転生したらあべこべアニメ主人公だった件について 作:カンさん
「ふんふんふーん」
朝食の準備と並行して弁当を作っている中、おれは自分でも分かるくらいには浮かれていた。
「おはよう。あら? 今日は機嫌が良いね」
起きた叔父さんが、おれの様子にすぐに気付いた。
おれは挨拶を返しつつ、作り終えた朝食をテーブルに並べて席に着いた。
ふっふっふ。気になるみたいだ。
頬が上がっているのを自覚しながら、おれは叔父さんの疑問に答えた。
「今日はプールの日なんだ! やっと泳げるよ」
「ああ。もうそんな時期か。あさひはスポーツが好きだったね」
そうなんだよな。この身体に転生したからかどうかは分からないけど、体育の時間が凄く楽しく感じる。体力もあるし、活躍できるし、精神が肉体に引っ張られている事を無しにしても楽しい。
ラタや真琴も楽しみにしており、昨日も夜遅くまでその事について話していた。
「あ、叔父さん。見て見て」
「ん?」
そう言っておれは立ち上がり、上着を捲ってその下を見せた。
そこには、学校指定の水着があり、それを見た叔父さんは何故か味噌汁を吹き出していた。どうしたんだろう?
そう思いつつも、おれは得意気に言う。
「実はもう着ているんだよね。多分ラタと真琴も同じ事をしていると思う!」
ちなみに、この世界の男性の水着はパンツだけでなく、胸を覆うタイプのものもある。胸当て? スポーツブラ? そんな感じの物だ。
「……あさひ。はしたないぞ」
「え?」
「とりあえず、刹那ちゃんや十和子ちゃんの前でやらない様に」
「? する訳ないじゃん」
変な叔父さんだなぁ。
何で彼女達の前でそんな事すると思ったんだろ?
「……健二、ちゃんとその辺教育しておけよ……」
何だか叔父さん、疲れた表情を浮かべている……。
元々朝が弱かったし、執筆作業に疲れているのかな。
今日の弁当は叔父さんの好きなおかずをたくさん入れているし、それで元気出して欲しいな。
そう思いつつも、おれは今日のプールの授業に心が奪われていた。
第五話『あさひとプールとトラブルな1日』
教室に着くと同時に、おれは二人の友達に元気よく挨拶をした。
「おはよう、二人とも!」
「おはようあさひ」
「おっすあさひ。今日はテンション高いね」
「うん! なんて言ったって、今日はプールだから!」
正直、ここ最近は普通の授業が退屈に感じていた。
初めは懐かしさを感じ、先生がどの様に工夫して教えているのか考えながら受けていた為、新鮮で面白かった。
しかし、それも最近は飽きてきて、だから体育の授業で思いっきり体を動かすのが楽しく、夏の間でしか味わえないプールは好きだった。
そしてそれは、目の前の二人も同じ様で楽しみにしている様子を隠し切れていなかった。
「実はオレ、家から水着着て来たり……」
「マジ? 実は俺も……」
「ふっ。考える事はみんな一緒だな」
おれもラタも真琴もテンションが凄い。
「今日の四時間目が楽しみだね!」
「うん! あ、でも……」
しかし、そこでラタがちょっとを眉を顰めた。
「刹那たちと合同授業らしいよ」
「「ああ……」」
ラタが何を懸念しているのか理解してしまうおれと真琴。
二人はまだ小学生だから、刹那たちが男子に向ける視線がどういう物か分からないだろうけど、転生者であるおれは理解している。まぁ、ちょっとオブラートに包むとお猿さんみたいなものだ。
あれ? でもよく考えると転生しているって事は精神年齢は成人済みの可能性が高い訳で、そんな彼女たちが小学生をソウイウ目で見ているって事は……。
……うん。気にしたら負けだな。イエスショタノータッチ。
しかし、今時の小学生はそういう事に敏感なのだろうか?
そんな事を考えて四時限目。
退屈な授業を乗り越えたおれ達は、水着に着替えて学校内のプールへとやって来た! テンション上がるぜ!
「では、皆さん。入る前にしっかりと体操をしましょうね」
「「はーい!」」
先生の言葉にみんなはいつも以上に素直に従った。
さっきまで冷たいシャワーにキャーキャー言っていたのに単純だな。まぁ、その単純な集団の中におれも入っているのだけど。
「……それにしても」
転生して十年以上経っているが、未だに慣れていない事がある。
それは女子の水着だ。
貞操観念逆転しているからか、この世界の女性の水着は──基本海パンなのである。ただ胸のサイズが大きい人は垂れ乳予防だとか、クーパー靭帯だとかでビキニブラも着けている。
逆に言うと、貧乳や絶壁。そして幼い少女達はブラを着けないのである。
「んー! 今日は晴れて良かったなー」
腕を伸ばし恥ずかしがる事も無く上半身裸の刹那。元々超絶という言葉が頭に付くほどの美少女で、その裸体が惜しげもなく大衆の場に晒していると思うと、頬が赤くなり恥ずかしくなってくる。
「ああ。最高だ……」
そしてこっちを凝視している十和子も胸にあるピンク色の突起を隠しておらず、イヤらしい事を考えている声が聞こえたせいでこっちもそういう気分になりかけた。おのれムッツリ助平め。
「どうしたのあさひ? 顔が赤いよ?」
「熱でもあるの?」
「だ、大丈夫」
そしてブラでしっかりと胸を隠しているラタと真琴を見て、改めてこの世界はおれの元居た世界と違うんだなーと達観する。
……心無しか、女子の目線がおれの下半身に集中している気がする。
反応はしていない筈だけど。
(月ノ本さんって年齢の割に……)
(ああ。結構大きいよな……)
……ちなみに、男子の海パンは漏れ無く全員ブーメランパンツである。つまりアレの形がモッコリ丸分かりだ。クソが。
そんな風にドキドキしたり、うんざりしながらもプールの授業は進み、待ちに待った自由時間となった。
おれは真琴とラタと一緒に水を掛け合って遊んでいた。
「そりゃ!」
「キャッ!? やったなー! それ!」
「わぷ!? 真琴くんもラタくんも激しいよ!」
やっぱり友達とプールで遊ぶのは楽しくて、前世の子どもの時を思い出して自然と笑顔になった。
「……この世界に転生して良かった」
「……ああ、同感だ」
……約二名の視線が少し気になるが。
「……ん?」
そうやって三人で遊んでいると、おれはふと違和感を感じた。
何だかプールの流れがおかしい。みんな思い思い遊んでいる為、多少の流れがあるのは別に不自然じゃ無いんだけど──だんだん早くなってない?
そんなおれの違和感は正しかったらしく──突如、プールの中で大きな渦潮が発生し、おれ達はその中に飲み込まれた。
──キャアァァアアア!?
──ラタ、今助け……!
──真琴……!
──みんな、早く出てきて……!
水流に巻き込まれながらもみんなの声は聞こえた。
このままじゃ、みんな溺れてしまう……!
おれは、万が一にと持ってきた宝石を手にして何とか顔だけを水中から出して急いで詠唱する。
「月の力よ。太陽の力よ。我が呼び掛けに応え給え。天光満ちとし時我はあり。星の導きの元汝あり。真の姿を我の前に示せ、魔法の杖。──メタモルフォーゼ・マジカルアップ!」
宝石が杖に変わる瞬間、おれの耳は仲間の声を捉えた。
「──リバースワールド展開!」
世界がモノクロへと変わり、飲み込まれていた真琴達が消え──否、魔力を持つおれ達もプールの水飲みが異空間へと飛ばされた。それはつまり──やっぱりこの水はカードの仕業って事だ。
「あさひ!」
十和子がおれの鞄からカードを取って来たのだろう。こっちに向けて一枚のカードを投げ付けた。
おれはそのカードに杖を向けて魔法を発動させる。
「
風が巻き起こり、俺に纏わりついていた水を薙ぎ払った。
──ビリッ。
「あさひ。残りのカードを──!?」
十和子からカードを受け取り、おれはありがとうと手短に返事をしつつ思考を続けた。
相手は水。
「──そうだ」
実体が無いなら作れば良い。
おれはとあるカードを選んで杖先に飛ばして詠唱する。
「実体無き水に混ざり、彼の者を捕らえよ──
魔法が発動すると後者から砂が巻き起こりプールの水と混ざり合う。すると砂と水は泥へと変わり動きが鈍くなった。
「なるほど! 土と混ぜれば水は泥になって──へ?」
刹那の賞賛の声を聞きながら、おれは走り出す。魔力の強い所は、
「姿迷いしカードよ。我と契約し生まれ変われ。我が名はあさひ。汝の名は──
杖先に
これで集まったのは5枚。ユナ曰く21枚あるらしいから、後16枚か。先は長いな。
「お疲れ様二人とも。助けてくれてありがとうね」
「……」
「……」
振り返って刹那と十和子にお礼の言葉を送る。二人のおかげでみんなに魔法がバレる事なく、無事にカードを封印する事ができたからだ。
しかし、二人はおれの言葉に返事する事はなかった。というか、様子がおかしい。
十和子は何故かあらぬ方向に顔を背けて、しかしこちらをチラチラとこちらを見て、刹那はこちらを凝視していた。共通しているのは顔が赤い事だろうか?
そう不思議に思っていると、刹那の結界が解けていく。
おれは慌てて杖を元に戻し、カードは水着のポケットに入れた。
すると世界が元に戻り、プールも
「いったい何が……あれ? あさひは?」
「何処に……あ、あそこに──ってあさひ!?」
「あ、二人とも無事だっ──」
いつの間にかプールから上がっていたおれを見つけた真琴とラタ。
しかしこちらを見ると二人は揃ってこちらに向かって駆け出してきた。
どうしたんだろう。
さらに周りからの視線がいやにおれに集まっている気がする。特に女子の視線が多い。何故か蹲ってお腹? ら辺を抑えていた。
「あさひ、早くこっちに!」
「女子はこっち見るな!」
真琴がおれをみんなの視線から遮る様にして更衣室へと連れて行き、ラタは周囲の女子に威嚇をした。
なになに? 二人ともどうしたんだ?
「どうしたの二人とも?」
「どうしたはこっちの台詞だ!」
「何でアンタ、上の水着千切れてんだよ!」
「──へ?」
そう言われて視線を下に向ければ──確かに胸の部分の水着が千切れていた。
そう言えば、
そして記憶を辿れば思い出す事も増えて来て、十和子と刹那の様子が変だった理由にも合点が行き……改めて己の行動を振り返る。
前世の記憶があるおれからすれば、水着イコール海パンのみである。
しかしこちらの世界は貞操逆転しており、おれの先ほどの行動はおれの世界で言うとブラを付けていない女性そのもので──。
「……──っ」
刹那や十和子、そして女子たちの視線の意味を理解したおれは、自然と己の頬が赤くなるのを感じた。
いや、何で恥ずかしがっているんだ! おれは男だぞ! ……でもこの世界の男はそれが当たり前なんだ。
この世界に染まって来ている自分に頭を抱え、先ほどの自分の痴態を思い出し、しばらく立ち直れなかった。
「本当、今日は散々だったね」
替えの水着を借りて授業に改めて参加し、プールの授業を終えたおれ達は更衣室で着替えていた。
ラタが何処か同情した様子でおれに声を掛けてくれたが、あまり元気出そうにない。
戻った時の女子の興奮した視線と男子の軽蔑した視線が辛かった……。ラタと真琴が居なかったら耐えられなかったかもしれない。
「まぁ、もう忘れようぜ。嫌な事はさ」
そう言って慰めてくれる真琴への好感度は上がり続けている。本当に良い子だ……。
「……あれ?」
しかし、ふと真琴が固まった。
どうしたのだろうか? と思っていると。
「……あ」
ラタも固まってしまった。
……? どうしたんだろう。
二人を見てみると、着替え袋の中を見て絶望した顔をしていた。
──ちょっと待って。
おれはすぐさま自分の着替え袋の中を見て……おそらく二人と同じ理由で絶望した。
「……ねぇ、二人とも」
「……なに」
「……今日さ、水着着て来たんだよね」
「そう、だな……」
「……下着、持って来た?」
「……」
「……」
沈黙が、全てを語っていた。
どうしよう。
「スースーする……」
「バカ、バレたらどうすんだよ……!」
まさかそのまま水着を着て制服を着る事が出来るはずも無く、おれ達三人は下着無しで制服を着る羽目になった。
真琴がモジモジしてそう言うと、ラタが嗜めながらも興奮した目で彼の事を見ていた。ちょっと前屈みになっている。
時折こちらに視線が来るけど、今はそれは良い。
問題は……。
「よ、よぉあさひ。昼ごはん一緒に食べない?」
「……」
この二人だ。さっきの事があって何処か挙動不審だ。
いや、それは良い。良くないけど。
問題は──今おれ達がノーパンノーシャツである事が二人にバレているかどうか、だ。
この二人はエロい。エロい事が大好きである。特に原作キャラであるおれやラタ、真琴の艶やかな姿に興奮する本物だ。
だから、既に把握している可能性は高い。後魔法使いだし。
おれは心を読んだ。
(ああ、早く帰りたい。そしてさっきの光景をオカズに──)
刹那てめぇこの野郎! あ、女だから野郎じゃないや。
じゃなくて堂々と本人を前にエロ妄想しやがって! しかしおれ達がノーパンノーシャツなのはバレていないみたいだ。
では、十和子はどうだ……?
(ああ、早く帰りたい。そしてさっきの光景をオカズに──)
十和子てめえこの野郎! だからこいつらは女だって!
というか一句一言間違い無いエロ妄想しているのはどうなんだ!? やっぱりお前ら仲良しだろ!?
しかしこの反応を見る限り気付いていない様である。
……しかし、それでも。
「は、ははは……ちょーっと今日は遠慮して欲しいかなぁ」
おれは二人を遠ざけた。
表向きはさっきのが恥ずかしいから、と装っているが実際は今の痴態をバレない様にする為である。
……絶対に近くに居たらバレる。おれにはそんな確信があった。
「まぁまぁ、そう言わずに」
「いやいや、本当に今日は」
「まぁまぁまぁまぁ」
「いやいやいやいや」
バチバチと見えない火花を散らすおれと刹那と十和子。
くそ、エロに取り憑かれた転生者はこうも厄介なのか……!
そんな攻防をしていると昼休憩の終わりが近づき、急いでおれ達は昼食を取る羽目になった。
とりあえずバレてないと思うが……。
そう考えながら何とか一日を乗り切ろうとするおれだが、そんな日にトラブルは付き物で……。
「月ノ本さん。この問題の答えを解いてみて」
「は、はぁい……」
何故かこういう日に限って先生に当てられ。
「おりゃ!」
「きゃ!? もう、女子ー!」
「……」
近くで女子が男子のズボンをずり下ろすという、おれの世界でいうスカート捲りの回数がおれの周りで多発し。
「うわー雨だ」
「今日傘持って来てないよ」
「……」
天気予報では晴れだったのに、下校時間になると同時に雨が降ってきた。当然ながら傘は無い。
「あさひ、ウチの者に車で来てもらおうか?」
「……分かった。そうす──」
真琴の提案に頷こうとした瞬間、おれは魔力の気配を探知した。
え? うそ? こんな時に?
(あさひ! カードが出たみたいだ! ボクは先に行っているね!)
さらに魔法でユナからの念話が届く。これでおれが行かなかったら怪訝な顔をされる。
しかし、今の状態でこの雨の中を進めば──仕方ない。
「ごめん、おれは急ぐから先に帰る!」
「あ、あさひ!?」
後ろから真琴の呼び止める声が響くが、おれは雨の中走り続けた。雨が服を濡らし、そのまま肌に張り付く。心無しかすれ違う人達がこっちを見ている気がして恥ずかしかった。
だからおれは必死に走り、10分経った頃にはカードの気配がする場所に辿り着いた。
「ユナくん!」
「あさひ──ってずぶ濡れじゃないか!? それにその服もしかして」
「──今は良いから!」
おれは手早く杖を取り出し呪文を取り出し、真の姿を解放する。
「月の力よ。太陽の力よ。我が呼び掛けに応え給え。天光満ちとし時我はあり。星の導きの元汝あり。真の姿を我の前に示せ、魔法の杖。──メタモルフォーゼ・マジカルアップ!」
月と太陽の杖を携え、おれが視線を向ける先にはメキメキと音を立てて成長している巨大な木があった。
確かに魔力が感じられる。雨が降っているせいで成長促進されているのか?
とにかく。
「あの二人が来る前に、片付けないと……!」
そしてすぐに家に帰って着替える! これ以上エロい目で見られたくない!
「
カードを使い、跳躍したおれは杖を大きく振りかぶって木に向かって振り下ろす。当然封印の為の詠唱を唱えながら。
「姿迷いしカードよ。我と契約し生まれ──」
「危ない、あさひ!」
しかし、おれの封印が発動する事はなかった。
危機を察知したのか、幾つもの蔓がおれに向かって伸び杖が絡め取られてしまった。
それに加えて……。
「わ、ちょ、やめ!?」
「あさひ!? うわ、ボクまで──」
あっという間におれ達は蔓に拘束されてしまった。
しかも何故か縛り方がエロい。杖を使わせない様にしているからか、おれは両腕を上げた状態で身動きが取れず、さらに蔓がズルズルと服の中に──って、そこはダメだろ!? 男のおれにそんな事しても何処に需要が──んっ……!?
「あさひ!」
「大丈夫か!?」
「刹那ちゃん……十和子ちゃん……!」
そんなおれ達の元に刹那と十和子が駆けつけて来た。
本当はさっさと片付けたかったけど、そうも言っていられない。こうなったらこの二人に助けて貰おう。
……しかし二人に動きはなく、その場に佇んでこちらをジッと見つめていた。
……。
…………。
「──二人とも? 早く、助けて、くれるかな?」
「──わ、分かった!」
「ご、ごめん!」
そう言って二人は自分達の杖を持ち出し、成長する木に向かって斬撃を飛ばす。すると幾つもの枝が斬り落とされるが……それ以上に成長速度が高くて片っ端から再生していく。
やっぱり、この雨が原因か。
「刹那ちゃん! おれの腕の蔓を斬って!」
「分かった!」
刹那ちゃんは一飛びでおれの元まで来ると、おれの腕を拘束していた蔓を斬ってくれた。すぐに再生するが刹那が斬ってくれる。
「このまま拘束を解いて……」
「いや、このままで良い!」
そう言っておれは一枚のカードを取り出し、魔法を発動させる。
「天より降り注ぐ恵を止めたまえ──
そして木々に降り注がない様に空中で雨を滞空させた。
これで異常な再生速度は封じる事ができた筈だ。
「二人とも、今だ!」
おれの合図に反応して、二人はそれぞれ魔力を高めて得意魔法を発動させる。
「──広範囲斬撃魔法発動【インフィニティーブレード】」
刹那が剣を掲げると、天から大量の剣が降り注ぎ次々と木々を切断していく。再生しようとするが今度は刹那の魔法の方が早く、多く、鋭い。
それを理解したのは、木々は一点に集中して巨大な球体となり防御の構えをとった。確かにそれなら天から降る剣に耐える事ができる。
でも……。
「──一刀流【斬空刃・無頼】」
そこに十和子が居合いの構えを取ったまま突っ込み──姿が消えたかと思うと暴走しているカードの背後にいた。
そしていつの間にか抜いていた刀を鞘に戻し、チンッと音が鳴ると……無数の斬撃が走りバラバラになった。
「今だ、あさひ!」
「封印を!」
二人の声に従い、おれはもう一度杖を振り下ろす。
「姿迷いしカードよ。我と契約し生まれ変われ。我が名はあさひ。汝の名は──
すると杖先に魔力が集い、カードとなった
今日捕まえた
……何か法則性が見えてきた気がする。
「あさひ! 上!」
「上?」
突如刹那が焦った様子で叫び、おれは上を見ると──そこには
そして魔法の効果が切れた大量の水はおれたちに降り注ぎ──。
「うわあああああ!?」
「きゃあああああ!?」
「あさひ!!」
おれ、刹那、十和子の声が聞こえるも直ぐに水により流されてしまう。
そしておれは前後左右が一瞬分からなくなるほどの衝撃を受けて──しかしすぐに感覚を取り戻す。
「──むぐ」
「うひゃ!?」
「……む?」
「ちょ!?」
それも、くすぐったい感触と共に。
おれは、視線を下に向ける。すると刹那と十和子二人の目とあった。しかし二人は声を出す事ができない。何故か? それはそれぞれ何かを口に含んでいるからだ。そしてそのまま声を出すとおれは無意識に体をビクンと体を震わせてしまう。
……上半身にある敏感な部分。二人はそれぞれ左右おれのを唇で受け止めていた。
さらに何かに捕まろうとしたのだろう。二人の左腕と右腕はそれぞれ下に下ろされており、握っていた。時折ビクンと力を込められてしまい、おれはしたくもない反応を徐々にして──。
「──
「──ぁ」
「──ぷは」
おれは
「二人のエッチイイイイイイイィイイイイ!」
「!? ちょ、待てあさひ! 誤解だぁあああ!」
「弁護させてくれえええ!」
しかし二人の言葉を聞く事はできず、おれはそのまま家に帰り。
「もうお婿に行けない……」
一人自室で落ち込み、そして興奮した己の体を慰めた。
その後、家に帰ってきた叔父に「風間の血か」と何やら納得した様子で頷いていた。
しばらくナマコ料理だけを作り続けた。
次の日、おれは学校を休んだ。