器用貧乏なシンガーソングライター   作:アイリエッタ・ゼロス

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プロローグ

「....ちゃん、あおちゃん起きて!」

 ベッドでぐっすり眠っていた俺は誰かに肩をゆすられていた。

 

「....」

 俺が眠い目を開くと、そこには空色の髪で口元にほくろがある美人が俺を起こそうとしていた。

 

「....雫か?」

「そうよ。ほら、早く起きて! もう七時よ!」

 そう言われ、俺は寝る時に近くに置いたスマホの画面を見た。スマホの画面には7:00と

 表示されていた。

 

「....もうこんな時間かよ。はぁ....」

 俺は身体を起こし身体を伸ばした。

 

「雫、先降りといてくれ。着替えたらすぐ向かう」

「わかったわ」

 雫はそう言うと自分の荷物をもって部屋から出ていった。俺は雫が部屋から出ていくと制服に

 着替えてリュックの中にノートや財布、ノートパソコンを入れて部屋から出た。そして俺は

 階段を下りてリビングの隣にある母親の部屋の扉を見た。母親の扉には"現在睡眠中!

 起こすべからず!"と書かれたプレートが掛けられていた。

 

「(絶対朝まで配信してたな....)」

 そう思い、俺は母親の部屋も開けずリビングの方に向かった。すると、リビングでは雫が

 コーヒーを淹れていた。

 

「はい、あおちゃん」

 雫はそう言ってブラックコーヒーが入ったカップを俺に渡してきた。

 

「あぁ、悪いな」

 俺は雫からカップを受け取りブラックコーヒーを一気に飲みほした。

 

「ふぅ....よし、じゃあ行くか」

 そう言って、俺はフルフェイスのヘルメットを雫に渡して家から出てバイクのエンジンを

 かけた。そして俺もヘルメットをかぶってリュックを身体の前に背負った。

 

「雫」

「は~い」

 雫を呼ぶと、雫はバイクの後ろに乗って俺の腰に手をまわしてきた。

 

「手を離すなよ」

 俺は雫にそう言って、雫の通っている宮益坂女子学園に向かってバイクを走らせた。

 

 ~~~~

 

「今日はレッスンか?」

「うん。そろそろライブが近いから」

「そうか。なら終わる前に連絡しろよ」

「いつもありがとうあおちゃん」

「気にすんな」

 そう話しながらバイクを走らせていると、雫の通っている宮益坂女子学園が見えた。

 

「この辺で良いか?」

「うん」

 雫がそう言ったので、俺はバイクを止めて雫を降ろしヘルメットを受け取った。

 

「じゃあまた夕方に」

「うん。じゃああおちゃん、行ってくるね」

「あぁ、いってらっしゃい」

 俺は雫にそう言って自分が通っている神山高校に向かった。

 

 ~~~~

 

 近くの屋内駐車場にバイクを止め、コインロッカーにヘルメットを入れてきた俺は自分の

 学校に着いていた。

 

「やぁ葵」

「類」

 教室に入ると、俺の数少ない友人で、二週間前に転校してきた神代 類が話しかけてきた。

 

「また何か作ってるのか?」

 俺は類の机にあるパーツやら機械の本体らしき物を見てそう聞いた。

 

「あぁ。次のショーで使う物さ」

「相変わらず器用だな....あ、そうだ」

 俺はある事を思い出し、類の机に一台のUSBメモリを置いた。

 

「頼まれていた物、作っといたぞ。一応お前のリクエストに沿うように作ったが問題あったら

 言ってくれ」

「助かるよ。流石はBlue moon」

「....人がいる所でその名前を呼ぶんじゃねぇよ」

 そう言いながら、俺は自分の席に座った。

 

「今日何限サボる?」

「三限と五限」

「そうか」

 それだけ聞いて、俺はイヤホンを付けて目をつぶった。俺のイヤホンから流れている曲は

 俺が雫のために作った曲だった。

 

 

 

 

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