転生したらあべこべアニメ主人公だった件について   作:カンさん

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特に関係無いんですけどリリカルなのはって現代/日常なんですかね


第四話『転生したら原作介入された件について』

 

 時は進み、おれは保育園を卒園して小学校に入学した。7歳になりました。

 背も伸びて行動範囲も広がり、ここ最近は体を動かすのが楽しいと感じる。どうもこの肉体はハイスペックらしい。もしくはこれくらいの身体能力が無いと、彼女達の言う原作を乗り越えられないとでも言うのか……。

 そして当然と言わんばかりにあの二人も同じ学校に入学した。クラスは違うけど、休み時間の度に突撃して来るので、学校でも三人組扱いされている。やれやれだぜ。

 刹那は顔が良いから初見の男子達は彼女に目をハートにさせるが、おれへの態度を見て一気に幻滅。しかし顔が良いアイツにチヤホヤされているおれを面白くないと感じているのか、何処かハブられている。泣きそう。

 逆に十和子は別にモテていないけど、いつも刹那に突っかかる怒りやすい子と見られているのか、男子にも女子にも遠巻きに見られている。本人は気にしてないみたいだけど……。

 ……いや、違うな。あれはクールぶっているだけだ。硬派な自分カッコいいって若干考えてる。

 心を読んで思わずため息を吐いている間にも、おれの前ではキャンキャンと刹那と十和子が喧嘩している。ここ数日続いており、もはや見慣れた光景だ。クラスのみんなもまたか、みたいな顔をしている。

 

「何でアンタがこの教室に居るんだよ!」

「それはこっちのセリフだ!」

「私は愛しのあさひに会いに来ただけさ」

 

 そう言ってこっちにウインクを飛ばす刹那。

 くそ、腹立つな……顔が良いのも腹立つな……。

 取り敢えずいつもの事なので、曖昧な笑顔を送っておく。

 すると刹那は得意げに笑い、十和子がぐぬぬと悔しそうな顔をした。

 保育園の時から変わっていないな……。

 

「ちょっと」

 

 そんな風に思っていると、後ろから声を掛けられる。それも男の子の声だ。

 珍しい事もあるもんだと思いながら振り返ると、そこには金髪につり目の男の子がいた。ハーフだろうか? それに凄い美形だ。顔の造形の美しさなら刹那に負けていない。

 

「おれ?」

「そうだよ。お前だろ、こいつら侍らせているの」

「はべ……」

 

 小学生がよくそんな言葉を知っているな……じゃなくて!

 

「違うよ!? 彼女達はそういうのじゃ――」

「事実はどうでも良い。オレが言いたいのは迷惑だって事だ」

 

 フンっと鼻を鳴らしてこちらを見る彼の瞳には、おれに対する軽蔑の色が含まれていた。

 これ、もしかして……この二人が騒いでいるの原因がおれだと思っている?

 じょ、冗談じゃない……! こいつらの所為で同性の友達ができていないのに、そんな風に思われるなんて心外だ。

 しかし目の前の彼は話を聞く気は無さそうなんだけど……。

 さらに彼の言葉は紡がれていく。

 

「休み時間の度に他所のクラスの奴らがわざわざこっちに来て騒いでいる……もう我慢の限界なんだけど」

 

 いや、はい。仰る通りです。

 

「そんなに盛りたいなら、家でやってろ」

 

 言いたい事は言ったといわんばかりに彼はそのまま立ち去って行った。

 おれはその背中を呆然と眺める事しかできず……。

 いや、ねぇ。あそこまで強烈に真正面から言われた事なかったからびっくりしちゃった。

 

「うおぉ……リアルくぎむーボイス……」

「典型的なツンツンセリフ……」

 

 そして後ろの二人の言葉に、おれは何となく察した。

 これは、あれか。いわゆる原作キャラってやつか?

 少し気になったおれは、読心能力を使い二人の心を読んでみた。

 

(あれがツンデレ親友枠のラタ・エーテルライト。声優がツンデレキャラ御用達の釘室ことくぎむー。成績優秀。頭脳明晰。容姿端麗。運動神経抜群の完璧超人。親は外資系企業の社長で絵に描いたかのような御坊ちゃま。常にツンツンしてるけど時折見せるデレが物凄く可愛い私の推しの一人!)

 

 ああ、うん……説明ありがとう。

 

(あれがツンデレ親友枠のラタ・エーテルライト。声優がツンデレキャラ御用達の釘室ことくぎむー。成績優秀。頭脳明晰。容姿端麗。運動神経抜群の完璧超人。親は外資系企業の社長で絵に描いたかのような御坊ちゃま。常にツンツンしてるけど時折見せるデレが物凄く可愛いアタシの推しの一人!)

 

 ああ、うん……二度目の説明ありがとう。

 脳みそウィキ○ディアに直結してるんじゃないか? と言わんばかりの二人の心の声を聞いて、おれは彼……ラタ・エーテルライトの事を知ることができた。

 何となく彼がどういう扱いを受けているのか、おれの元いた世界と照らし合わせて情報を飲み込む。

 それにしても、ツンデレキャラが性別変わると何というか……ただの俺様系にしか見えないな……。

 

(あの子がおれの親友に……?)

 

 正確には本来の月ノ本あさひの、だけど……これから仲良くなれる気がしないな。

 だって、さっきの彼の心の中……。

 

(本当にあり得ない。女なんかを近くに置いて。汚らわしい)

 

 ごりっごりにおれの事嫌っているんですけど……何なら、原作と関係無い理由で……。

 果たして、おれは平和な小学校生活を送れるのだろうか……。

 

 

第四話『転生したら原作介入された件について』

 

 

 ラタ・エーテルライトの邂逅から1週間。あれ以来特に絡まれることはなかった。相変わらず転生者二人と騒がしい日々を過ごし、それ以外はぼっちの時間を過ごしていた。

 刹那たちが親友枠と騒いでいた為、自然と目が彼に向かうのだが……彼、おれとは別路線で周りと馴染めていない。

 その容姿と言動、さらに周りよりも勉強も運動もできる所為で小学生に上がりたての子ども達は「アイツ嫌い」と離れて行った。いじめは起きていないが、ちょっと空気が悪い。小学一年生でこれって、前から思っていたけど精神年齢高いなこの世界の子ども達……。

 自分たちとは違う彼を排他的に扱い、それを理解しているラタはいつもイライラしている。

 正直、いつ爆発するか分からなくてヒヤヒヤしている。具体的には、親に泣きついてモンスターペアレントによる蹂躙するみたいな……。

 

「どうしたものか……」

 

 ため息を吐きながら、おれは弁当箱を手に中庭に向かっていた。

 昼食時間になった為、そこで食べようと思って移動している。教室は張り詰めて息が詰まりそうだし、あの二人に絡まれる前に逃げたかったと言うのもあるし。

 それに、中庭は他に人が居ないからおれ的に穴場なのである。

 

「……ん?」

 

 しかし今日は先客が居たようだ。珍しい。

 少し残念に思いながらも、隅っこで食べれば良いかな。それとも別の場所で食べようかなーと思いながら歩を進めると、そこにはここ最近見慣れた人物と見慣れない人物がいた。

 

「なによ!」

「なんだよ!」

 

 ……何故かお互いにガン付けがあって……。

 アレは喧嘩だろうか? 小学生の喧嘩にしては気合い入ってるなー。

 そして喧嘩してる当人達のうち、一人はラタ・エーテルライト。そういえば、おれが昼食を終えて教室に帰ると同時に彼もまた帰ってくる所を見た気がする。普段の言動からハブられて一人で食べていたのかな……いやそれはおれも同じ事だけど。

 もう一人は別のクラスの子だろうか? 見た目は女の子のそれだが、何故か男子生徒の制服を着ている。……いや、あの子男の子ならぬ男の娘か? しかしおれのイメージする男の娘と違って随分と粗暴だな。あれか? 前世で言うボーイッシュな女の子みたいな立ち位置なのだろうか? それを抜きにしても言動が荒々しい。少し心を読んでみようか。

 

(ちっ……! 今日はツいていないな。アイツらには絡まれるし、噂のエーテルライトには難癖付けられるし……)

 

 どうやら仕掛けたのはラタかららしい。

 さて、彼は何を考えて……。

 

(――)

 

 ――ふむ。なるほどね。そう言う理由で……相変わらず素直じゃないな。

 

「仕方ない」

 

 心を読んで事情を知ってしまった以上、無視する事はできないな……。

 おれはため息を吐きそうになりながらもそれを我慢し、二人に近づく。

 そしてそのままラタが後ろ手に隠してあるソレをそいやと持ち上げた。

 

「!? あ、ちょ、アン――」

「はい、これ。君のでしょ」

 

 目の前の男の娘の髪は腰に届く程長い紫色。前髪も伸びて時折鬱陶し気にしており、おそらくこのカチューシャを使っているのだろう。

 おれの手に持っているカチューシャを見て「あ!」と顔をする男の娘。

 

「多分何処かに置き忘れたんじゃないかな? ……そう、例えば体育の時とか? それをラタさんが見つけて届けに来たんじゃないかな?」

「……だったら、初めからそう言えば良いじゃないか」

 

 おれからカチューシャを受け取った男の娘が付けながら口を尖らせながらそう言えば、ラタはグッと言葉を詰まらせ視線を逸らした。

 

「ラタさんは素直じゃないから」

「はぁ!? どういう意味だよ!?」

「いや、そのまんまだって。実際その所為で喧嘩になってたし」

「グッ……」

 

 おれの言葉に何も言えなくなるラタさん。

 男の娘は事情を理解したのかため息を吐き、しかし苦笑しながらもラタに声を掛ける。

 

「そう言う事だったら、ありがとうよ。これ、大事なモノだったんだ」

「っ……」

「ラタさん」

 

 まだ素直になれない彼に、おれはちょっと踏み込んで言った。

 

「人はね、自分の気持ちを伝えるにはちゃんと言葉で言わないといけないんだ」

 

 おれはこの力で相手の心を読むことができる。

 しかし所詮はその程度。何を伝えたいのか、どうすれば伝えられるのか――結局は言葉にしないといけない。その事をよく理解している。

 素直になれないラタなら尚更で、だからこそ彼にはしっかりと言葉を伝えて欲しい。

 

「――うん」

 

 そして、おれの言葉が通じたのかラタは頷いて男の娘に向いて頭を下げた。

 

「さっきはごめんなさい。酷い事を言った」

「ああー、うん。言われ慣れてるから気にしないでいいよ」

「それと、良かったらオレと、その、と、とも……友達に――」

「そういえば、思い出した。お前、いつもチラチラ俺を見ていたっけ」

 

 しかしその前に、男の娘の言葉がラタの言葉を遮った。

 というか、ラタさん彼のことチラチラ見ていたの?

 結構前からロックオンしてたっぽいな。

 

「なんだ、そういう事だったんだ――じゃあ、そういう事なら」

 

 理解を示した彼は、固まっているラタの手をパシッと掴む。

 

「これからよろしくな。俺の名前は極寺真琴」

「あ、その……オレはラタ・エーテルライト、です。よろしくお願いします」

 

 ニカっと笑う男の娘こと極寺真琴。対して顔を真っ赤にして俯くラタ・エーテルライト。

 これで二人は友達になった。

 まぁ、なんて事はない。ラタは真琴の事を知っていて友達になりたいと思っていた。だから彼のカチューシャの事も気付いていた訳だ。

 ……ちょっと薔薇っぽいけど、うん。友達になれて良かったね。

 

「ほい」

「……ん?」

 

 突如おれの前に差し出される手。

 疑問に思い首を傾げるおれに、真琴は当然のように言った。

 

「俺は極寺真琴」

「知ってる」

「お前の名前は?」

「月ノ本あさひ」

「じゃあ、これでお前とも友達だ」

「何ですと」

 

 なんだこの子、めっちゃ良い子じゃん……!

 思い返せば同性からは敬遠されていたおれは、彼の……真琴の言葉に涙が出そうだった。

 

「オ、オレも忘れるな! それと、この前は悪かった。ごめんなさい」

 

 さらにラタも真琴と同じ様に手を差し伸ばしてくる。

 やだ、この子たち本当に良い子だ……!

 

「うん! よろしく!」

 

 おれは嬉々として二人の手を取った。

 やった。これでボッチ卒業だ!

 

(そういえば、こいつもなかなか……)

 

 おっと。お尻を狙うのはやめてくれよラタくんよ。

 

(なんか二人とも弟みたいで放っておけないな)

 

 精神年齢ではおれの方が上だが、正直真琴くんからは魂レベルで負けている気がする。

 おれ視点からだとイケメンな男の娘だけど、こっちだと……チ◯コついたイケマン? よく分からないな……。

 

 何はともあれ、これからの学校生活が楽しみになってきたおれだった――が。

 

 二人にバレない様に意識を物陰へと向ける。

 

(くそ、放せこの女! せっかくの三人息子フラグに介入できないじゃ無いか!)

(黙れ! これ以上原作を崩壊させてたまるか!)

 

 ……いつから居たんだろうね、あの娘たち。

 心の声で何となく彼女たちがやろうとしていた事を知りため息を吐きそうになる。

 刹那はいつものハーレム関係だろう。十和子はその妨害か。

 保育園のときから変わらずって訳だ。

 まぁ、つまり、おれが何を言いたいかと言うと……。

 

(ーーあの二人は喧嘩するのを傍観してた訳だ)

 

 それは、人としてどうなんだ?

 正直今までは考えない様にしていたが、二人は原作を基に動いている。そして、自分にとって都合が良いのなら、今回みたいな事もスルーする、と……。

 ……はっきり言って。

 

(ガッカリだよ、二人とも)

「? どうしたの、あさひ」

「ううん。何でもない」

 

 二人の原作とやらに対する好きという感情は本物だ。

 でも、二人の行動におれは良い感情を抱けなかった。

 新たな友達を得たというのに、モヤモヤした感情を抱きながらおれはその日を終えた。

 

 そして後日。おれ、刹那、十和子にとって大きな事件が起きる事をーーこの時のおれは知らなかった。

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