「おぉ! 葵ではないか!」
「....朝からウルセェな司」
雫を送って学校に向かっている時、珍しく司と会った。
「うるさいは余計だ!」
「はいはい....てかこんな時間に珍しいな。寝坊か?」
「違うぞ! 実はだな、咲希を学校まで送っていたのだ!」
「咲希ちゃんを? てことは、退院したって事か?」
「あぁ! ようやく病気が治ってな。これからは学校にも登校できるようになったのだ」
「そうか....良かったな。咲希ちゃん、ずっと楽しみにしてたもんな」
「あぁ....咲希には青春を目一杯楽しんで欲しいからな!」
「お前....昔から思ってたが良い兄貴だよな」
そう話しているうちに、俺達は学校に着いた。
「んじゃ、またな」
「あぁ!」
そう言って、俺は司と別れた。
~その日の放課後~
「そういえば冬弥、司から聞いたか?」
図書委員の仕事をしている時、司の幼馴染で後輩でもある青柳 冬弥にそう聞いた。
「司先輩から? 何をですか?」
「その感じだとまだ聞いてねぇか。咲希ちゃん退院したんだとよ。学校にも今日から
通えるようになったってさ」
「っ! 咲希さんがですか! それは初耳です」
「そうか。それでなんだが、委員会の仕事を終わったら咲希ちゃんの退院祝い買いに行こうと
思ってるんだが一緒にどうだ?」
「それならぜひお供させてください」
「そうか。じゃ、さっさと仕事終わらせるぞ」
「はい」
そう言って、俺と冬弥は委員会の仕事を終わらせて渋谷に向かった。
~渋谷~
「さて、来たのは良いが....何を買ったもんか....」
「無難なのは花とかでしょうか?」
「花か....でも結構見舞いの時に持って行ってたからな....」
「そうですか....でしたらフルーツとかはどうです?」
「フルーツか....良いかもしれないな。この季節なら....メロンとさくらんぼか」
俺は携帯で旬の果物を調べてそう呟いた。
「取り敢えず青果店に向かうか」
「はい」
~青果店~
「メロン、メロンっと....お、あった」
「葵先輩、サクランボありました」
「サンキュ冬弥。取り敢えずこんな所だな。じゃあ会計行くか」
そう言って俺は冬弥からサクランボを受け取り支払いを済ました。
「あ....」
「どした冬弥」
「いえその....先輩が二つとも買ってしまったので俺は退院祝いどうしようかと思って....」
「あ....すまん」
俺は紙袋を見て思い出し冬弥にそう言った。
「うっかりしてたな....どうする?」
「そうですね....化粧品は、よくわかりませんし....あ、先輩少し待っててください」
そう言うと、冬弥はある店に入っていった。そして、少しするとプレゼントボックスを抱えた
冬弥が出てきた。
「何買ったんだ?」
「ぬいぐるみです。咲希さん、ぬいぐるみを病室に飾ってあったのを思い出して」
「あぁ....そういやあったな」
「(にしては持ってる箱でかすぎねぇか....?)」
俺は冬弥が持っているプレゼントボックスを見てそう思った。
「そろそろ暗くなりそうですし、急ぎましょうか」
「そうだな」
そう言って、俺と冬弥は天馬家に向かった。
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天馬家
『はーい』
「こんばんは、月夜です」
『あら葵君! ちょっと待ってね』
チャイムを鳴らすと、司のお母さんが出た。そして少し待っていると家から司のお母さんが
出てきた。
「あら! 冬弥君も一緒だったのね」
「こんばんは」
「すんません夜遅くに。実は司から咲希ちゃんが退院したっていうのを聞いて。これ、俺と
冬弥からの退院祝いです」
「あらあら! わざわざありがとう二人とも! あ、ちょっと待っててね」
そう言うと司のお母さんは家に戻っていった。そして出てくるとそこには司と咲希ちゃんが
いた。
「とーやくん! 葵にぃ!」
「お久しぶりです咲希さん」
「久々だな咲希ちゃん。退院おめでとう」
「ありがとう二人とも!」
「二人とも、わざわざすまないな」
「気にすんな司。俺にとっても咲希ちゃんは妹分みたいなもんだ」
「葵....!」
「んじゃ、渡すもんも渡したし俺は先に帰るな。晩飯買って帰んねぇとダメだし。冬弥と司は
また明日な。咲希ちゃんはまた今度な」
そう言って、俺は先に天馬家から離れた。
「(咲希ちゃん、元気になってたな。....どうにかなってくればいいんだが)」
そんなことを考えながら、俺は夜道を歩き出した。