【アスキーアート作品】貞操逆転世界の万能蛮族女騎士   作:ぱちぱち

2 / 5
幼年期2

 

 

 ――尚武の国ヴィレンドルフ

   神聖グステン帝国の選帝侯を賜る諸侯の中でもとりわけ武闘派で知られる我が祖国

 

 

 

 ――デキナイコはそのヴィレンドルフの王都で、齢12にして知らぬものも居ない悪童として名を馳せていた

 

 

 

 ――ある時は輿入れする新婿を掻っ攫い、ある時は町の喧嘩自慢を叩きのめし

 

 

 

 ――またある時は王都に根を張った騎士崩れや傭兵、破落戸といった連中を手下に加え

 

 

 

 ――瞬く間にヴィレンドルフ王都で勢力を伸ばしていた

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 ――デキナイコは王都内部で勢力を固めた後にその影響力を用いて王都内部の闇――裏社会に手を伸ばした

 

 

 

 ――違法な人身売買、表に出せない物品の物流網などの表社会、とりわけ王城が手を焼くような存在を摘発するのではなく管理下におく

   それが最も効率よく裏社会を制御する方法だと分かっていたからだ

 

 

 

 ――当然それに反発するものも居た(・・)

   既得権益の持ち主、裏社会と結託して甘い汁を吸っていた大店たち

   彼らは時には金銭を、時には権力を。またある時には直接的な暴力を用いてデキナイコを排除しようとし

 

 

 

 

   「カカッ♪」

 

 

 

 

 ――その全ては実力をもって粉砕され、闇の中へと消えていった

 

 

 

 

 

 ――デキナイコが王都で脈動して一年

   ヴィレンドルフ王都は近年稀に……否。遷都以来初めてと言ってもいいほどに穏やかで安全な街並みを手に入れ

 

 

 

 ――事情を知るものも知らないものも雀のように囀った

 

 

 

 

 ――尚武の国ヴィレンドルフ。その中心地では新たな英傑候補の誕生に沸き立ち

 

 

 

        

 ――しかしこの頃の当人……私たちはそんな事は知るものかとばかりに若さを謳歌していた

 

 

 

 

 ――デキナイコは怪物だった。彼女を知る、或いはよく知りもしない人間ですらもそう口を揃えて言葉にするほどの怪物だった

 

 

 

 

 ――齢6つの時には大の大人が一抱えするような剣を振り回し

 

 

 

 

 (b)――齢10を数える頃には司祭や僧侶すら舌を巻く知謀を見に付け《/b》

 

 

 

 

 ――成人を迎える前には数多の人を従えるカリスマを身に着けていた

 

 

 

 

 (b)――怪物としか形容できない程の超人。武・智・人のどれをとっても当代随一と呼ぶべき才を秘めた才能の塊《/b》

 

 

 

 

 

 ――だが、あの時分のあいつは、どれだけ強かろうが頭が回ろうがタダのガキだった

   13歳になったばかりのガキだった

 

 

 

 ――今にして思えば、そんなガキが自分の限界まで身を粉にして生き急いでいたのは

 

 

 

 

 (b)――憧れであるとか初恋であるとか《/b》

 

 

 

 

 ――きっとそういう、甘酸っぱい感情があったのだろう

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――ー

 

 

 

 

 

 

 ――キーラ・キルオ・フォン・エースターライヒ。

   数年前、産後の肥立ちが悪く夭逝された女王に成り代わりヴィレンドルフ王宮で政務を務める摂政、エースターライヒ公爵の長男にして長子

   紛れもなくヴィレンドルフ国内にて1,2を争う家柄の王子様である

 

 

 

 

 ――私達がかの御仁と知り合ったのは、本当にタダの偶然だった

   きっかけはお忍びで街に降りていた彼に絡んでいた破落戸をデキナイコが締め上げ、窮地を救ったことだ

 

 

 

 

 ――生まれたばかりの従兄弟への土産物を探す

   そのためだけに生まれ育った箱から飛び出した彼の心意気にデキナイコが答え

 

 

 

 

 ――そしてそれから、なにかにつけ街に降りてくるようになった彼と私達は、身分を超えた付き合いを始めるようになった

 

 

 

 

 

 ――買い食いや街遊び、少し遠出しての川遊びに、季節の祭り事

 

 

 

 

 ――酔っ払いの喧嘩鑑賞にちょいと激しいお遊戯まで

 

 

 

 

 

 ――私達にとっては当たり前のそれらを、彼はいつも驚いて

   そして、誰よりも喜んでいた

 

 

 

 

 ――今でも思うことがある。彼は生まれてくる性別を間違えた、と

   もしも彼が女であったならばデキナイコも私も、一も二もなく彼――彼女に忠誠を誓っていた

   そして公爵嫡子である彼女の下でカタリナ女王が王位に着くまでのヴィレンドルフを支えていただろう

 

 

 

 

 ――だが、彼は男子であった。王位を継ぐことも、公爵位を継ぐことも出来ない男子であった

 

 

 

 

 

 ――だから、あれは必然だったのだろう

 

 

 

 

 ――私たちは無邪気にも、こんな日々がいつまでも続くのだと思っていたのだ

 

 

 

 

 (b)――誰も彼もが。デキナイコですらも《/b》

 

 

 

 

 ――彼の輿入れが決まるその日まで、そう思っていたのだ

 

 




幼年期は次話で終となります

次話は今週中には投稿出来ると思います
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。