【アスキーアート作品】貞操逆転世界の万能蛮族女騎士   作:ぱちぱち

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幼年期編終了

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幼年期 結

 

 ――アンハルト王国

   わが祖国ヴィレンドルフと幾度となく矛を交えた、わが祖国ヴィレンドルフと同じく選帝侯を王と頂く国

  

 

 

 ――今でこそ才知に富んだ俊英と評判の女王リーゼンロッテの統治によりうまく纏まっているが

   20年前のあの国はまぁ酷かった

 

 

 

 

 ――先代の女王自身は決して無能ではなかったのだが、先代アスターテ大公などの一部を除きその周辺にはゴミとクズしか存在しなかったからだ

 

 

 

 

 ――連中は先の女王が早逝したヴィレンドルフの状況を隙と見たのか、女王崩御の翌年アンハルト王国はヴィレンドルフに対して突如宣戦を布告

 

 

 

 

 ――もちろん武辺の国、ヴィレンドルフが黙って侵攻を受けるわけがない《/b》

   当時から在職していた妖怪ばb・・・・・・軍務大臣閣下が全軍の指揮を取りこれに応戦

   アンハルト側の総指揮官、先々代アスターテ大公と彼女の戦いは

   以後20年語り草になるほどの激戦となったり、結果両国の痛み分けで終わった

 

 

 

 ――そして、それが引き金になる

 

 

 

 

 ――両国にはもともとある共通の問題が会った。北方からやってくる遊牧民族の存在だ

   騎馬を駆り、災厄を振りまくこの北方の遊牧民族は、疲弊した両国を与しやすしと見たのか頻繁に略奪をしかけてくるようになる

   間の悪いことに近年その遊牧民族のとある部族に、英傑と呼べる存在が現れていたのも問題に拍車をかけていた

 

 

 

 

 ――奴らは手薄になったヴィレンドルフ・アンハルト両国の村々・・・・・・どころか壁や頑丈な柵を備えた街にすら略奪を仕掛けた

   その激しさは規模の小さな村々であれば両の手に余るほどの数が地図から消えてしまうほどだった

   先年の戦傷を癒やす間もなく両国はこの害獣に苦しめられる事となり

 

 

 

 

 ――同じ外圧によって苦しめられた両国が取る最も効果的な手段が、婚姻による同盟の締結だったのだ

 

 

 

 

 ――キルオ様はその時16歳

   女王の早逝やアンハルトとの戦争がなければ、ゴタゴタが続かなければとっくに婿に行ってもおかしくない年齢だ

 

 

 

 

 ――そんな事は私にもわかっていた

   これまで考えないようにしていただけで、いつかはこういう日が来ることを私だって分かっていたんだ

   ただ、それを認めたくなくて。これまでの日常が変わる事が怖くて、仲間にダダをこねる

   その時のわたしは、周りがなにも見えてないクソガキだった

 

 

 

 

 ――本当に辛いのが誰かなんて、わかりきっていたのに

 

 

 

 

 ――婿入りが決まった後の話は早かった。ひと月もせずに輿入れの日取りが決まり

   公子様は準備のために街に降りてくる事もなくなった

   慌ただしく動く王城を、私たちは蚊帳の外から見上げながら無為に日々を過ごしていた

 

 

 

 

 ――ヴィレンドルフからアンハルトへの輿入れ。護衛隊の人間はヴィレンドルフでも精鋭と呼ばれる人間が選ばれていた

 

 

 

 

 ――流石に当時ヴィレンドルフの武の象徴と言われたスーザン騎士団長やその右腕たるオゥガミ副団長が出張る事はなかった

   まぁ、この二人はその当時北方の遊牧民族対策で動けなかったんだがな

   とはいえ公子様の護衛隊は騎士隊長格の有力な騎士が護衛隊の指揮を務め、更にその周囲をベテランの騎士数名と彼らを補佐する若手騎士が固め、それを更に歴戦の兵が支える

   この布陣は当時の疲弊したヴィレンドルフが用意できる、最精鋭と言っても良い戦力だった

 

 

 

 

 ――他国の王族へ嫁ぐ輿入れの護衛に、超人の一人すらつけられない

   この程度の布陣が最精鋭と言えたのが、当時のヴィレンドルフだった

 

 

 

 

 ――公子様の婿入りが決まってから、デキナイコはおかしくなっていた

 

 

 

 

 ――鍛錬の時も上の空。私達と会ってる時も何かを考え込むようにぼうっと空を見ていた

   

 

 

 

 

 ――このままどこかに溶けるように消えてしまうのではないか

   儚さすら感じるデキナイコの姿に嫌な予感を覚えて、私はムギノと分かれた後デキナイコの家を尋ねた

 

 

 

 

 ――ヴィレンドルフの王都内は私達にとって庭のようなものだ。どこに居ても誰か知り合いがそこにいる

 

 

 

 

 ――道行く知人に尋ねながら歩けば、目的の人物がどこに居るかはすぐに分かった

 

 

 

 

 ――デキナイコにいつものように声をかけようとして、私はその光景に咄嗟に身を隠した

 

 

 

 

 ――見覚えのある二人が肩を抱き寄せる姿が、そこにあったからだ

 

 

 

 

 ――僅かに頬を染めて、仲睦まじく語り合う二人の姿が、そこにあったからだ

 

 

 

 

 ――彼が婿に行ってしまうのは覆せない事だった。この時間はいずれ終わりが来てしまう

   それは、とても悲しいことだろう

 

 

 

 

 ――けれど、この光景は

 

 

 

 

 ――ずっと色褪せず、私達の心の中に残る

 

 

 

 

 ――それから1週間後、彼を載せた馬車がアンハルト王国へと旅立っていった

 

 

 

 

 ――綺羅びやかな衣装に身を包んだキルオ様は護衛の騎士たちに囲まれながら王都をぐるりと一周

   群衆たちにその晴れ姿をみせたあと、王都の正門を通りアンハルトへの旅路につく

 

 

 

 

 ――デキナイコと私は、それを城壁の上から見送った

   去っていく馬車が見えなくなるまで。見えなくなったあともずっと、それを見送った

   私達の青い日々を、見送った

 

 

 

 

 

 

 ――キルオ様の旅立ちから一週間。私達はかつての日常を取り戻していた

 

 

 

 

 ――騎士としての修行に傘下に収めた町衆の世話。任官前であるが多忙な毎日に少しずつ、胸の痛みが風化し始めて

 

 

 

 

 ――親元で外務のいろはを叩き込まれていたジュライが飛び込んできたのは、そんな頃合いだった

 

 

 

 

 ――王城へと続く表通りを、その一団は歩んでいた

 

 

 

 

 ――沈痛な面持ちで、先週華やかなパレードで送り出したはずの傷だらけの馬車を護送しながら

   彼女たちは、アンハルト王国の旗を掲げた彼女たちは王城へと向かって歩んでいた

 

 

 

 

 ――公子様が亡くなったというお触れは、それから一刻も立たないうちに街中を駆け巡った

 

 

 

 

 ――公子様を襲ったのは北方の遊牧民族だという

   護衛を皆殺しにした奴らは公子様を惨殺し、その死体をメッセンジャー(・・・・・・・)代わりに仕立て上げた

 

 

 

 

 

 ――あの日の事は、今でも夢に見る

 

 

 

 

 ――棺に向かって誰の制止も聞かずに歩み続けるデキナイコ

   それを抑えようとしてデキナイコをに飛びつき、そのまま意にも介されずズルズルと引きずられる警備の騎士たち

 

 

 

 

 ――あの光景を、あの嘆きを私は生涯忘れることはないだろう

 

 

 

 

 

 ――デキナイコはあの日、子供の殻を脱ぎ捨てた

                    

 

 

 

   |クラウディア・デキナイコ・フォン・レッケンベル《ヴィレンドルフの悪魔》は

   あの日、あの棺の前で生まれた

 

 

 

 

 

 

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 ――それからほどなくして、デキナイコは家督をついで騎士となった

   私もジュライも成人と共に実家での騎士修行が厳しくなりしばらく顔を合わせる事もないこともあった

 

 

 

 

 (b)――私達の幼年期は、そうやって終わりを告げたのだ《/b》

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ―――デキナイコ

 

 

 

 

 ―――一緒に逃げると言ってくれたね

    

 

 

 

 ―――国を頼むなんて偉そうな事をいってしまったけれど

    本当は、とても嬉しかった

    君を抱きしめて、そのままどこか遠いところへと行きたかった

 

 

 

 ―――デキナイコ。我が最愛の騎士(ひと)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――どうか、幸せに・・・・・・

 

 

 

             ザシュッ

 

 

 




青年期編は鋭意作成中です。もう少々お待ち下さい
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