デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~   作:瑞田高光

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辿り着いた先には……そして、仲間を案じ心配する希望の想い

「……それにしても、このドラクモンは何処から来たんだろうね…………」

 

「うぅん……わからないなぁ…………」

 

 あれからタケルと自己紹介を終えた桂吾は、ドラクモンが何処からやって来たのかを一緒に考えていた。その時、ふと横で考えているタケルの横顔を見ながら別のことを考えていた。

 

「(そう言えば…………友達が僕とタケルが似てるって言ってたけど……何処が似てるんだろう…………? 確か、外国とのクォーター……なんだよね…………? でも、僕は純粋な日本人(の筈)だし……タケルはお兄ちゃんが居たけど…………僕は一人っ子。似てるとこなんて無いと思うんだけどなぁ…………)」

 

 桂吾がボオッとタケルの横顔を見ていると、視線に気付いたようにタケルが桂吾の方を見て首をかしげ訊ねた。

 

「……ん、どうしたの? 僕の顔に何か付いてる?」

 

「え、あ……いやそう言うことじゃなくて…………(ど、どうしよう……あ、そうだ!)か、カッコいいなぁって……思っちゃって……」

 

「え、あ……あ、ありがとう…………」

 

 桂吾はハッとなると慌てて首を横に振って必死に言い訳(アニメで見ていて、友達が「自分とタケルが似ている」と言ってたから……なんて言えないから)を考えて、少し顔を背けながら咄嗟に感じた事を伝えると、タケルもまさか突然言われると思ってなかったらしく、顔を赤らめて同じく顔を背けて感謝の意を述べた。

 

「…………??」

 

 ドラクモンはその様子を見て首をかしげた後、トテトテと何処かへ走り去っていった……それに気付いたパタモンが慌てて二人に話し掛けた。

 

「タケルにケイゴ! ドラクモンが何処か行っちゃうよ!!」

 

「「えっ……!?」」

 

 パタモンの声にハッとした桂吾とタケルは互いに顔を見合わせると、走り去るドラクモンを追い掛けていった。

 幸い、ドラクモンの駆けるスピードは遅かったからか、スグに見付けることができた。

 すると、ドラクモンはキョロキョロと辺りを見渡すと一つの建物の中へと入っていった。その建物の風貌は桂吾やタケルに親しみのある感じで……いわゆる学校だった。

 

「学校……って事は今のドラクモンは生徒さんとか、なのかな…………?」

 

「……そう、なんじゃないかな?」

 

 桂吾が問い掛けると、タケルも頷いてそれに疑問系ながらも返し一緒に近付いてみた。すると、建物の中から紅いローブの様な物を身に付けターバンの様なもので顔の殆どを覆っているデジモンが姿を現した。

 

「……おや、人間様ですかな…………? 珍しい……どういった御用で?」

 

「あ、えっと……実はここにドラクモンってデジモンが入っていったのを見掛けて……それで気になってたんですけど…………」

 

 デジモンの問いに代表してタケルが答えると、そのデジモンは苦い顔をして「そうですか」と呟き二人を建物の中へと入れてくれた。

 

 

 

「……なるほど、あなた方はあの伝承やお伽噺にある選ばれし子ども達と同一なのですか…………」

 

「まぁ、似たようなもの……だね」

 

「とは言っても、僕はパートナーをまだ持ってないのでパートナーとなるデジモンを探さないといけないんですが…………」

 

 桂吾達は自分達を案内しているデジモン……ワイズモンに色々と質問をして情報を得ていた。

 この街はメカニークと呼ばれており、街の殆どが機械仕掛けのからくりで出来ているのだと言う。

 そして、この建物は二人が考察していた通りこの街にある学校で……主に幼年期のデジモンを保育したり、成長期や一部の成熟期がこの学校で勉学や戦闘方法等を学んでいるとの事だった。そしてワイズモンは校長であることも教えてもらった。

 そして、桂吾達も自分達が選ばれし子どもであること、この世界に何かが迫っている事を伝えると、ワイズモンは自分達にできる協力は惜しまないと言ってくれた。そこで、桂吾とタケルは互いに別れて行動をすることに。

 桂吾は自分のパートナーとなってくれそうなデジモンを探しに……そして、タケルはこの世界の情勢や世界の歴史を知るために歴史書が保管されている保管室へと向かった。ワイズモンしか保管室の鍵を持っていないと言うので、桂吾は少し前からこの街に住み、幼年期の面倒をみたり、成長期のデジモン達を教育しているというウィザーモンと共に行動をする事になった。

 

 

 

「ここの保管室は色々な書物がありますので、恐らく何かしらの役に立てるかと……それに、我々にも読み解けない物もありましたが……もしやすれば貴方達なら…………もしかしたら解読できるかも知れません。一番奥の右の棚に御座いますからご覧になってはいかがですか?」

 

「ありがとうございます!」

 

 ワイズモンにお礼を言って僕はまずワイズモン達が解読できないという書物が収まっている棚に向かった。何でも、この保管室はこの大陸の中で一番蔵書の多い場所らしい。実際、この保管室は学校の地下にあって……部屋の広さが、本棚が無かったら普通にサッカーが出来そうな位に広かった。

 

 

 

 

 

 もしかしたら、僕達の世界の言語になっているのかも知れない……そんな希望を持って。パタモンにはデジ文字の書物で読めそうなものを探してもらっている。

 

「えっと…………これとか……かな?」

 

 僕は一冊の本を手にとって手近にあったテーブルセットの椅子に腰掛けて見てみる…………薄い茶色の表紙には僕達の言語で『この世界の歴史や読み解きに必要なもの』と書かれてあった。

 

「やっぱり……僕達の世界の言葉だ…………」

 

 僕は1つ呟くとその本を読み進めていった。その本にはデジ文字の読み方やこの世界の歴史について書かれてあった。

 

 

 

「タケル~、これ見て~!」

 

「……うん? これは…………絵本?」

 

 少し読んでいると、パタモンが一冊の本を持ってきてくれた。柔らかいタッチの絵の描かれている絵本だった。

 

「うん! これに色々と書かれてたよ!」

 

 パタモンに言われて手にとってデジ文字参照ページを照らし合わせて読んでみる。その内容は絵本なだけあってかなり簡単に砕いた感じだった。

 

 

 

「……うん。大体わかったかな…………」

 

 絵本やこの本に書かれてあった事を考察してみると……以下の事が分かった。

 

 

 

今からずっと昔、マルモンという『デジモン達や人間達の絶望を力に換えるデジモン』が居た。

マルモンは6匹もの幹部や直属の部下となるデジモンらと共に深淵の暗黒城という所からデジタルワールドを侵略し、世界を制圧・掌握しようと出てきた。その時、侵略の暗黒城から漏れ出た闇のデータによりデジコアが汚染されたデジモンが自我を失い、旧友や家族などに敵意を向け攻撃をしてしまうという事態が発生した。

しかし、この世界を司る神格のデジモンがマルモンの侵略を阻む為に異世界から8人の子ども達を呼び寄せ、子ども達其々に合ったパートナーデジモンや、スピリットデジモンという特殊なデジモンを探させその光輝く力でマルモンらを撃退し、深淵の暗黒城に闇のデータと共に封印を施した。封印は、このデジタルワールドで生まれたデジヴァイスの機能を使い、封印する必要がある。また、そのデジヴァイスの機能は、正しき所有者が持っていないと機能しない。

 

 

 

「『その封印は時が経っても解かれる事はまず無いが、闇のデータが膨大になると、解かれるかも知れない。だが、その時には新しき選ばれし子ども達が封印し、長い間の平安を保ってくれるだろう』…………かぁ」

 

 つまり、この封印が今解けている可能性が非常に高い…………って事か。深淵の暗黒城の場所は記されてないから自分達で探すか敵を捕まえて言わせるしか手立てはない、と。

 

「…………タケル、難しいこと考えてるの?」

 

「え、あぁ……ゴメンゴメン。ちょっと考え事しててね。ちょっと必要な事をメモするから待ってて……」

 

 突然、パタモンが僕の顔を覗き込んできてハッとなる。僕はそれに「大丈夫」と笑って返す。

 でも、これは予想以上に大きな収穫だな…………そう思った僕は胸ポケットから誕生日プレゼントで買ってもらった手帳を取り出して、同じく誕生日プレゼントで買ってもらったオーダーメイド(らしい)のボールペンで必要な事をメモしていった。そのついでにデジ文字を今後も目にすると思ってそれの解読の為の表も書き写した。そして、前の時に封印をした8人の選ばれし子ども達の見た目や、パートナーデジモンやスピリットデジモンと呼ばれる物も書き記した。もしかしたら、何かの役に立つかもしれないから……

 

 

 

 

「……これでよし! それじゃ、桂吾君の所に戻ろうか!」

 

「うん!」

 

 メモを終えた僕は椅子から立ち上がると、パタモンと一緒に保管室を出るために入口へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えっ! な、なんで……なんで開かないの!!」

 

ガチャガチャ……

 

 …………でも、小一時間ほど前に僕達が入ったドアは鍵が掛かっているらしく全く開く気配が見えなかった……そう。僕とパタモンは完全に閉じ込められたのだ…………しかも、この部屋は地下にある上防音等もしっかりされている……つまり、僕達の声は一切上には届かない…………と、言うこと……

 

「タケル……どうするの…………」

 

「どうする……って言われても…………あ、パタモン! 進化出来る?!」

 

 そう、僕が考えたのはエンジェモンに進化してもらって扉を強引にでも破壊する……というものだった。と言うのも、目の前にある扉は銀行の金庫のように分厚い鋼鉄製でパタモンの状態だとどう頑張っても貫通させるには無理があるからだ…………でも

 

「ダメ……何か、元気が無くなっちゃうの…………」

 

 どうやら、最後の望みも無理がある様だった……もしかしたら、何か結界の様なものが張られているのかもしれない……そんな予感さえも考えてしまうほどだった。

 

「……内線も見当たらないし、待つしかない、よね…………」

 

 僕は両手の握り拳をキツく握り締めてただそう呟くしか出来なかった。そして、フッとパートナーを探しに向かった桂吾君の事が気になった。ウィザーモンが居るとは言え、彼はまだパートナーを見付けていないかもしれない。そう考えると不安が積み重なっていった。もしも、ここで彼がやられてしまうと、再度封印が出来なくなる可能性があるからだ。

 

「桂吾君……無事で居てよ…………!」

 

 ただただ、無事でいてほしい。それが僕の願いであり、彼を想う気持ちだった。この想いが届くと良いけど……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、パートナー探しをしている桂吾はと言うと…………

 

 

「…………なん、で……」

 

 教室の後方にて怯えて震えている幼年期や成長期のデジモン達を案内してくれていたウィザーモンと共に自身の後ろに庇い、目の前にいるデジモンを睨み付け左肩を押さえていた。その目にはうっすらと涙が浮かんでおり、左肩を押さえる手の隙間からはうっすらと血が滲んでいた。どうやら、目の前のデジモンから攻撃をくらった為の様だった……

 

「何で……こうなっちゃうんだよ…………!」

 

 彼の目線の先には意識を失っているワイズモンを右足で踏み付けて顔を下に向けている蒼い毛皮を身に纏う二足歩行の狼を模したデジモン……ワーガルルモンが居た。しかし、ワーガルルモンの体からは何やら黒いオーラの様な物が出ており、その目は紅く染まっていた。そして、桂吾の言葉にて顔を上げると、ゆっくりと言葉を発した。

 

「……デジモンの恐怖や絶望の叫びをマルモン様に捧げる…………そして、選ばれし子どもを捕縛し完全復活の為の贄として差し出さん!」


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