「....着いたな」
バイクを走らせて俺はCheerful*Daysの劇場に来ていた。俺はバイクを駐車場に
泊めて劇場の中に入った。そして、俺は劇場の中にある会議室に入った。そこには
スーツを着た女の人がいた。
「どうも、マネージャーさん」
「こんにちは月夜君。待っていましたよ」
女の人は雫がずっとお世話になっているマネージャーさんだった。
「急に呼び出してしまってごめんなさい」
「いえ、大丈夫です。....今日呼ばれたの、契約の件ですよね?」
「えぇ。雫が正式に脱退したので」
「そうですね。....俺が言うのも変ですが、雫が世話になりました」
そう言って俺はマネージャーさんに頭を下げた。
「礼を言うのはこちらですよ。月夜君には良い曲を多く提供してもらいましたから。
....まぁ、そう考えると少し惜しいと感じてしまいますがね」
そう言いながら、マネージャーさんは一枚の契約書を取り出した。
「どうぞ」
「....確かに。確認させてもらいました」
そう言って、俺は契約書にサインした。
「ありがとうございます」
「....じゃあ、俺はこれで失礼します」
「はい。....また機会があればよろしくお願いしますね」
「....えぇ」
その言葉を聞き、俺は会議室から出た。
「(あっさり済んで良かった....)」
そう考えながら俺は入口の方に歩いていた。そんな時....
「....っ、アンタ達の気持ち、わかっちゃうのが本当にイヤ!」
突然聞き覚えのある声が聞こえた。
「(今の声....)」
声の方に向かうと、着いた場所はチアデの練習場だった。練習場の扉は何故か少し
開いていたので俺はその隙間から中を見た。中にいたのはチアデのメンバー、雫、
愛莉、オレンジ色の髪の子、そして何故か桐谷 遥がいた。
「(愛莉....それに雫に、何でここに桐谷 遥が....それにあの子誰だ?)」
そう考えながら中を見ていると....
「そうよ。わたしもアンタ達みたいにうらやましかった! 雫は華があって、綺麗で、
特別で....! 自分のほうがずっと頑張ってるのに、どうして雫ばっかりって思うことも
確かにあった! でも....でも、ちゃんと見なさいよ! 雫は自分の才能にあぐらを
かかなかった! みんなが期待したらそれに応えようって努力した! アイドルとして、
ファンに希望を届けようとしたわ! だから人気があるの! だからセンターにいるの!
妬んでふてくされてるだけのわたし達とは....全然違うのよ!」
「愛莉ちゃん....」
「ごめんなさい雫....わたし、最低だった。自分のことばっかりで、雫のことずっと傷つけて....
雫はずっとわたしの言葉を信じて、みんなに希望をあげるためにずっとずっと
頑張ってたのに....!」
「....」
「(愛莉も、アイツはアイツで色々抱えてたのか....)」
雫への言葉を聞き、俺はそう思っていた。
「....だから何だって言うの?」
「ていうかさ、なんでまた雫がここに来るの? あんたのせいで仕事の予定も
グチャグチャなのによく顔出せたね」
「愛莉に泣きついて、代わりに文句言ってもらいにきたわけ? そういうところが
ムカつくんだよね」
「あーあ、本当雫がいなくなってくれてよかった」
「っ、アンタ達!」
チアデのメンバーからの悪意のある言葉に愛莉は拳を振り上げて殴りかかろうとした。
「よせ愛莉!」
俺の声に気づいたのか愛莉の拳は止まった。そして全員の視線が俺の方を向いた。
「葵....!」
「あおちゃん....! 何でここに....」
「契約の件でマネさんに呼ばれたんだよ。で、帰ろうと思ったら偶然な」
そう言いながら俺は雫達の方に歩いて行った。
「愛莉、お前仮にもアイドルだろ。手は出すんじゃねぇよ」
「葵....」
「ま、手を出されるような事言ったテメェ等もテメェ等だが....」
そう言って俺はチアデのメンバーを睨んだ。
「な、何よ! 私らが間違ってるってでも言うの!」
「別にそうは言ってねぇよ。ただ、お前らは一生雫や愛莉には勝てねぇと思っただけだ」
「こんなアイドルを辞めた奴等に私達がですって! どこが負けて....!」
「雫には人間としての器、愛莉には芯の強さ」
「なっ....!」
俺の言葉にチアデのメンバーは固まっていた。
「....この二人は他人を僻む暇があったら自分を磨くために努力をしていた。だから
テメェ等と差が生まれた。それを勝手に僻んで文句を言うのはただのわがままでしか
ねぇんだよ」
「....っ」
チアデのメンバーは俺の言葉を聞くと視線をそらした。
「....はぁ、帰るぞ雫。もうこれ以上はいいだろ」
「うん。....みんな、さよなら。不甲斐ないセンターでごめんなさい」
~~~~
「で、何でお前らあそこにいたんだよ」
「えっと....まぁ色々あって....」
「色々、ね....」
劇場から出た俺はバイクを押しながら宮女の方に向かっていた。
「まぁそれは良いとして....何で桐谷 遥もいたんだ? あとそこの子は?」
俺は後ろを歩いている二人を見てそう言った。
「遥は偶然会って来たのよ。みのりの方は私が練習見てた時に雫の事を聞いて
追いかけてきたって感じね」
「みのり? そっちの子の名前か」
「は、はい! は、花里 みのりです! 桃井先輩の後輩で....!」
花里はガチガチになりながらそう言ってきた。
「(後輩って事は一年か....)」
「葵、あんたも自己紹介しなさいよ」
「ん、あぁ....神高二年の月夜 葵だ。一応雫の幼馴染だ」
「ひ、日野森先輩の幼馴染さんなんですか!」
「あぁ。家が隣だからガキの頃からな」
「ア、アイドルと幼馴染....ほえぇ....」
花里は俺の言葉に震えながらそう言った。
「雫、お前今から学校戻るだろ。先に学校の方に行っとこうか?」
「....ううん。今日は大丈夫。愛莉ちゃんと一緒に帰るわ」
「....そうか。なら、俺は先に帰っとくぞ」
そう言って、俺はヘルメットを被ってバイクに跨った。
「じゃあな愛莉。それと花里と桐谷も」
俺は三人にそう言って家に向かってバイクを走らせた。