと、焦りすぎてたみたいで」

頭が冷えていく。少し、焦り過ぎていたのかもしれない。余裕ができた時に、また頼んでみよう。

 

 それから、職員室の見張りをしつつ簡易布団や非常用持ち出しバッグを集め、途中でくるみ達が慌てて上がってきたりして。

「りぃーさぁん、めぐねえぇー、生きてるー?」

のんびりとした声で、とおるさんが呼んできた。

「どうしたの?」

「何かあったんですか!?」

めぐねえが慌てて寄ってきた。

「安全確保できたし、一回()ってみない?」

くるり、とカッターナイフを回した。

 

 めぐねえとくるみを食堂に残して、私たちは購買に入る。そこには、手足を折られた何か(かれら)がいた。

「これって……」

園芸部のシャベルを握りしめる。くるみのと違って、綺麗なままだ。だって、これは予備のシャベルで、土を耕す事も人を殺す事も、やっていないから。

「では、りーさん。無防備な死に損ないに慈悲を与えましょう」

…………………………ええ、そうね。そうよ、これは慈悲。必要な事。私は、私は、私は、私は、私は、私は、

「私は、できる!」

シャベルを振り上げ、振り下ろす。肩に掠った程度だ。これじゃない。先端を()()の頭に突き付け、体重をかける。突き刺さり、止まった。本当に? シャベルを抜いて、もう一度突き刺す。またシャベルを抜いて

「流石りーさん、よくできました。信じてたよ。でも、もう成し遂げたんだから、リラックスして大丈夫ですよ?」

その手をとおるさんが拭いてくれる。血が付いていた。

「ええ、そうね。私……、やったわ! やれた、やれた、やれた、やれた、やれた!」

「よく頑張ったね、りーさん」

喜びと、少しの恐怖。ああ、手が震えている。

「……とおるさん、手を、握ってもらってもいい?」

【もちろん。では、お手を拝借】

 

握った手は、思ったより大きかった。

 




所持スキル
音楽、カポエイラ、×××××、×××××、投擲、工作、全力、持ち運び

習得スキル
強肩、美声

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