器用貧乏なシンガーソングライター   作:アイリエッタ・ゼロス

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隣に

「ごめんね葵君。本当だったら私が見ておくべきなんだろうけど....」

「気にしないでください麗さん。俺も心配だったんで」

「そう? ....何かあったら電話してね」

「わかりました」

 次の日の朝、俺は雫の家に来て雫のお母さんである麗さんと話していた。次の日の朝に

 なっても雫は目を覚まさなかったので、念のために俺は学校を休んで雫の看病を

 しに家にやってきていた。そして、麗さんは琴の稽古指導があるため家から出て行った。

 

「....さてと」

 俺は雫の部屋に入り、雫の額に冷やしたタオルを置いた。

 

「....早く目覚ませよ」

 そう呟いて、俺は雫の部屋でパソコンを開いて作業を始めた。

 

 ~~~~

 

「ん....」

「あ....」

 パソコンで編集を初めて三時間後、雫の目が覚めた。

 

「起きたか雫」

「あおちゃん....どうしてあおちゃんがここに?」

「まぁ看病っていったところだ。取り敢えず風呂入ってこい。汗で気持ち悪いだろ。

 その間に俺昼飯作っとくから」

 そう言って俺は雫の部屋から出て日野森家のキッチンに立った。

 

「さて、作るとするか」

 俺は冷蔵庫の中から具材を取り出して昼飯を作り始めた。

 

「(背ワタとって尻尾の水分とって殻剝いて....)」

 俺はエビの下処理をして小麦粉と衣をつけて油に入れた。

 

「(その間にしそも揚げて麺も茹でとくか)」

 俺はエビの様子を見ながら他の調理も始めた。そうしている間に、雫は風呂から出てきた。

 

「雫、もうちょっと待ってくれよ。あと少しで出来るから」

「えぇ」

 それから五分後、俺と雫の昼飯ができた。

 

「ほい、天ぷらうどん。天ぷら食べるんだったら言えよ。まだ残ってるからな」

「ありがとう。じゃあ、いただきます」

「俺も、いただきますっと」

 

 ~~~~

 

「ごちそうさま。美味しかったわあおちゃん」

「そりゃ何よりだ」

 雫の言葉を聞きながら俺は洗い物をしていた。

 

「....ねぇ、あおちゃん」

「何だ?」

 洗い物も終わり食器を拭いていると、背後から雫に呼ばれた。

 

「何も聞かないの....?」

「聞かないって昨日の事か? 別に無理に聞くつもりはないぞ。それでお前が傷つくなら

 俺は聞かねぇ。まぁ、雫が話したくなったら話は聞くぞ」

 俺はそう言いながら食器を拭き続けていた。

 

「....ありがとう。やっぱり、あおちゃんは優しいね」

「....別に」

「(優しくなんかねぇよ、俺は....)」

 

 ~~~~

 

 そんな会話から一時間が経った。俺はパソコンで編集の続き、雫は隣で本を読んでいた。

 そんな時、雫の携帯が鳴った。

 

「雫、携帯鳴ってるぞ」

「うん。....っ」

 雫は携帯の画面を見た瞬間、苦しそうな表情になった。

 

「雫?」

「あおちゃん、代わりに出てくれないかな?」

「えっ?」

「お願い....」

「....わかった」

 俺は雫の苦しそうな言葉を聞いて携帯を受け取って部屋の外に出た。携帯の画面を見ると、

 電話をかけてきたのは愛莉だった。

 

「もしもし」

『雫!』

「残念だが俺だよ」

『葵....! どうしてあんたが....』

「雫の看病してたからな。で、電話かかってきたら俺に出てくれって頼まれてな」

『そう、なのね....雫の様子、どんな感じ....?』

「まぁ、昨日よりはマシだな....」

『そっか....』

 愛莉の様子は普段と違いかなり落ち込んだ様子だった。

 

「....お前の様子から察するに、雫がああなったのはお前が原因か?」

『....えぇ、そうよ』

「何した」

『雫を傷つけることを言っちゃったのよ....ほとんどわたしの逆ギレみたいな形でね....』

「....お前が雫の親友じゃなかったら宮女まで行ってぶん殴ってたな」

『ごめん....』

「....謝る相手は俺じゃねぇだろ」

『....そうね』

「はぁ....多分、明日か明後日には登校するはずだ。そん時に謝っとけ。俺から言えるのは

 そんぐらいだ」

 そう言って、俺は通話を切った。

 

「....雫、終わったぞ」

「ありがとう....愛莉ちゃん、何か言ってた?」

「さぁ。まぁお前には謝ってたぞ」

「そっか....」

 そう言うと、雫は俺にもたれかかってきた。

 

「ねぇあおちゃん....」

「....何だ?」

「あおちゃんは、どんな時でも私の味方でいてくれる?」

「....当たり前だ」

「....ありがとう」

 そう言うと、雫はそれ以上に何も言わなくなった。

 

 ~~~~

 

「じゃあ、俺は帰るな。何かあったらすぐに呼べよ」

「うん。ありがとう、あおちゃん」

 夕方になり、俺は雫にそう言って自分の家に帰った。

 

「あ、おかえり」

「....ただいま、母さん」

 家に入ると、丁度母さんが買い物袋を持って玄関にいた。

 

「雫ちゃん大丈夫なの?」

「まぁ、何とか....」

「そ。ならいいけど」

「....飯になったら呼んでくれ。編集してるから」

「はいはい」

 そう言って、俺は自分の部屋に向かった。そして部屋に入ると俺は机の上に置いてある

 写真立てを手に取った。

 

「(変わったな、俺も雫も....)」

 その写真立てにはステージ衣装の雫とライブを見に行った時の俺が映っていた。

 

「さて、今はやることやるか....」

 そう呟くと俺は椅子に座ってヘッドホンをして編集を始めた。

 

 

 

 

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