Fate/Extra Fallout   作:ひがつち

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是非奮ってご参加下さい!
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プロローグ

暗い部屋。最低限の生活器具は設置されているとはいえどれも質としては程度が知れている。

狭く、まるで独房を思わせるそこに少女はいた。

 

紺の修道服は汚れ、元は輝いていたであろう金の髪も時の流れによってくすんでいる。

部屋全体を移動できはするだろうが繋がれた鎖と枷によってその自由も仮初のもののように感じられる。

そんな中で少女は何をするでもなくただ地に座り込み俯いていた。

 

「登録No.999。質問の是非を与えるつもりは毛頭ないが、早々にその端末にログインしたまえ」

 

扉の向こうから端末が床を滑り差し入れられる共に男の声が投げかけられる。

男の名をラウレンティス。2030年の聖堂協会を事実上仕切る法王に次ぐとされる枢機卿。悪逆の輩。この世で最も鏡鑑とされる者。

 

「近々(ムーンセル)で大いなる聖戦が開かれる。キミにはそこに参戦してもらおう」

 

ムーンセル。より正確な名をムーンセル・オートマトン。

西暦1973年、とうに魔力が枯渇し魔術という神秘が成り立たなくなった時代に月にて発見された地球外の技術によって作られた太陽系最古の古代遺物(アーティファクト)

星の創生以来の歴史を記録したスーパーコンピューター。神の頭脳。あらゆる地球のデータを以て現実の改変すら成しえる七天の聖杯(セブンスヘブン・アートグラフ)

その使用権を巡る聖杯戦争、それに参加せよ────、と。

 

「……わかり、ました」

 

逡巡するまでもなく修道女は──アヴリーヌは端末の電源を入れ淡々とログインの手順を推し進めていく。

画面の光によって少女の相貌が照らし出される。

 

所々に負った火傷の跡。範囲からしても全身に広がっているのではないかと推察されるほど。

紫の瞳は不安げに揺れ、左目から頬にかけては十字のタトゥーが刻まれている。

そしてその表情は怯懾(きょうしょう)に濡れていた。一時であっても面を上げないように。相手の機嫌を損ねないように。ただただ卑屈に、自らは矮小な存在であると示すように。

 

「本来このようなことはあり得ないのだが……。これまでの貴女の従順な奉仕行為、ハーウェイ次期当主直々の参陣とのことで少しでも使えるものは使っておこうというが配慮でね。こちらには直轄のA級魔術師(ウィザード)が不足している、という点で白羽の矢が立ったという経緯だ」

 

魔術師(ウィザード)

それは旧来然とした魔術師(メイガス)ではなく魔術回路の使い道を神秘の行使ではなく電脳空間における魂の量子化というカタチで切り替えた次世代の超人。

従来のハッカーという規格に収まらない技術(スキル)ではなく才能(タレント)を持つ者。

 

「まぁ、キミに成果は期待していない。精々微々たるものでも積み上げればそれでいい」

 

その言葉に僅かに手を止めるも、静止も瞬きに。作業を再開する。

枢機卿が去ったのを気配から察したのだろうか、その唇から僅かに言葉が漏れる。

 

「天にまします我らが父よ、聖なる主よ……。どうか、その眼にて我が身を、我が罪を御目とめになられるのであれば──」

 

それは祈り。

どうか、赦してほしい。

 

その末を恥じ、震える手で最後の工程を終了させるとともに少女の意識は苦い不快感と共に消失していった。

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