デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~   作:瑞田高光

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第2話 ~出会いその2・そして、各々の想い~
小熊の心に秘められし大きな想いと少女の暖かい優しさ


「…………う、うぅ……」

 

 ボクが目を覚ますと、そこはいつもの石造りの部屋じゃなくて木で出来た天井だった。

 

「こ、ここは…………「あ、気付いた?」!?」

 

 声が聞こえてきて振り向くと、そこにはあの少女がコチラを見ていた。その腕には手枷がついてなかった。それに気づいたボクは起き上がって叫んだ。

 

「お前っ……ここは何処なんだっ! そしてどうやって脱け出したっ!!」

 

「少しは貴方も利口になったら?」

 

「っ!?」

 

 ボクの叫びに静かに答えた別の女の声が聞こえその方を振り向くと、そこにいたのはもう一人の少女とレナモンがコチラを見下ろしていた。

 

「お前をあの場から救い出そうと言ったのは奈緒だぞ」

 

「貴方、どうしてそこまで人間を嫌うの?」

 

「っ……そ、それは…………」

 

 レナモンと少女の言葉にボクは言葉を詰まらせた。誰にも……言えない過去があると言うのに…………

 

「別に、言わなくても良いわよ」

 

 ボクがどう返そうか迷っていると、突然、あの少女が笑って告げた。

 

「……え? な、なんで……」

 

 ボクは思わず訊ねた。そして、問われた少女は少し首をかしげた後、微笑みながらこう言った。

 

「だって……誰にでも辛い過去はあると思うんだ。私もそんな過去を持ってる…………その過去は話したくない。君も同じなんでしょ? なら、無理に話さなくて良いよ。話したくなったら、話してくれればそれでいいから」

 

「……!」

 

 その時の少女の微笑みを見てボクはある少年を思い出した。

 

 

 

 

『僕は君がどんな過去を持っていようと、僕は君の味方だよ。だって、僕は君の…………』

 

 

『に、げて…………! アイ、ツに……捕まらないで!』

 

 

 

『ぼ……くは、君が、たす……けに…………きてく、れるの……を…………待ってる』

 

 

 

 

「…………」

 

「ど、どうして泣いてるの!?」

 

 少女の声にハッとして腕で涙を拭った。いつの間にか涙を流していたらしい…………それにしても……

 

「…………か」

 

「え……?」

 

「…………いや、なんでもない」

 

 ボクは不思議そうに首をかしげる少女にそう言って考え始めた。

 

 ボクは多分……あのお方…………いや、あの男の元に戻っても…………許されるとは思えない。痛め付けられるだけで済むとも思えない…………それなら……痛みに耐え抜くのは…………もうこりごりだから…………

 

「……名は?」

 

「え?」

 

「お前の、名は?」

 

「…………私は峪奈緒。奈緒で良いよ」

 

 少女……奈緒は笑って名を教えてくれた。なお…………か。

 

「アイツと一緒の名か」

 

「え……?」

 

 奈緒になら……奈緒にだけなら、話しても…………良いかな?

 

「いや、何でもない。…………なあ、俺の過去……聞いてくれるか? あと、出来ればボクと奈緒の……二人きりにしてほしい。別に危害を加えるつもりはないからそれは安心してほしい」

 

「え、でも……」

 

「…………なら、私達は席を外そう。」

 

「うん。私たち、この場所の外にいるから……終わったら、呼んでね」

 

 すると、少女とレナモンはアッサリと快諾してくれて二人きりにしてくれた。

 

「……ゴメン。突然、二人きりにしてほしいって言っちゃって…………で、でも……ボクは君に……君だけに、ボクの過去を伝えたいんだ」

 

「ベアモン…………分かった。その代わり、話に嘘は付かないでよ?」

 

「…………うん、分かってる。

 

 

 

これから話すのは、紛れもない……ボクの過去だよ…………

 

 

 

 

 

ボクはね、元々はある少年のパートナーだったんだ。その少年はすごく笑顔が一杯でね、無邪気な子だったんだ。

ボクとその少年……直(なお)は毎日色々な場所を旅しててね。とても楽しい毎日だった。

でも、ある日……あの男と1体のデジモンがやって来たんだ。その日から…………このデジタルワールドは変わってしまった。

 

その男とデジモンはこの世界に来るなり……ある事を始めたんだ。

 

 

 

 

 

それは『子ども狩り』。選ばれし子どもを……いや、それだけじゃない。デジタルワールドに来ている子どもは当然のごとく、リアルワールドからも人間の子どもとかを引き込んでいるんだ。

そして……その男の魔の手は直にも及んだんだ…………

 

 

 

『坊主……私のもとにこないか?』

 

『嫌だ! お前が連れ去った子ども達を返せっ!!』

 

『直の言う通りだっ!』

 

『……仕方ない。殺さぬ程度に痛めつけて捕獲しろ、…………モン』

 

『…………Yes、マイマスター』

 

 

 

『あ、うぅ…………』

 

『直っ……直を、どうす……るつも、りだっ…………!』

 

『コヤツは私の思想に相反した。道具として償わせなくてはならぬ…………が、貴様。貴様が私の元に来ると言うのなら少しは考えてやろう』

 

『っ……もし、断ったら…………』

 

『コヤツは我が同胞のただの玩具(オモチャ)となるだけだ』

 

『…………分かった。お前の元に行くよ。その代わり、直は……』

 

『あぁ、しかと生き長らえさせてやる』

 

 

 

 

 

……と、言うわけでボクはあの男に負けて……奴の元に下った。ボクの背中の傷は…………あの男との戦いで負ったもの……今でも、痛むんだよね…………」

 

 ボクは苦笑いをすると、背中の傷に軽く手を当てながら話を終えた。今でも痛むこの傷は……ボクにとっては忌むべきもので…………悔しさを忘れない為の戒めでもある。

 

「…………ねぇ、ベアモン」

 

「…………? どうs……え、な、奈緒!?」

 

 うつ向きながら訊ねた奈緒に疑問を抱いて首をかしげていたボクだったけど、突然抱き付かれて戸惑った。

 

「そんなに辛い想いをしてたんだね……辛かったよね…………」

 

「っ……」

 

 ……奈緒はボクを優しく抱き締めながらポツポツと話し始めた。抱き締める力は強くない。ボクならすぐに抜け出せる筈だけど…………なぜか体に力が入らなかった。それどころか、涙が出てきそうだった。

 

「こんな小さい体に一杯辛いこと抱えないでよ……」

 

「……!」

 

『僕はさ、君が辛いならその辛さを分かち合いたい』

「私ね、ベアモンの辛さを一緒に分かち合いたいの」

 

 自然と……ボクを抱き締める奈緒の姿が…………僕の記憶の中の直と被る……

 

「『だから……泣きたいときは思いっきり泣いて良いんだよ?』」

 

 ボクは……もう、涙を堪える事が出来なかった。だから…………

 

「ヒグッ……うわあああああああん!」

 

 ただただ、奈緒の胸の中で泣きじゃくった。今までの積もりに積もった辛い思いや不安な気持ちの全てを体の外に出すように…………

 

 

 

 それから数分経過し、泣き止んだベアモンは奈緒から一度離れた。

 

「……ゴメンね、突然泣いちゃって…………」

 

「ううん! そういうの気にしないで!」

 

「でも……これから、どうしよう…………ボクが、あの城から逃げちゃったから…………直は……」

 

ベアモンはハッと何かに気付くと、不安そうな表情を浮かべた。ベアモンは、不本意ながらも城を離れてしまった故に、直が心配になってきたのだ。

 

「な、ならさ! 私と一緒に……直君を連れて帰ろう?」

 

「えっ!? …………え、いい……の?」

 

 奈緒は励ます様にベアモンに話し掛けた。ベアモンは少し戸惑いながらも訊ねた。

 

「うんっ! だから……直君が帰ってくるまで…………私がパートナーになるよ! 多分、これから辛いこととかたくさんあると思う。でもね、パートナーなら、それを半分こにできるし……嬉しいことは二倍に増えるから!」

 

「…………う、うん! 宜しくっ!」

 

 奈緒とベアモンがギュッと手を握って握手を交わした…………その時、奈緒のポケットの中から何やら光が漏れ始めた。

 

「え…………?」

 

 奈緒が不思議そうに光源となっているを取り出すと、それは奈緒の携帯だった。少しすると、奈緒の携帯は少しずつ形を変えていき……最終的には、デジヴァイスの姿へと変化した。そのデジヴァイスの色は、明るい黒こげ茶色をしていた。

 

「これが……私のデジヴァイス…………!」

 

 奈緒が自身のデジヴァイスを手に取り、優しくギュッと抱き締めていると……突然、レナモンが姿を現した。

 

「奈緒っ、ベアモン! 敵襲だっ!!」

 

「「えっ……!?」」

 

 奈緒とベアモンは互いに顔を見合わせて、レナモンと共に部屋を出た。共に力を合わせて戦うために…………


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