【完結】とある原典の霊媒作家(ゴーストライター) 作:大根ハツカ
『……アレイ、スター』
『久しいな、アラン。要件は分かっているだろう?』
蒸気と煤煙のカーテンに隠された街の片隅で、二人の魔術師は遭遇する。
そこに、かつて存在した友好はない。
『立ち止まる気はないのかい……?』
『もう止まれんよ。既に先生を手にかけた』
『……っ‼︎』
片や、あるゆる位相の破壊と魔術の絶滅を目的にした魔術師。
片や、新たな位相の創造と魔道書の量産を功績とする魔術師。
相容れるはずもない。
『……きみが行くのは茨の道だ。目的地は果てしなく、共に歩く者は誰もいない。それでも?』
『それでもッ、運命なんかに支配されない世界を作らなければならない‼︎
アランは改めてアレイスターの顔を見つめる。
出会った時とは似ても似つかない。青年から大人の顔へ、父親の顔へと変化していた。まるで全く別の人間を見ているようだった。
その時、アランは既視感を覚える。
このロンドンとは別の場所、いつか何処かで彼を見たことがある。
『アレイスター=クロウリー……?』
『なんだ今更』
『待てッ、きみは
アランは勘違いに気がついた。
今の今まで、彼は
だが、真実は違う。この世界は、……
『「とある魔術の
『……?』
『だとすると、そうだとするならば! ぼくらは争う必要なんてない‼︎ だって、だって‼︎
ああ、だけど。
気がつくには遅すぎた。
そして一つ、気がついていない事があった。
『ごっ……、は……ッ⁉︎』
ゴポリ、とアレイスターの口から血が滴る。
原作知識とは『異世界の知識』。
つまり知識を耳にした者を汚染する『知識の毒』が存在する。
『……「知識の毒」を読み上げる、か。君らしい攻撃方法だな』
『違う! ぼくはそんなつもりじゃ……ッ‼︎』
『それに加え、きみに物理攻撃は効かない。全く、厄介な
『頼むからぼくの話を聞いてくれ……‼︎』
既に袂は分たれた。
アレイスターはアランの反応を意に介さず、自分の話を続ける。
『ただし、何事にも例外はある。きみのあらゆる防壁を突破する霊装がね』
サクリ、と一本の矢が突き刺さる。
物理的な矢などアランには刺さらないし、刺さったとしても大した問題ではない。しかし、その矢がアランに触れたのは致命的であった。
そう、つまり。
『