仮面ライダーを作りたかった転生錬金術師 作:黒幕は忍者だと思ってた
弦十郎≧訃堂≫越えられない壁≫小川さん≫カイ≫シンフォギア奏者≫生身ビッキー≫一般人
カイも変身後の強さ
弦十郎≧訃堂≫越えられない壁≫小川さん≧コンダクター≫シンフォギア奏者≫生身ビッキー≫一般人
前回の出来事
非公開の政府機関、得意災害対策二課にて歓迎された響とカイ。彼等は体を調べられて………
そして、裏で暗躍するスクリーム達も動き出す
「ふへ〜〜」
諸々の検査を終え学生寮に帰宅した響は畳の上にぐで〜と寝転がる。
「響ッ! もう、こんな時間までどこ行ってたの! 近くでまたノイズが出たって、ニュースで言ってんだよ!」
と、帰ってきた響に同室にして親友の小日向未来が叫ぶ。心配をかけてしまったようだ。
「ごめん………色々あって………でももう、大丈夫だから……」
「……色々って?」
「うん、その──」
と、幼女と共にノイズに追いかけられたこと、あっちこっちに逃げ回ったことを話す響。自ら危険に飛び込むなんて、と思いつつも親友の
「未来、あのね──」
その夜、二段ベッドの上を二人で使う響と未来。響はあることについて言おうとして、しかし了子に誰にも言ってはならないことを注意されたことを思い出す。
「なぁに? 響………」
「ん………その、何でもない。これからはあんまり遅くならないようにするから!」
急に言葉を継ぐんだ響に不思議そうな未来。響はごまかすように叫んだ。
「わたしは………なんでもなくない。響の帰りが遅いから、本当に心配したんだよ」
「ごめん。でも、心配してくれてありがとう。そんなの未来だけだよ」
お互い背を向けていた二人だが、不意に響が振り返り未来に抱き着く。
「んふふ。未来は温かいなあ」
「ど、どうしたの響?」
「小日向未来は私にとって陽だまりなの。未来のそばが一番温かいところで、私の絶対に帰ってくる場所。これまでもそうだし、これからもそう」
「……………あ、あのね響。私ね…………」
と、未来も何かを言おうとして、しかし響がスゥスゥ寝息を立て始めているのに気づく。
「………お休み、響」
「おかえりなさい、カイさん」
「ユウちゃん?」
「この辺りでノイズが出て、連絡も取れなかったから心配したんですよ?」
「EDEN」に戻ると、店の「OPEN」の札がひっくり返されており、「CLOSED」に変わっていた。中には友鈴が少し怒ったように待っていた。
「連絡? あ、そういえば充電中だった」
「みたいですね。まあノイズの警報がなった時にきちんと持っていけとは言いませんが、心配する人がいるんです。無事の連絡を早めにしようと、もう少し早く戻ってきてください。店だって開けっ放しで、不用心ですし」
「ああ、まあ………色々あって」
「色々?」
本当に色々あった。ノイズに追いかけられている響を追い掛けたら響と何故か居た風鳴翼がノイズと戦えてるし、謎の怪人に出会うし、変身するし、秘密組織に拉致されるし。ただ、それはカイの行動を除いた全てが機密事項。ノイズに追い掛けられた知り合いを助けに行こうとした、と正直にその部分だけ言えば叱られるのは間違いない。
「色々は………まあ、色々」
「………………」
ジトっとした目で睨んでくる友鈴。隠し事しているのがまるわかりだからだろう。
「まあ、別に隠し事したいならしていいですけど………良く見たらあっちこっち怪我してますけど、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。鍛えてるからな」
「なら、いいですけど…………あまり心配かけないでくださいね」
拗ねたような友鈴の頭に手を置くと、一瞬驚いた顔で、しかしすぐに頬をわずかに染め目を細める。
「多分無理だが、できる限り怪我しないよう気をつけるよ」
「そこは嘘でも心配するなっていうところですよ?」
次の日の夕方、何時もより早めに店を閉め食器を片付け、テーブルの吹いているとチリンとドアベルがなる。
「どうも」
「ああ、えっと………緒川さん、でしたか」
「はい。重要参考人として、ついてきてもらえませんか?」
塾のテストの点数が悪かった。帰ったら、また両親に叱られるのだろう。そんな暗い気持ちで帰路につく影があった。
ふと和気藹々と談笑しながら帰る女子高生たちを見て、思わず舌打ちする。リディアン音楽院高等部の制服。歌うだけでいいなんて、なんて楽に生きている奴等だと、親に医大に入れるだけの知恵をつけろと両親に言われる彼は八つ当たりのような感情を抱く。
『何を我慢している?』
と、不意に聞こえた声に辺りを見回す。自分を見ているもとはいない、気の所為? と首を傾げた瞬間、何かに捕まり路地裏に引きずり込まれる。
「!?」
『しぃー』
鳥人間、とでも表現するべき怪人が騒ごうとする男に対して人差し指を口に当てるというジェスチャーのまま頬を掴んだ手に力を込め有無を言わさず黙らせる。
『お前の心を、世界に向けて咆哮しろ』
取り出された黒いSDカード。男の胸に沈み込み、男から黒い瘴気が溢れ出し人の形を取る。ベートの時とは異なり人間を飲み込むことなくそのままフラフラと歩き出した。
「それでは、先日のメディカルチェックの結果発表〜♪」
と、テンションの高い了子。モニターには響とカイの写真、そして2人には良く解らない様々なグラフのようなものが映し出される。
「初体験の負荷は若干残ってるけど、体に異常は
つまり少しはあるということだろう。
男女職員が二人に、弦十郎、翼と翼に連れてこられた響、そして説明役の了子の居る部屋に連れてこられたカイは大丈夫だろうか、と響を見つめる。
「ほぼ、ですか?」
「それは、響の健康には影響はないんですか?」
「んん。そうね、貴方達が聞きたいのはそういったことでもないのかしら」
「教えて下さい。あの力のことを!」
あの力、とはあのボディスーツの事だろう。ノイズと戦えるあの力………恐らくベートがコンダクターと呼んでいた鎧も同じなのだろう、と思っているカイも了子達の言葉を待つ。
「……………」
と、弦十郎が翼に視線を送ると翼は緋色の石のようなネックレスを見せてくる。
「アメノハバキリ、翼の持つ第一号聖遺物だ」
「セイイブツ?」
「聖遺物とは、世界各地の伝承に登場する現代では製造不可能な異端技術の結晶のこと。多くは遺跡なんかから見つかるんだけど、経年による劣化が著しくって嘗ての力を振るえるものは本当に貴重なの」
逆に言えばかつてはそれこそ世に残る伝承通りの力を振るう真剣魔剣魔槍魔道具が世界各地にあったということだろうか?
「このアメノハバキリも、刃の欠片………極一部に過ぎ無い」
その欠片に残った力を増幅して解き放つ唯一の鍵が特定振幅の波動。つまり歌。歌の力で起動するからこそ、響や翼は戦いの場で歌っていたのだろう。
響はそれを知らず、しかし胸の奥から歌が浮かんできたらしい。
「俺もコンダクタードライバーの使い方や名前が頭に浮かんできたな」
「そうなんですか? 私は胸なのに、なんででしょう」
「ううん。話を戻すわよ? 歌の力で活性化させた聖遺物を、一度エネルギーに還元し鎧の形に再構築したものが翼ちゃんや響ちゃんがまとうアンチノイズプロテクター、シンフォギアなの」
「だからとて、どんな歌、誰の歌でも聖遺物を起動させる力が備わっているわけではない!」
と、今まで会話に参加してこなかった翼が叫ぶ。その声には隠しきれぬ苛立たが聞いて取れる。恐らくは私怨……。
その怨の理由を察しているのか、二課の者達は全員黙り込み、静寂が場を支配する。それを破ったのは弦十郎だ。
「聖遺物を起動させ、シンフォギアを纏える数少ない者を我々は適合者と呼んでいる。それが翼であり、君であるのだ!」
「どお? 貴方に目覚めた力に、少しは理解してもらえたかしら? 質問はどしどし受け付けるわよ」
「…………?」
そのやり取りに違和感を覚えるカイ。適合者とは、ベートもカイに言っていた言葉だが、今この場では響と翼の二人にしか向けられていない?
話を理解したかと尋ねられたとうの適合者響と言えば………
「あの……」
「どうぞ響ちゃん!」
「全然解りません」
「だろうね」
「だろうとも」
場の緊張が抜ける。響の言葉に全員が苦笑していた。
「いきなりは難しすぎちゃったかしら。だとしたら、聖遺物からシンフォギアを作り出す唯一の技術、櫻井理論の提唱者がこのわたくしであることは、覚えておいてくださいね♪」
「はあ………じゃああの、了子さん。私や翼さんはなんか若干恥ずかしいのに、カイさんのはあんなにかっこいいんですか?」
年頃の娘としてぴっちり貼り付き体のラインを写す格好に思うところがあったのか響がそんなことを尋ねる。
「カイ君のはシンフォギアじゃないわよ?」
「ふえ?」
「ああ、やっぱり」
「ええ!?」
響は理解してなかったのは自分だけ、と困惑していた。
「ならあれはなんです? あれを狙っていた、スクリームやエコーって………」
「質問には答えてあげたいけど、私達も知らないの」
と、了子は申し訳無さそうに応える。
「完全聖遺物メギンギョルズ……いや、コンダクタードライバーだったか? 我々が発見したのも数日前。海の底に沈んだ中世の船から引き上げてな………詳細は不明。そもそも完全聖遺物ではないのかもしれん」
「完全聖遺物?」
「破損が少なく、嘗ての力を振るえる聖遺物の事だ。起動さえできれば誰にでも使える……というのが特徴なのだが………」
と、弦十郎は言いにくそうにカイを見つめる。言葉を継いだのは了子だ。
「昨日、確認できる最大人数で起動実験をしてみたんだけどエラーエラーって叫んでブーブー音を鳴らすばかり。現状、あれを使用できるのはカイ君だけみたい」
「あ、そういえばベートさん、カイさんのことをコンダクターとか適合者とか言ってました!」
と、思い出さたかのように叫ぶ響。
「ベート?」
「昨日の狼男の名前です。スクリームという種族、あるいは集団の、個人名」
『僕
「聞いたことないわねえ。他には何か?」
「クマ男の方は、エコー………人の心の叫びを糧に進化するスクリームが生み出す兵士らしいです」
増やすのには人の心が必要らしく、その心の叫びに沿った行動を取ると予想できる。更にエコーはエコーノイズと呼ばれる雑兵を生みだけるらしい。
「戦闘記録で見たけど、能力値は通常のノイズを凌駕してたわね。あれが雑兵って……あ、でも炭素分解はあるのかしら?」
「ない可能性もありますが、ある前提で動いたほうがいいかと」
「それもそうね。他には?」
「俺にアップデートを任せる、と………多分コンダクタードライバーの事なんでしょうけど。それを手に入れる、とも………スクリームとコンダクタードライバーの力の根源は同じなのかも」
コンダクタードライバーもこれから進化していくようだが、それはスクリーム達も同じということだろうか。
そして、アップデートされたコンダクタードライバーを得ることでスクリーム達の進化は加速する?
彼等が突如現れたのはコンダクタードライバーが海底からサルベージされたからと考えれば、今日まで存在が知られなかったの理由も一応は理解できる。逆に言えば、コンダクタードライバーが無ければ彼等の進化は行われない?
「完成するのは自分だ、と言っていたから………ひょっとしたら一枚岩じゃないのかも」
「スクリーム達の中で誰がコンダクタードライバーを得るか争っている可能性もある、か。しかし、現状そのコンダクターがノイズやエコー、スクリーム達に対する対抗手段なのは間違いない」
しかし欠陥品もいいところだ、シンフォギアも、コンダクターも。使い手が限られる武器ほど使い勝手の悪いものはない。つまり………
「我々としては、君に協力を願いたい」
そう言って渡されるのはコンダクタードライバー。と………
「あの〜、私その格好いい変身道具も聖遺物というものも持ってないです。なのに、なんで………」
と、響きが恐る恐る手を上げるとモニターに新たな写真が映し出される。レントゲン写真のようで、肋の奥、心臓付近に何やら小さな欠片が見て取れる。
「あ………」
「これが何なのか、君には解るはずだ」
「はい! 2年前の怪我です。彼処に私も居たんです」
「彼処?」
「っ!」
カイが首を傾げる中、翼がピクリと肩を揺らしていた。
「心臓付近に複雑に食い込んでいるため手術でも摘出不可能な無数の破片。調査の結果、これは奏ちゃんがまとっていた第三号聖遺物、ガングニールの破片であることが判明しました」
「っ!!」
「奏ちゃんの………置土産ね」
奏、2年前、ここまで聞けば嫌でもわかる。カイはあの時の嫌な記憶を思い出し顔を歪め、翼も顔から血の気が失せる。
フラフラとした足取りで部屋から出ていく。
「…………あの」
「どうした?」
「この力のこと、やっぱり誰かに話しちゃいけないんでしょうか」
「君がシンフォギア…………君達がノイズに対抗する手段を持っていることが知られた場合、家族や友人、周りの人間に危害が及びかねない」
命に関わる危険性すらあると、そう告げる弦十郎。ノイズに対抗できる手段など、どんな手を使ってでも欲しがるものがいるのだろう。
響の脳裏に母や祖母、未来の姿が映り、カイの脳裏にも友鈴や後見人の男とその部下としてよく話す者達の姿が浮かぶ。
「俺達が守りたいのは機密などではない、人の命だ。そのためにも、この力のことは隠し通してもらえないだろうか」
「貴方達に秘められた力は、それだけ大きなものたとわかってほしいの」
「人類ではノイズに勝てない。人の身でノイズに触れるといえことは、すなわち炭となって崩れることを意味する。そしてまた、ダメージを与えることも不可能だ」
コンダクターという新たな異例が現れたとはいえ、これまでノイズと戦えたのはシンフォギアを纏った戦姫だけ。故に、ノイズへの対抗手段を得た稀有な存在である二人に協力を要請したい、と弦十郎は頭を下げる。
「まあ、俺はいいですけど」
隠し事の許可はもらっているし。ノイズの被害が減らせるのなら願ってもない。
「感謝しよう。そして、立花響君。君の持つ対ノイズの力を、役立ててはもらえないだろうか」
「わ、私の力で………誰かを助けられるんですよね?」
その言葉に弦十郎と了子は頷く。それを見て、響も決めた。
「わかりました!!」
響は部屋を出て、翼の元へ走る。足音に気付いた翼が振り返り、響は笑顔で宣言する。
「私、戦います!」
「……………」
「なれない身ではありますが、頑張ります! カイさんも手伝ってくれるみたいですし………翼さんとも一緒に戦えればと思います」
そう言って、響は右手を差し出す。しかし翼はその手を見て、目を逸らす。
「ぁ……あの、一緒戦え、れば…………と」
微妙な空気が流れる中、不意に警報が鳴り響く。
「ノイズの出現を確認!」
「案件を我々二課が預かることを一課に通達!」
「出現位置特定、座標出ます!」
響達が司令筆に飛び込むと既に職員達が作業に写っていた。モニターに地図が映し出される。
「リディアンより距離200! っ、新たなエネルギー反応。これは、エコー………或いはスクリームです!」
「近い」
「迎え撃ちます」
と、直様走り出す翼。響とカイも直ぐに後を追うように走り出す。
「待つんだ! 君達はまだ!」
「私達の力が、誰かの助けになるんですよね? シンフォギアとコンダクターの力じゃないと、ノイズと戦えないんですよね? だから行きます!」
「同じく。何より、エコーは俺に関係あるみたいですし!」
弦十郎が静止するが、足を止めたのは一瞬。二人はすぐさま再び走り出す。
「危険を承知で誰かのためになんて、二人共良い子ですね」
「果たしてそうなのだろうか」
「え?」
「翼のように、幼い頃から戦士として鍛錬を積んできたわけではない。ついこの間まで、日常の中に身をおいていた彼等が誰かのためというだけの理由で命をかけた戦いに赴けるというのならそれは………歪なことではないだろうか」
「つまり……あの子達もまた私達と同じ「こっち側」と言うことね」
道行く先々に転がる人の形の炭素の山。ノイズに殺された人間の死体。折り重なるのは、庇おうとした証拠。腕が不自然なのは、逃げる時に踏まれでもしたか。
カイは顔を歪めながらSDカードをコンダクターデバイスにセットする。
「変身!」
〘CONDUCTOR!!〙
デバイスをドライバーにセットすると同時にベルトが輝く。
〘♪COCOCOCOCONDUCTOR♪〙
コンダクターへと変身したカイはサウンドソードを取り出し一気に走り出す。その速度は、自動車を遥かに超える。
♪
響も
「おおりゃあああ!!」
そのノイズを響が蹴りつける。
「翼さん!」
「っ!!」
落ちていく響と入れ替わるように上に飛ぶ翼。響はその姿に尊敬や期待に満ちた視線を向け、しかし翼は響を見ない。
【蒼の一閃】
放たれた斬撃が道路の基礎を含めてノイズを切り裂いた。
『翼ちゃん、響ちゃん、カイさん、油断しないで。エコーが来るわ!』
と、通信が入り爆炎の向こうから人影が現れた。エコーの未成熟体。であるなら、中に人が居るのだろうか?
「先手必勝!」
「ガア!?」
エコーの腹を蹴りつけるコンダクター。ドッ、と鈍い音が響きサウンドソードが微かに震える。
「中に人はいない。このまま押し切る!」
「貴方の手など借りなくとも!」
と、翼がエコーに斬りかかる。火花を散らし吹き飛ぶエコーは、未成熟体故かクマエコーと比べ明らかに弱い。
「カザナリ、ツバサ………!」
「こいつ、言葉を!?」
「歌ウダケノ、クセニィィィ!!」
と、その叫びとともに成熟体に進化するエコー。
真っ白な羽毛に包まれた鳥人間。兜のような、フードのような鳥の嘴上部には肉厚の黒い肉垂が垂れ下がっている。
『この特徴、あれはスズドリね!』
「スズドリ?」
『世界一やかましい鳥よ!』
「ケェェェェィィィンッ!!」
「「「っ!!」」」
マイクのハウリングに似た甲高い叫び声を上げるスズドリエコー。音は衝撃波となって三人を吹き飛ばし、スズドリエコーは空へと逃げていった。
感想待ってます