器用貧乏なシンガーソングライター   作:アイリエッタ・ゼロス

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救われた言葉

「....」

 家に帰り晩飯を食べた後、俺は部屋でギターを弾いてパソコンに曲を打ち込んでいた。

 

「(ここはこうした方が良いか....)」

 そんなことを考えながら作業を続けていると部屋の扉が叩かれた。誰かと思い部屋の

 扉を開けると、部屋の前にいたのは母さんだった。

 

「何だ母さん」

「雫ちゃん来てるわよ」

「雫が?」

「あんたに用があるみたいよ。リビングにいるから」

 そう言うと、母さんは下に降りて行った。俺はパソコンのデータを保存してリビングに

 行くと、雫がソファに座っていた。

 

「雫」

「あ、あおちゃん。ごめんね、こんな夜遅くに」

「別に良いが....どうかしたのか?」

「....少し、話したいことがあって」

「....そうか。ちょっと待ってろ」

 そう言って、俺はカップに緑茶を淹れて雫に渡した。

 

「ほら」

「ありがとう」

「....ふぅ。で、話しっていうのは?」

 俺は雫の隣に座ってそう聞いた。

 

「今日の事、お礼を言いたくて」

「今日の事って....別に俺は何もしてねぇよ。ムカついたから思ったことを言っただけだ」

「....あおちゃんからしたらそうかもしれないけど、私にとっては凄く嬉しかったの」

「えっ?」

 雫の言葉に俺は雫の顔を見た。

 

「私の努力や頑張りを認めてくれたから....周りの人は見た目や才能で私を評価して

 いたけれど、あおちゃんは本当の私を見てくれていたんだって、そう思ったの」

「雫....」

「だから、ありがとうあおちゃん。本当の私を見てくれていて」

 そう言って、雫は俺の手を握ってきた。

 

「....礼を言われるような事じゃねぇよ。さっきも言ったが、俺はあの時思った事を

 言っただけだからな」

「....うん、じゃあそういう事にしておくね」

 雫はそう言いながら笑顔を浮かべていた。

 

「あ、それとね....私、愛莉ちゃんと一緒にもう一度アイドルを目指すことにしたの」

「愛莉と?」

「うん」

「そうか....応援してるぞ雫」

「ありがとう、あおちゃん」

 

 ~~~~

 

「じゃあ、また明日な」

「うん。おやすみあおちゃん」

「おやすみ」

 俺は雫を家まで送りそう言って自分の家に帰った。そして、俺は自分の部屋に戻り

 パソコンの電源を付けた。

 

「(やっぱ、雫は凄いな。それに強い。それに比べて俺は....)」

「なっさけねぇ....」

「(こんな姿、見せられねぇな....)」

 そう考えながら俺はさっきまで行っていた作業の続きを始めた。

 

 ~次の日~

 

 放課後になり、俺は宮女に来ていた。

 

「(そういや今日から愛莉と一緒に練習するって言ってたから出て来るまで

 もうちょいかかるか....)」

 俺はそう考えながらバイクを止めて鍵を抜き指で回していると鍵が指から離れて

 吹っ飛んでしまった。

 

「やべ....」

 俺が鍵を取りに行こうとすると俺よりも先に女の子が鍵を拾ってくれた。

 

「どうぞ」

「悪い、助かった。ありがとな」

 そう言って女の子の顔を見た時、女の子をどこかで見たことがあるような気がした。

 

「(どっかで見たことあるような....あ)」

「あんた、もしかしてASRUNの....」

「あ、はい....真依です」

「やっぱそうか。....こんな所で何してんだ。誰か待ってんのか?」

「その、えっと....」

「....桐谷か?」

 俺は最も確率が高そうな桐谷の名前を挙げた。すると、彼女は首を縦に振った。

 

「....ちょっと待ってろ」

 そう言って俺は雫に電話をかけた。

 

「雫」

『あおちゃん! もしかしてもう着いてる?』

「あぁ、今学校の前だ。それよりも、今近くに桐谷いるか?」

『遥ちゃん? 近くにはいないけど、どうかしたの?』

「何か今学校の前にASRUNの真依って子がいるんだよ。で、桐谷に用があるみたい

 だから電話したんだが....」

『ASRUNの真依ちゃん!?』

 すると、携帯の向こうから花里の驚いた声が聞こえてきた。

 

「まぁ、そういうわけなんだが....桐谷見かけたら連れてきてやってくれ」

『わかったわ。愛莉ちゃんとみのりちゃんにもお願いするね』

「頼んだ」

 そう言って俺は電話を切った。

 

「....てなわけだから、もうちょい待ってな」

「す、すいません....ありがとうございます」

「気にすんな」

 そう言って俺は携帯の画面を見ながら雫達を待った。

 

 

 

 

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