「あおちゃん!」
電話をしてから10分後、雫達がやってきた。
「雫。どうだった?」
「どこにもいなかったわ....」
「多分もう帰ってたんでしょうね」
「....そうか」
「それで....本当に元ASRUNの真依がいるなんて....冗談言ってるのかと思ったわ」
愛莉は俺の隣にいた彼女を見てそう言った。
「冗談言う必要ないだろ。....それよりも」
「あ、あの! わたし、アルバムで遥ちゃんとふたりで歌ってた「虹色バラメータ」が
大好きなんです! 遥ちゃんと真衣ちゃん、ふたりともすっごく息ぴったりで....! 」
「え、えーっと....ありがとう....?」
「....花里、推しがいて興奮するのは分かるが落ち着け」
「ご、ごめんなさい....」
俺は興奮している花里にそう言って花里を止めた。
「ねぇ、よければ話聞かせてくれない? どうしてここで遥を待ってたのか....」
「....私、遥ちゃんに謝りに来たんです。私のせいで、遥ちゃんはアイドルを
辞めちゃったから....」
「「「「えっ?」」」」
~~~~
宮女の正門前から移動して俺はファミレス前の駐車場にいた。雫達は今ファミレスの中で
彼女の聞いており、俺は邪魔にならないようにファミレスの外で雫達を待っていた。
「葵」
外で待って30分ほど経つとファミレスから愛莉達が出てきた。
「終わったのか?」
「えぇ。明日、遥を屋上に呼んで話しをすることになったわ」
「そうか」
「ありがとね葵。気を利かせてくれて」
「俺がいると話しにくいと思ったからな。気にすんな。....んじゃ、帰るとするか」
そう言って、俺はヘルメットを被った。
「私達はこっちだから、二人ともまた明日」
雫もヘルメットを被り、バイクの後ろに乗ってそう言った。
「えぇ、また明日」
「お疲れ様です!」
その言葉を聞き、俺は家に向かってバイクを走らせた。
~~~~
「....結局、辞めた理由は何だったんだ?」
信号待ちをしている時、俺は後ろに乗っている雫に聞いた。
「....真依ちゃん、スランプの時期に無理な練習が重なって喉を壊しちゃったそうなの。
その時に、遥ちゃんに酷いことを言っちゃって、遥ちゃんはアイドルを....」
「....」
俺は雫の言葉を聞いて少し考えてこう言った。
「....それが理由だったら妙だな」
「妙?」
「もしもそれが理由ならこのタイミングで辞めるか? 真依って子が辞めたのは
大体1年ぐらい前。わざわざ1年経ったタイミングに辞めるのは変だろ」
「じゃあ....」
「もしかしたら、別の理由があるのかもな。まぁ俺の想像だけどな」
「別の理由....一体何かしら....?」
「....さぁな」
そう言って俺はバイクを走らせた。
~次の日~
「葵」
「何だ類? 朝からいるの珍しいな」
朝、学校に着くと教室に珍しく類がいた。
「少し聞きたい事があるんだが良いかい?」
「聞きたい事? 何だよ」
「葵は天馬君と仲が良いのかい?」
類が効いてきたのは意外なことだった。
「司? 司は幼馴染みたいなもんだ。それがどうかしたか?」
「そうか。なら、葵から見て天馬君はどんな人物だい?」
「....そうだな。声がうるさくてバカで変人だが、根はまじめで礼儀正しい奴だな。
後は妹想いの良い兄貴で意外と多才な奴だな。それと、ショーに対する熱意が凄い。
....まぁこんなところだな」
「ふむ、なるほど....ありがとう、参考にさせてもらうよ」
「参考って、何のだ?」
「実は天馬君にショーに誘われてね。演出を考えるために彼の人となりを知って
おこうと思ったんだよ」
「そうか」
「(司のやつ、類を説得したのか....上手くやったもんだ)」
俺は一人、そんなことを考えた。
「おかげで良い演出が思いつきそうだ。本番はぜひ見に来てくれたまえ葵」
そう言って類は教室から出て行った・
「(見に行けたら見に行ってみるか....)」
そう考え俺はポケットから携帯を取り出して予定を確認した。