進藤ヒカルと藤崎あかりの逆行物語   作:藤嶺芳樹

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おかっぱライバル、ようやく登場。


第十四話

 

佐為と出会ってから一週間経ち、再び日曜日。

ヒカルはあかりを連れて、駅前のとある碁会所を訪れていた。

 

 

(ーーここにヒカルの言ってた碁の強い少年がいるのですか?)

「あぁ、そうだぜ。今はまだ迫力に欠けるかもしれないけど、将来すげぇ化けるヤツがな」

 

 

言わずもがな、塔矢アキラのことである。

この世界でもアキラには会っておきたいと思い、ヒカル達は今日ここまで足を運んだのであった。

 

 

(ーーでも、良いのですか? そのような者と、私が打ってしまっても)

「良いに決まってるじゃん。アイツは、佐為の碁に魅せられてあそこまで強くなったんだ。この世界でもそうなってくれないと困るしな」

「あはは……。一時の塔矢くん、すごかったもんね」

 

 

正直、その部分はヒカルも悩んだところではある。というよりも、アキラとは自分が打ちたいという思いがあった。

だが、指導碁という観点において佐為の右に出るものはいないという判断だ。

 

 

(確かに俺も指導碁を打てるは打てるけど、佐為の方が導き方が段違いで上手いんだよな。あかりとの対局を見てても、そう思うし……)

 

 

佐為が来てから、ほぼ毎日のように放課後は三人で順番に碁を打っている。途中で足つきの盤になってからは佐為のテンションがおかしなことになっていたが、碁に関してはまさに一流。あかりに対しての指導碁は、ヒカルも勉強になる部分が多々あった。

ちなみに、ヒカルと佐為の対局に関しては今のところヒカルが勝ち越している。現代の定石、どころか未来の定石さえ知っているヒカルの方に軍配があがっていた。ただしこれには今のところ、という注釈がつくが。

 

 

「まぁ、行こうぜ」

 

ヒカルは二人にそう言うと、『囲碁サロン』の扉を開けた。

 

 

「あら。こんにちは、どうぞ」

(っ! 市河さん、若えぇ!)

(ーーヒカル! あかり! こんなにたくさん、囲碁を打ってる人がいますよ! スゴいですね!)

(ふふっ。そうだね、佐為さん)

「……。……えっと? ここは初めてよね?」

 

 

市河はこちらを見てくる少年とニコニコ笑顔の少女に、そう問いかけた。ヒカルはハッとし、市河に答える。

 

 

「あっ、そうです。二人とも初めてで」

「そう。じゃあ、ここに名前を書いてね。棋力はどれくらいなの?」

「碁を始めたのは二人とも一年くらい前からで、棋力はちょっとわからないです。いつも二人で打っていて、他の人と打ったことがないので。今日は違う人とも打ってみたいと思ってここに来ました」

「そうなの。……あっ、ここは子供一人五百円ね」

 

 

ヒカルは自分とあかりの名前を書くと、市河に千円札を渡す。あかりが慌てて自分の分を払おうとしていたが、ヒカルはそれを手で押さえてニコリと笑った。

 

 

(あらら、初々しい。カップルかしら? 彼女さんの分まで払うなんて。偉いぞ、男の子!)

 

 

市河が二人を微笑ましく思っていると、あかりを納得させたヒカルが、今度はその場で辺りを見渡す。そしてわざとらしく声をあげて、奥に座っている人物を指さした。

 

 

「あ、なんだ。子供いるじゃん!」

「……。え……、ボク?」

 

 

ヒカルの声を聞き、おかっぱ頭の少年がこちらを見る。

急に敬語ではなく、年相応の言葉遣いになったヒカルに一瞬きょとんとした市河だったが、彼が指を指している少年を見てマズいと思った。流石に、一年前から囲碁を始めた彼らと二歳から囲碁を勉強している少年とでは、棋力があまりに違いすぎる。

 

 

「あの子と打てます?」

「あ、うーん。あの子は……」

 

 

困った様子の市河の方に、少年が歩いてくる。そしてヒカルとあかりの方を向いてーー

 

 

「対局相手を探してるの?」

「……あぁ、そうなんだ。できれば子供と打ちたいと思ってて」

「そうなんだ。いいよ、ボク打つよ」

 

 

塔矢アキラは二人に、そう笑いかけた。

 

 

 

 

 




ただし、登場のみである。
対局シーンまではいかなかった模様。
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