デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~ 作:瑞田高光
2014年○月○日
埼玉県はさいたま市のある一軒家……そこで一人の青年が窓を開けた。
「いい天気だなぁ……」
彼の名は水谷桂吾(みずたに けいご)。少々人見知りな一面はあるものの、友達等を思いやる心は人一倍ある…………が、思いやりすぎて友達や知り合いを貶す相手には激怒する事がある青年だ。
「う~ん……今日はドコに出掛けようかな…………」
桂吾は快晴の空を見上げてどうしようか迷っていると、部屋の中で電話が鳴った。ちなみに、今日は桂吾の通う中学校が休校であった。
「ん? なんだなんだ…………」
桂吾は勉強机に置いてあった自分の携帯電話を手に取った。すると、一通のメールが届いていた事に気付いた。桂吾がそのメールを開くと、差出人は不明で、本文にはこう書かれてあった。
『電脳世界とこの世界を救いたくば鉄道博物館RFへ向かえ。』
という1つの文章だけだった。
「何……これ…………」
桂吾は明らかに不審なこのメールを削除しようと考えた……そして後は決定ボタンを押せばこのメールは消滅するところまで来た…………が、その決定ボタンを押す前にふと思うところがあり、その動きを止めた。
「待てよ……この世界を救いたければ…………って、僕達の世界の事?? …………もし……もし本当にそうなら、大変な事だよね…………」
桂吾は少し考えた後で、出掛ける準備を整えた。『やっぱり、自分達の世界の事なら放っておけない』
それが、桂吾の答えだった。桂吾は荷物を簡易的に纏めると、家を出た。
「えっと……確か鉄道博物館は…………」
道のりを思い返しながら桂吾は走った。万一、違う世界の事だったとしても、助けたい。その一心で走った。
「…………ここ、だよね?」
無事に辿り着き、入場料を支払いエレベーターで最上階までやって来た桂吾は辺りを見渡した。
しかし、辺りを見渡しても、見えるのはガラス張りの展望台やそこから景色を眺める人々の様子しか見えなかった…………と、その時再び携帯が震えた。
桂吾が再び手に取ると、今度は画面に奥まった部分を指す矢印が現れた。そしてその方向に向かって歩いていくと……
「え、何これ…………」
そこには、何度も来た事のある桂吾でも一度も見たことのない入口があった。そして、そこにはローブを被った不思議な人が立っていた。
「あ、あの…………」
桂吾が勇気を振り絞り、そのローブの人に話し掛けると、無言で桂吾の携帯を指差した。
「え、あ……これですか?」
桂吾が恐る恐る携帯の画面を見せると、その人は頷いてゲートを潜るように促した。
「…………」
桂吾は意を決して、そのゲートへと足を踏み入れた。すると…………
「うわわっ!? な、何これ…………?!」
まるで、宇宙空間の様に体が宙に浮かび上がったのだ…………そして、何か物音が聞こえ、桂吾が後ろを振り向くと…………
「あっ……ゲートが…………!」
今しがた潜ったゲートがみるみる小さくなっていき、あっという間に閉じていくのが見えた。桂吾は閉じてゆくゲートに手を伸ばそうとしたが、途中でその手を止めた。
「助けにいくって決めたのは自分じゃないか……」
そう言って自分を奮い立たせると、桂吾は前を向いて先へ進もうと辛うじて見える床を蹴りながら進んでいった…………自分の決意をもう忘れるまいと考えながら……