器用貧乏なシンガーソングライター   作:アイリエッタ・ゼロス

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ステージのセカイ

「....」

「....」

 学校が終わり、雫を迎えに宮女に行った俺は雫を後ろに乗せてバイクを走らせていた。

 

「桐谷とあの子、結局どうなったんだ?」

「二人とも仲直り出来たわ。でも....」

「でも?」

「あおちゃんの言った通りだったわ。遥ちゃん、アイドルを辞めた理由別にあったの」

「....そうか」

「遥ちゃんね、ステージに上がると足が動かないって....」

「身体的っていうよりも精神的な問題か....」

 そう言いながら俺はバイクを家のガレージに停めた。

 

「精神的ってなると難しいな....」

「何か、遥ちゃんにできることはないかしら....」

「その相談は俺じゃなくて同じアイドルだった愛莉にした方が良いかもな」

「っ! そうね、愛莉ちゃんにも相談してみるわ」

「あぁ。....桐谷、立ち直ることができたらいいな」

「うん。じゃああおちゃん、また明日」

「あぁ、また明日」

 雫はそう言って家の方に歩いて行った。

 

「精神的な問題か....」

 俺は一言そう呟き家の中に入った。

 

 ~~~~

 

 晩飯を食い風呂に入った俺は自分の部屋で作業をしていた。すると....

 

『葵』

 携帯の画面からミクが顔を出してきた。

 

「どうしたミク」

『今セカイに来れる? 見せたいものがあるの』

「見せたいもの?」

『うん』

「わかった」

 俺はそう言って部屋から出て扉にプレートを掛けてセカイに入った。

 

 ~~~~

 

 セカイに入ると、ミクは水着姿だった。

 

「何で水着なんだよ....」

『泳いでたからね』

「....で、見せたいものって?」

『これだよ』

 そう言って、ミクは俺に三角形の欠片のような物を見せてきた。

 

「....これは?」

『想いの欠片。セカイを形作る物って言えばいいのかな』

「セカイを....」

『そう。このセカイも、欠片と葵の想いで出来ているもの』

「じゃあ、これは誰かのセカイの欠片って事か」

『そういう事になるね。本来欠片はセカイになっていない誰かの想いだけど、この欠片の

 大きさから見るに既にセカイになっている欠片みたいだね』

 そう言ってミクは手に持っていた欠片を地面に置いた。

 

「緑に黄色、青に紫か....」

 そう呟き、俺は緑色の欠片を手に取った。すると....

 

「っ!?」

 手にした欠片は光り輝き、俺は光の中に飲み込まれた。

 

 ~~~~

 

「っ....! ここは....」

 光が収まり目を開くと、俺は自分がいたセカイとは違う場所に飛ばされていた。

 

「(俺のセカイじゃない....てことは、さっきの緑色の欠片のセカイって事か)」

 そう思いながら、俺は辺りを見渡した。

 

「(音が聞こえる....それにこの建物の感じ、ドームみたいな所か?)」

 俺は壁の感じや音の感じからそう考えた。そして少し進むと扉があるのを見つけた。

 

「(....入ってみるか)」

 そう思い、俺は扉を開いた。

 

「っ!」

 扉を開いた先で俺が目にしたのは、巨大なステージの周りを囲むペンライトの光だった。

 そして、ステージの中心にはこのセカイのミクと思われるミクがステージで踊っていた。

 

「あれが、このセカイのミク....」

「(俺のセカイのミクと全然違うな....)」

『みんなー! 今日もライブに来てくれてありがとう! いっぱい楽しんでいってね!』

 その声と同時に、ミクのライブが始まった。ミクの曲に合わせてペンライトの色は

 変わっていき、ある曲の時に変わったペンライトの色に俺は見覚えがあった。

 

「このペンライトの色....」

「(雫のカラーと同じ....それにさっきのピンク色、愛莉の色と似てたような....)」

「まさか、このセカイの持ち主は....」

 そして次の曲になった時、客席のペンライトは青色に変わった。

 

「桐谷の色....」

「(じゃあ、このセカイはあの三人のセカイか....)」

 俺はそう考えながら、一度ステージの外に出た。

 

「三人の想い....」

「(共通点はアイドルを一度は辞めた二人にアイドルを辞めた桐谷....だけど、愛莉と

 雫はアイドルを諦めたくなかった....)」

「アイドルを諦めたくないって想いか....?」

「(だが、それだと変な気が....)」

 そう考えていると、突然俺の身体を光り始めた。

 

「っ! これは....」

 そして俺の身体は消えるようにこのセカイから消えた。

 

 ~~~~

 

 目を開くと、俺は自分のセカイに帰ってきていた。

 

「ここは....」

「(戻ってきた....いや、戻されたか)」

『おかえり。どうだった? 他のセカイは』

 俺に気づいたミクはそう聞いてきた。

 

「....俺のセカイとは全然違っていたな」

『へぇ、そうなんだ』

「なぁ....さっき行ったセカイにまた行くことはできるか?」

『同じ欠片に触れれば行けると思うよ。でも、一日に何度も行けるかはわからないよ。

 それに、同じぐらいの時間セカイに滞在できるとは限らないし。さっきも急にこっちに

 戻されたって感じでしょ?』

 そう言いながら、ミクは欠片を手のひらで回転させながらそう言った。

 

「....あぁ」

『まぁ、その辺の事は私が調べてみるよ』

「....頼んだ。じゃあ、俺は戻るぞ」

『うん。またいつでも来て』

 俺はそう言って、untitledを切り元の世界に戻った。

 

 

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