デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~ 作:瑞田高光
~2014年○月○日~
春一番が吹いていて、まだ夏の気配すら感じない春爛漫な1日であるこの日、大阪市淀川区にあるアパートの一室から一人の女性が出てきた。
「いい天気~! こういう日に仕事がないって最高~!」
彼女の名は五十嵐夕輝(いがらし ゆうき)。今日は仕事がないらしく、非常に何かを楽しみにしている笑顔をしていた……その時、夕輝の手にあるバッグの中から何かの音が聞こえた。
「……ん? 何なんだろ……急な仕事だったら嫌だぁ…………」
夕輝は不満を漏らしつつバッグの中から携帯電話を取り出すと、どうやら音声電話だったらしい。夕輝はその相手が非通知であることに少し怪訝な顔をしつつも電話に出た。
「はい、もしもし……」
『…………を……て』
「…………あの、どちら様ですか?」
『……ワ……を…け…』
夕輝は何かおかしいと直感で感じとったのか一度静かに聞こうとした
『…………けて』
『デジ……ールドを…………』
『……タル…………助けて』
ここで夕輝は相手が何か助けを求めている事を知り、少し険しい顔になった。そして、次の言葉に耳を疑った。
『デジタルワールドを助けて』
「えっ……!?」
デジタルワールドを助けて
この一文に明らかな違和感を感じた。
「デ、デジタルワールドって……あのデジタルワールドでしょ? なんで……そのデジタルワールドをアタシが??」
夕輝は困惑していたが、すぐに電話口に向かって喋りはじめた。
「ねぇ、どこに行けば良いの? デジタルワールドにはどうやって行けば??」
要件を伝えると、夕輝は再び口を閉じ、相手の言葉を聞き取ろうとした
『連な……石の塔…………麓にある石…………入口…………』
そして、夕輝が微妙に聞き取れた後もう一度聞こうとしたが、電話は切れていた…………
「連なる石の塔…………それと麓に石…………そこに入口があるって言いたかったのかしら?」
夕輝は必死に頭を働かせ文字を繋げつつ考えた……すると、1つの答えが導き出た。
「……あ、もしかして…………!」
夕輝は自分の考え付いた答えが合ってることを信じて目的の場所へと走り出した。
「連なる石の塔……その麓…………側に石がある…………それってつまり…………!」
夕輝は目的の場所へと辿り着き、あがっている息を整えながら喋った。そして、目的の塔を見上げながら答えを言い放った。
「それは…………タイムストーン400!」
そこには確かに石が縦に連なるまさに石の塔と言えるべき物が…………そして、その近くには石が1つ置いてあった……
「確か、ここに…………!?」
そして、夕輝が側にある石に目を向けると、驚きの光景が広がっていた。そこには、夕輝が画面越しでしか見たことのない……だが、一度は持ってみたかったものが石の上に置いてあった。それは……
「デジ……ヴァイス…………!」
デジヴァイスだった。夕輝は驚きと嬉しさの入り混じる不思議な感覚に陥っていた。そして、夕輝はそれを躊躇なく手に取った…………すると、その石の上に不思議な穴が開いたかと思うと…………
「えっ、ちょ……いやぁぁぁぁぁっ!!」
夕輝はそのままその穴に吸い込まれていった…………そして、夕輝を吸い込んだ穴が消えると、辺りには何事もなかったかのように一面に風が吹いていた……