仮面ライダーを作りたかった転生錬金術師 作:黒幕は忍者だと思ってた
聖遺物。
遥か古代、先史文明期に作り出された現代科学では解明不可能なブラックボックス。科学とは異なる技術すら使われている。
錬金術。
世界を解明し究極を目指す異端技術。想い出や生命力を魔力に変換し超常現象を引き起こす、学べば誰でも酷使可能な技術。
その2つの技術が合わさったものの一つがファウストローブ。女性のみが纏えるそれを、しかし一人の男は覆した。己の目的のために、己の夢を実現するために。そのためなら世界にどれだけ被害が出ようと知ったことではない。
「これが………」
「ええ、サルベージに成功した聖遺物と思われる仮称『メギンギョルズ』…」
石灰などに覆われ石化したかのような見た目のそれに、筋骨隆々の男と妙齢の美女が自然を向けていた。
「それで、どうだ?」
「はい。微かに聖遺物の反応はあります………ただ、ちょっと違和感が」
「初出土の聖遺物だし、そんなものじゃない?」
「いいのよ、気になったことはドシドシ言って♪」
電子機器で解析する男女の言葉に美女はそう言ってウインクする。歳を考えろ歳を。
「了子君、これは完全聖遺物だと思うか?」
「さあ………でも完全聖遺物だったら上から使用の許可が降りないでしょうね。それは弦十郎君がよ〜く解ってるでしょ?」
「………………」
女の名は了子、男の名は弦十郎。
弦十郎はとある存在に対抗するために聖遺物の力を欲していた。しかし現状、聖遺物の力を使えるのはある条件を満たした者だけで、それは未だ成人になってない少女。
年端も行かぬ少女に戦わせるなど、彼としては不本意で、起動さえすれば誰でも使える完全聖遺物さえあればと思ったが、そんなものがあっても上に持っていかれるだけだと言われる。
「上に逆らえない………お役所仕事の辛いところだな」
立華カイは中卒である。二年前ちょっと嫌なことがあって荒れた結果問題を起こして高校を中退。両親の遺したらしい遺産や後見人のおっさんに頼りすぎるのもまずいからと今は自立している。
早朝に複数のバイトを掛け持ちし、今は新聞配達も終わりゆっくり帰るところ。
「………………何してんの?」
「えっと……あはは………」
帰るところ、だったのだが木の上に女の子がいるのを見て固まる。ソロリソロリと動こうとして枝が揺れるとビクリと固まる。どうやら降りれなくなったらしい。その腕には、猫。
「はあ、仕方ねえ……よっと」
と、カイは木の上にするすると登り少女より高く登ると片腕を差し出す。
「もし落ちそうになっても支えてやる。そおっと動け」
「あ、ありがとうお兄さん!」
「なに、気にするな」
カイが少し上に引きながら少女を誘導していく。直ぐに幹が近づき安定する。ここまでくれば降りられるというので手を離し、少女が降りたのを確認すると自分も降りる。
「助かりました、本当にありがとう!」
「礼は一度でいいさ。何せ趣味は人助けなもんでね」
「へぇ! 私もですよ!」
「そうか? いい心掛けだ。と、自己紹介がまだだったな。俺の名前は立華カイ! 年齢は20、好物はおにぎり。バイト戦士だ、ヨロシクな」
「え、たち………たちばな?」
「ん?」
「えっと、その………私もタチバナ! 立花響です!」
と、少女の元気な言葉にカイも目を見開く。
「ちなみに好きなのはごはん&ごはん! 年齢は15! 彼氏いない歴=年齢! 体重は、もっと仲良く…………あ、えっと………男の人には内緒です!」
思わず頭をなでたくなった。これが、庇護欲?
そんなことを思いながら枝を広い地面に『立華カイ』と書く。
「これが俺の名前だ」
「なるほど〜。私はこう書くんですよ」
と、響は『立花響』と地面に書いた。ちょっと字が汚い。
「すごい偶然もあったものだな。ところで立花」
「響で良いですよ。あ、私もカイさんて呼んでいいですか?」
「構わねえよ。俺も響って呼ぶわ………それでだ、響」
カイはジッと響を見つめる。一体何を言われるのだろう、と響はゴクリと唾を飲む。
「俺の記憶が確かなら、リディアンはそろそろ一限目が始まる時間だぞ」
響はサッと顔を青くする。
「ちち、遅刻だ〜!!?」
「何なら俺のバイクの後ろに……………速い。陸上部とかか?」
猫を抱えたままあっという間に見えなくなった響の背を見送りながら呟くカイ。陸上部といえば、最近知り合ったリボンの似合う子も陸上部で、自分の名前が親友と一緒だと驚いていた。案外あの子のことだったりして………。
ハーブティー喫茶「EDEN」。カイが経営する喫茶店である。本人もなかなか落ち着いた雰囲気の内装だとも思っている。
常連客も増えた。
「カイさん。こんにちわ〜」
「ああユウちゃん。制服は更衣室においておいたよ」
年下の幼馴染であり高校入学と同時に学校の許可をもらいバイトを申し込んできた灰島友鈴を迎える。
友鈴も制服に着替えて客に茶を出し、穏やかな時間が流れていく。
「そういえば今日、ユウちゃんの学校の生徒と出会ってね。猫を助けて遅刻してたよ」
「ああ、それ多分響さんですね。猫連れてきてました……カイさんと同じ、タチバナだから世話焼きなんですかね」
そんな会話をしながら、一旦店を閉め友鈴を送り届けてからまた店を開く。夜の客も捌いて、今度こそ店を閉めた。
とある山間部。集落をノイズの大群が襲い、得意災害対策課が避難誘導し、火気を用いるも殆ど効果がない。飽和攻撃で撃退出来なくはないのだが、割に合わなすぎる。このあたりの地形をいたずらに変えるだけ。
結局ノイズを倒したのは得意災害対策課二課という、秘密裏に存在する組織の…………
「あんな、子供に……まだ、学生じゃないか!」
それでも、現状彼女以外にノイズを倒す手段がない。人を守るために自衛隊になったのに、守られる立場。なんて無様。
『力が欲しいかい?』
「っ! 誰だ!?」
不意に問いかけらた声にふりかえり、何時の間にか立つ立つ異形を見つけた。犬科の動物を人間の形に変えた鎧をまとっているような、それでい生物味も持った謎の怪人。叫ぼうとした男の喉を抑え持ち上げる。
『いい叫びだ。さぞいいエコーを生むだろう』
そういって異形が取り出したのは黒いSDカードにもにたチップ。男の額に押し当てるとズブズブと飲み込まれ、黒い瘴気が吹き出し人の形を取る。
全身真っ黒で、頭部に赤い単眼のような水晶。硬質な皮膚に覆われた怪物はノロノロと立ち上がる。
『さあ、君の叫びを世界に届けろ』
怪人が黒い怪物に向かい男を投げつける。怪物は男を飲み込み、身震いすると部屋から出ていった。
本日発売の風鳴翼のCDをBGMとしながら客に食事やハーブティーを出すカイ。そろそろリディアン音楽院も下校時間。友鈴も来るだろう。と………
ウウゥゥゥゥゥゥッ!!
「っ! ノイズの警報!?」
客が慌てる中、カイは直様火を消し携帯を起動させる。発生位置は、ここから近く、リディアンとの間。彼女ならきちんとシェルターに避難してくれると思いつつ駆け出す。
「あれは………響?」
そして、友鈴の代わりに幼女の手を引く響を見つけた。直ぐに追い掛けるカイ。何ができるわけではないが、それでも頬って置くことはできない。バイクを持ってくればよかった。
見失った。
本来一生に一度出会えば最大の不幸とも言えるほど、出現率の高いノイズがありえないほど居て、隠れながら進んでいたら見失ってしまった。
現在地は工業地帯。と、不意に歌が聞こえた。
「………歌? あっちか?」
風鳴翼はとある場所にいた。
近未来的な戦艦のブリッジ、といえば伝わるだろう。最もそこは船の中などではないが。
「反応絞り込みました!」
「ノイズとは異なる、高出力エネルギーを検知!」
「まさかこれって、アウフヴァッヘン波形!?」
「ガングニールだとぉ!?」
その言葉に、その名前に翼は目を見開く。それは、誰かが使っていいものじゃない。それは、奏の………!
居ても立っても居られない翼が走り出そうとする前に、眼鏡を掛けた女が叫んだ。
「待った待った翼ちゃん! これ!」
「──っ」
投げ渡されたのは先日発見された待機状態の聖遺物。
「シンフォギア纏った翼ちゃんの歌に少し反応してたの。持ってて、起動するかもしれないから」
「………解りました」
翼はそう言うと再び走り出した。
オレンジ、黒、白の近未来的なボディスーツを来た響と…………青、白の近未来的なボディスーツ姿の風鳴翼がいた。風鳴翼は戦っている。。ノイズ相手に。
ノイズって倒せるんだっけ? 倒せないから災厄なのでは? そう思いながらも、響が無事なようで安堵するカイ。
と、まさにその時だった。
『グルアアアアアアアアア!!』
咆哮を上げながら新たな人影が現れた。否、それは人影と言っていいのかもわからない。人の形をした単眼の怪物が、ノイズへと襲いかかっていた。
「な、何者だ貴様は!?」
「オオオオオオオ!!」
翼の問いかけに答えることなく暴れ回る怪物。理性のない獣同然の動きに、この場にいる響や幼女も危険にさらされる可能性を考え斬るべきか迷う翼。ノイズしか襲っていないようだが………。
「グゥ!」
と、不意にビクンと動きを止める。全身から黒い瘴気を吹き出し始めた。黒い瘴気は怪物の身を包み隠しながら、形を変える。
「グゥオオオオオオオンン!!」
「「「──────っ!!」」」
やがて現れたのはクマを人の形にしたかのような異形。開いたクマの口にはバイザーのような、複眼のような無機質な目が存在しており人の顔をもした仮面にも見える。
再び黒い瘴気が吹き出し、今度は空中に留まり形を変え複数の黒いノイズを生み出す。
「ノイズを………! であるならば、敵か!」
「グウウゥ…………ガゥ!」
ボッ、と背中から人を吐き出すクマの怪物。自衛隊の格好をした男だ。翼が瞠目するとクマの怪物の爪が迫る。
「ぐっ!!」
ギィン!と金属音を立て剣で防ぐ。吹き飛ばされた。とんでもない力だ。
「うわ、うわわわ!?」
「っ!?」
と、黒いノイズ達が響きへと迫る。響が蹴りつけ、殴りつけるが通常のノイズより感情で、炭化せず僅かに仰け反るだけ。
「きゃああああ!?」
「っ! あぶない!」
守る者が誰もいなくなった幼女へと向かう黒いノイズ。間に合わない、と翼と響から血の気が引き………。
「うおおお! あっぶねええ!!」
青年が、幼女を抱きかかえて飛び退く。体を槍のように変化させた黒いノイズが地面を削りゾッと顔を青くしていた。
「カイさん!?」
「貴方は!?」
「子供を守るただの大人(未成年)だ!」
響にカイと呼ばれた青年は地面に張り巡らされた鉄パイプを引きちぎりノイズを生み出したクマの怪物に向かって投げつける。多少鍛えているので鉄パイプぐらいなら千切れるのだ。
クマの怪物は回転しながら飛んできた鉄パイプを煩わしそうに弾くもその隙を逃さず翼が斬りかかる。
【蒼の一閃】
「グオオオオオ!?」
放たれた斬撃に吹き飛ばされる怪物。そのまま追撃を行うとする翼。が……
『やるねえ、シンフォギア』
「っ!?」
突如現れた新たな人影が翼を吹き飛ばす。狼のような犬のような、無機質な鎧と生物感が不自然に混ざりあった異形。獣のような暴れるクマの怪物と異なり理知を感じる。
『【エコー】を相手にここまで戦えるとは。甘く見ていたかな』
「エコー………?」
『僕達【スクリーム】が生み出す兵士さ。人々の心の叫びを糧に進化する。彼は、君達子供にばかり戦わせられない、だったかな? その子供を傷つけようとしてたんだから笑える話だ。あっはっはっは!』
「っ! 何が、おかしいの!?」
と、スクリームと名乗った怪物に向かって叫ぶ響。
「誰かを戦わせたくない、誰かを守りたいって気持ちを………それを踏みにじって、どうして笑えるの!?」
『おもしろいからだけど? 人間は面白いことを笑うんだろ?』
その問いかけを不思議がるように首を傾げるスクリームは斬りかかってきた翼の剣を受けとめ、逆に鈎爪で斬りつける。
「がは!?」
『これは貰うよ。君達にはどうせ扱えない』
と、翼から何やら石の板のようなものを奪うスクリーム。翼を投げ捨てると、踵を返す。
「ま、て……それを、返せ……! それは、人類の希望………!」
『これが? まあ、確かに人間にノイズや僕等と戦う力を与えるけどね………だけど、どうせ起動させることはできないよ』
「っ!!」
それでも立ち上がろうとする翼に肩を竦めるスクリーム。
『面倒だなあ。その子、殺しといて』
「グウ、ウウウウウ………ウウウ!」
クマエコーが立ち上がり、スクリームの言葉に苦しむように頭を押さえる。
「ガアアアアア!!」
『何!?』
クマエコーがスクリームに攻撃し、石板が弾き飛ばされる。
「ガガ、マモ………タタカ、ワセナ………オレガ、マモ………!!」
『そういう叫びだったね。面倒くさい』
と、黒いSDカードを何処からともなく取り出しクマエコーに投げつける。
「ゴ!? ガウ、グガアアアアァ!!」
より獣らしさを増したクマエコーが吠える。スクリームは石板を取ろうとして………
『……なんのつもりだ、人間』
その石板を、カイが拾う。
「っ! これが、お前と戦うための力なんだろ?」
『そうとも。だが、起動させることはできない。先にこっちを殺せ!』
「グオオオオオオオ!!」
「させ、るかああああ!!」
カイに迫ったクマエコーに響が殴りかかる。何故か歌を歌いながら………。
「っ! 何だ!?」
その歌に反応するように、石板が光る。ピシリと罅が入り、表面が砕けた。中から現れたのは金属ともプラスチックともつかぬ謎の素材で構成された四角い機械。カイが導かれるように腰に当てるとベルトが伸び、腰に巻き付く。
バックルと化したそれの他に、腰の横に新たに現れた2つのケース。その片方から小型デバイスのようなものを取り出しもう片方から白いSDカードを一枚取り出す。
『貴様、適合者か!?』
スクリームが驚愕する中カイはカードをデバイスに差し込む。
「変身!」
〘CONDUCTOR!!〙
バックルに差し込むと同時に流れる電子音。スクリームが放ったエネルギー段がカイから溢れ出た光の波動に打ち消される。
〘COCOCOCOCONDUCTOR♪〙
「おおおおおお!!」
カイが叫び、迫ってきた黒いノイズに攻撃する。触れた人間を炭素に分解するはずのノイズは、しかし逆に砕け散った。
『エコーノイズに攻撃を……やはり、適合者……コンダクターか!』
「カイさん、かっこいい!!」
「………ん? え、うわ!? なにこれ、鎧!?」
響が格好いいと評したカイの姿は、まさに鎧を着ているかのようであった。灰色の複眼、白い鎧のようなパーツ、その隙間も布のような皮膚のようなもので覆われていた。
「お兄ちゃん、かっこいい!」
幼女が目をキラキラさせて見つめてくる。
「な、なんか照れくさいな」
「あ、解ります! でも、頑張ろうって気持ちになれますよね!」
「それは、まあ…」
と、場違いな会話をしていると殴り飛ばされたクマエコーが瓦礫を吹き飛ばし現れる。
「っ!!」
〘ATTACK ATTACHMENT!! SOUND SWORD!!!〙
と、唐突にカイの手に二叉の剣が現れる。銀色に、青いラインが走った剣だ。直様振り抜きクマエコーを斬り付け、火花を散らしながら吹き飛ぶクマエコー。
体勢を立て直し、カイを睨む。
「ゴオオオオオオオオオ!!!」
「悪いが、終わらせるぜ!」
カイはバックルのデバイスを外し、サウンドソードに再接続する。サウンドソードのラインに光が走りながらキィィン、キィィンと音叉の用に音を響かせる。
〘SOUND SWORD! LAST SONG!!〙
「でやあああああ!!」
振り抜くと同時に真っ白な閃光が走り、クマエコーを切り裂く。バチバチと紫電が走り、クマエコーが爆発した。
「よし! 次はお前だ!」
『はぁ………たかが成熟したてのエコーを倒した程度で、随分と調子に乗ってくるなあ!』
「っ!!」
スクリームに向き直りソングソードを構えるカイに苛立ったような声を漏らすスクリーム。次の瞬間に、消える。
「ぐあ!?」
そう錯覚するほどの高速移動。吹き飛ばされたカイは地面に倒れ…………る前に蹴り飛ばされ壁に激突する。瓦礫から引きずり出され、地面に叩きつけられた。
『まあいい。適合者がいるのなら、面倒なアップデートは君に任せよう』
「っ! 何、を…………!」
『いずれ奪いに行く、そう言ってるのさ』
スクリームはそう言って首から手を離し背を向けるスクリーム。クマエコーの倒された場所に落ちていた黒いSDカードのようなものを拾う。
『僕の名前はベート。覚えておけ、何れ君を倒し。完成に至るスクリームの名だ』
そう言い残すと、ベートは姿を消した。
コンダクター
転生錬金術師が生み出した仮面ライダー。SACRED DATAカード、略してSDカードをコンダクターデバイスに差し込みコンダクタードライバーに接続することで変身する、仮面ライダー好きの転生者に作られたオーパーツ。先史文明期のアイテムにも匹敵する。
装着型ではなく肉体変化型。
返信音声は統一言語が扱われており、意味のある言葉として周囲の人間に伝わる。
スクリーム
仮面ライダーに敵が必要だよなと作られたホムンクルスとも言える存在。SCREM DATA REPLICAカード、略してSDRカードを人間に差し込みエコーを生み出す怪人。この作品の幹部怪人枠。
エコー
SDRカードにより生み出される怪人。このSDRカードはスクリーム達のコアとなるオリジナルのSCREM DATAカード、通称SDカードのデータを一部を複製したもの。故にオリジナルの影響を受け、生み出したスクリームの特徴を持つ。エコーノイズを生み出す。この作品における怪人枠。
人の感情の負の側面に共振するある存在がデータモデル。
エコーノイズ
通常のノイズを超える力を持つ黒いノイズ。エコーにより生み出される。この作品における雑魚戦闘員。