デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~   作:瑞田高光

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枯草色の選ばれし者の旅立ち

2014年○月○日

 

 広島で青年が異世界に飛んでったのと同時刻……石川県金沢市のある小学校では午前中に授業が終わり、下校の時間となっていた…………

 

「それでは、さようなら!」

 

『さようなら!!』

 

 児童の皆はワイワイお喋りを楽しみながら教室を後にする。そしてこのグループでも……

 

「ねぇ、錦君!」

 

「ん、なぁに。橋本さん……?」

 

「錦君ってさ、好きな人とかいるの?」

 

「ん~……居ないかな…………そういう橋本さんは?」

 

「えっ……私!?」

 

「あ、それ私も聞きたい!」

 

「俺も俺も! なぁ、橋本どうなんだよ!」

 

 4人グループで仲良く会話をしながら教室を出た子の中で先程やんわりと受け流していた少年……彼は酒匂 錦(さかわ にしき)。小学校6年生である錦は背はクラスの男子では真ん中位、見た目は若干ポッチャリしている様子ではあるが、その温厚な性格でクラスの皆はとても信頼している一面がある。しかし、錦はある願いがあった。それは……

 

「あ、そういやさ……最近祐輔がさ、サッカー部の後輩とやけに仲が良いんだよなぁ…………後輩からもすっげぇ慕われてるしよ……」

 

「へぇ、そうなんだ……(羨ましいなぁ…………後輩に慕われてるんだ……)」

 

 後輩に慕われたい。そんな難しい事ではない様に思えるが、錦は人と話すのが少し苦手で、相手から話し掛けられないと人とは話せない事が多いのだ。だから、錦は後輩に慕われる人を憧れる…………と、言うわけだ。錦が下駄箱にて自分の靴を取り出そうとしたとき……

 

「……あれ?」

 

 自分の靴の上に手紙が置いてあるのに気付き、上履きを一度簀の上に置いてその手紙を手に取った。

 

「…………?」

 

 錦は首をかしげて一度手紙を開いてみた。すると……

 

『山崎山にて新たな希望が見える』

 

 としか書かれていなかった……

 

「山崎山って……兼六園の……あれ…………だよな…………」

 

 錦は疑問を持ちながらもその手紙をズボンのポケットにしまい自宅への道を駆けていった。

 

 

 

 

 その後、家へと帰宅した錦は自室でランドセルを下ろしてそのまま自分の小さめの財布を握り締めて家を出ては駆け足で兼六園へと向かった。

 

 

 

 

「ここ、だよね……」

 

 山崎山に辿り着き、切れてる息を整えながら、錦は辺りを見渡した。すると、辺りには金沢や兼六園の景色が一面に広がっていた。

 

「……でも、この手紙……どういう意味なんだろ…………」

 

 錦はズボンのポケットに入れたままだった手紙を取り出して開いてみる。

 すると、突然一陣の風が辺りを吹き抜け……

 

「うわっ…………あっ!」

 

 吹き抜けた風が錦の手から手紙を抜き取っていった。錦は思わずその手紙を追い掛けた…………が、昨日は大雨だった事もあり、足元がぬかるんでおり……

 

「うわああああああああっ!?」

 

 錦は足を滑らせて山崎山近くの池へと落ちていった…………


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