デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~ 作:瑞田高光
~20○○年○月○日・広島市某所~
現代のある日……広島市内のあるマンションの一室にて青年がパソコンに向かって何やら作業をしていた。
「ん~……ここの音楽はこっちが良いかな? んと…………今日はこんなもんかな。んじゃ、とりあえず保存保存っと…………あ、そうだ、アッチにそろそろ小説アップしとこ!」
彼の名は“泉佐野 龍星(いさの たつほし)”。とある動画サイトで動画を投稿しつつ、とある小説サイトにているいわゆる自宅警備員と化した青年だ。彼本人は、「アルバイトをしているから自宅警備員じゃない」と言い張っているらしいが…………尚、食事の殆どがインスタントラーメンの模様。
「……ふぅ、何とか今日のノルマ達成~…………」
龍星が椅子に座ったまま体を伸ばしていると、パソコンのメールボックスに一通のメールが届いた事を知らせるアイコンが表示された。
「…………ん? ……メールぅ? 題名は……『HELP』? 助けてって事か……?」
龍星は眉をしかめながらもメール受信画面に移動した。すると、画面にはこのような文面が表示された。
『
To:泉佐野 龍星様
From:???
件名:HELP
貴方は本当にデジモンが居ると信じてますか?
YES・NO
』
そして、YES・NOの部分はクリックできるようになっていた…………
「な、なんじゃこりゃ……デジモンが本当に存在するか信じるか…………って……」
龍星は少し戸惑いを覚えた。確かに、龍星はデジモンが大好きでよくDVDを借りたりしてそれを見ながら時々「デジモンが本当に居たらなぁ」と呟いていたのだ。
しかし、実際に居る事を信じるかと聞かれると話は別だ。空想ではいてほしいが、ここは現実を見るべきなのかどうか…………それで龍星は悩んでいた。
「う~…………しゃあねぇ!!」
龍星は『YES』の項目にカーソルを合わせた。信じたかったのだ。デジモンと本当に会えたらどれだけ幸せなのだろう……そんな今までの空想が実現出来るのかも知れない…………そう考えるとドキドキが止まらなかった。
そして、YESをクリックした…………すると、画面が突然光だした…………
「えっ!? ちょ、何これっ!? 一体な」
一体何が起こっている
そう発する事はないまま龍星はパソコンの画面へと吸い込まれて行った…………そして、彼の部屋に残っているのは明日のゴミだしの為に纏めてあるゴミ袋とそのそばにある空になったゴミ箱、沢山の山積みになった漫画本に、ゲーム類……そして机の上には光の収まって、メール画面に
よ う こ そ 、 デ ジ タ ル ワ ー ル ド へ
と書かれた文字列が残っている電源の点きっぱなしのパソコンだけだった…………