デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~   作:瑞田高光

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プロローグ ~旅立ち~
プロローグ ~選ばれし子ども達の新たなる旅立ち~


 ルーチェモンを倒して、デジタルワールドを救ってから1年が経過した夏休み……渋谷駅に2人の少年達がやって来ていた…………

 

 

「そういや、友樹君は最近サッカーチームに入ったんだっけ? 拓也君と一緒の……」

 

「うん! まだ、始めたばっかりだから上手くないけど……新しい友達も出来たし、練習は楽しいよ!」

 

 髪は短めのショートで服装も黒っぽいシャツにオリーブ色の七分丈のパンツを着用している第一印象だけならば爽やかイケメンと言える少年……“木村輝一”は隣で歩いてる薄い水色のシャツに茶色の半ズボンを着ており、茶色のハンチング帽を被ったまだあどけなさの残る顔つきの男の子……“氷見友樹”に話し掛けた。友樹は頷いて笑みを見せながら輝一の問いに答えた。

 

「でも、突然呼んじゃってごめんね?」

 

 輝一は少し申し訳なさそうに話すと、友樹は首を振って気にしないでという顔で語った。

 

「ううん! 別に気にしてないよ! 輝二さんの誕生日プレゼントを選ぶなんて楽しそうだもん!」

 

 そう、彼らはこれから二人で輝一の双子の弟である輝二への誕生日プレゼントの買い出しに来ていたのだ。

 

「それにしても、何が良いかなぁ……」

 

「そうだね…………」

 

 二人がそのプレゼントをどうしようか考えていると……突如として二人のズボンのポケットの中で携帯電話が震えた。

 

「「っ!!??」」

 

 二人は慌てて携帯電話を取り、受信メールを確認する…………すると、そのメールにはこう記されていた。

 

『あなた方の世界とは別の世界のデジタルワールドに危機が迫っています。その危機を救う勇気はありますか?

・YES

・NO』

 

「輝一さん……これ!」

 

「うん。僕の所にも届いた……これ、文面は違うけど…………あの時と同じだ……」

 

 二人は迷うことなく、YESを押した。自分達とは違う世界のデジタルワールド……そこが危機に瀕している。ならば、助けないと。二人の決意は同じだった。

 

 すると、再び電話が震えた。また受信メールを確認すると、今度はGPS機能の様なものが画面に記されていた……そして、画面には1つの矢印が表示されていた。

 

「……この先に進めって事かな?」

 

「多分、そうだよ……輝一さん、行こう!」

 

「うん!」

 

 二人は矢印の先にある場所を目指し進んだ。

 

 そして、二人が辿り着いたのは一基のエレベーターの前に辿り着いた。矢印はここでエレベーターを指差していた。

 

「…………行こう」

 

「うん、僕達に出来る事があるなら助けたいしね!」

 

 輝一は友樹の言葉に頷いて二人でエレベーターに乗り込み、B2Fのボタンを押した。

 

 

 

 そしてエレベーターが止まり、扉が開くとそこには1年前のあの日とほぼ変わらぬ光景が広がっていた。

 

「着いた!」

 

「でもトレイルモンの数が……」

 

 そう。友樹の言う通り、1年前にはすべての乗り場に居たのだが、今は2箇所にしか停まっていない……そして、二人の携帯に表示されている矢印は別々の乗り場を示していた…………

 

「僕はコッチだ!」

 

「僕はコッチだね…………どうやら、違うトレイルモンに乗らないといけないようだね……」

 

「うん……」

 

 友樹は輝一の言葉を聞いて少し顔色が暗くなる……

 

「大丈夫?」

 

「うん……大丈夫! 僕はいつまでも守ってもらうだけじゃないもん!」

 

「そっか……それじゃ、元気でね!」

 

「うん!」

 

 友樹と輝一は軽く握手を交わすと、互いに目的のトレイルモンへと向かって走り出した!

 

 

 

 

 

 

 

 一方、お台場小学校のパソコンルームでは……

 

「なぁ、今までこんなことあったか? タケル……」

 

「無かったよ……」

 

「そうね…………光子郎君は試験勉強してるし……京ちゃんも受験だからね…………」

 

 赤茶色のボサボサの髪にゴーグルをつけた少年……本宮大輔は、少し暗めの金色の髪を持ち、白い帽子を被る少年、高石タケルに訊ねた。タケルは大輔の言葉に少し苦い顔をしながらも頷いた。そして、オレンジ色の髪を持つ女性……竹之内空はパソコンに詳しいメンバーが居ないことを呟く。

 

「それにしてもよ……今まであったか? 3台のパソコンにデジタルゲートが開くなんてよ…………」

 

「それに、僕達が特定のパソコンの前に来ないと開かないなんて……」

 

「私のデジヴァイスでも開くのかしら……」

 

 大輔は少し顔をしかめつつパソコンの前に立ち、タケルもまた、複雑な顔でその隣のパソコンの前に立った。不安そうな顔をする空もまた、タケルの隣のパソコンの前に立った。

 

「今更っすよ……それじゃ、行くぜ!」

 

「うん!」

 

「そうね、行きましょう!」

 

 大輔の言葉に空も決心したようで、頷く。そして3人は各々のデジヴァイスをパソコンの画面へと向ける。

 

「「「選ばれし子ども達……出動!!」」」

 

 そして、3人が同じタイミングで言うと、3人の体はそれぞれ別のパソコンへと吸い込まれていった……

 

 

 

 

 はたまた、新宿中央公園では一人の髪を上の方で1つに纏めた少女が歩いていた…………

 

「はぁ……そういや、あれからもう半年かぁ…………レナモン、元気にしてるかなぁ……」

 

 彼女の名前は牧野留姫。半年前にデ・リーパーを退けた後、パートナーであるレナモンと別れて以来、留姫は今までとは違い笑顔が多くなっていた。

 しかし、レナモンの事を忘れた事は一度も無く、時折この様に新宿中央公園に足を運んではある場所へと向かっていた。

 

 

 

「あ、まだ残ってるんだ」

 

 留姫はその場所に辿り着くと懐かしそうに目を細めた。すると…………

 

「……ん、何か様子が…………!?」

 

 留姫はふと辺りに違和感を覚え、辺りを見渡す……すると、周りのすべての動きが止まっていた…………風で揺れていた木々の葉や、風に揺られる一輪の花……ふと、後ろを見れば先程までおいかけっこをしていた子ども達もその動きが止まっており、動いているのは留姫だけだ。まるで、留姫以外の時が止まったかのようだった……

 

「何……これ…………?!」

 

 留姫が戸惑っていると留姫の足元に不思議な色をした穴が広がった。

 

「キャアアアアアアッ…………」

 

 重力には敵わず、留姫はそのまま穴の中へと消えていった……そして、その穴が消えると、止まっていた時が再び動き出した。

 唯一違うのは、留姫がこの公園から姿を消した事だけだった…………


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