セブルスに成り代わって平穏に生きてみる   作:dahlia_y2001

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セブルスに成り代わって平穏に生きてみる5-1

 

 

 

セブルスに成り代わって平穏に生きてみる5-1

 

 

 

吾輩がホグワーツ教職員になって5年目だ。この辺りから原作知識が怪しくなってくる。実は、前世で原作全巻読破していないのだ。この年は―――前年度末あの人が復活して魔法省とホグワーツが復活の是非で対立。アンブリッジが防衛術の教授になって学内がてんやわんやに、だったか。今までの年よりはトラブルが少ない気がするので、少しは気を抜くことが出来そうだ。

そもそも前年度末にあの人は復活していない。魔法界は真実、平和だ。それはそれとして、吾輩は溜息を零した。去年、散々説得したのだが、結局、ルーナ・ラブグッドは風の精霊使いになってしまった。なぜ一度契約すると決めた精霊はああ頑固なのだろうか。ネビルの精霊しかり、ルーナの精霊しかり。吾輩やトムのように訳アリならともかく、好き好んですべての魔力を差し出して精霊と契約することを吾輩としてはとてもお勧め出来ないのである。もっとも、ネビルにしろルーナにしろ、本人が望んでいるのだから仕方ない。

ところで、アンブリッジ防衛術担当はホグワーツ職員紹介で己の野心を隠そうともしなかった。魔法省をバックにホグワーツで権力振るうぞ!!といっそ清々しい程である。慎重さが足りなさ過ぎて頭が痛いな、と吾輩は内心頭を抱えているのだった。

 

 

 

プンプンと怒ったハーマイオニー含めハリー達三人組が、精霊使い三人組(ネビル、トム、ルーナ)と茶を飲んでいた吾輩の部屋に突撃してきた。吾輩はハウスエルフのメリーアンに視線で彼らにお茶をサーブさせる。茶と菓子で心を落ち着けて欲しいものだ。

 

「闇の魔術に対する防衛術の授業が教科書の読み上げである、と」

 

ハーマイオニーの防衛術の授業に対する文句は結局のところ、それであった。教科書はロックハートと違って真面だし、教科書読み上げは魔法史のビンズ教授と同じで、ロックハートの演劇児教室よりマシだし、どうしよう、ロックハートよりマシで特に文句のつけようがないのだが。教科書読み上げがアウトならば、ビンズ教授はどうなるのだ?但し、今までの生徒のウケから考えるに防衛術は実技優先の方が望ましいようだ。吾輩としては過激すぎて下級生と精霊使いの指導を強引に奪った去年のマッドアイ偽(中身はクラウチ・ジュニア)ですら、生徒からは実践的であると好意的だった。一歩間違えると大惨事なのに、だ。魔法界は過激すぎるし、安全管理がザルだ。とはいえ、ハーマイオニーの言いたいことは分かる。分かるがーーーそれを防衛術の座学担当(防衛術の教師不在時)の吾輩に言うのは間違っていないだろうか。皮肉か、皮肉なのか?

 

「つまり実技の補講をしたい、という訳かね?吾輩に言っても仕方あるまい」

「いえ、そういうのではなくて、その」

 

ハーマイオニーは吾輩の言葉に含まれる棘に口ごもる。

 

「グレンジャー先輩は実技補講を企画して欲しいのですね。プリンス教授に」

 

トムが続けて解説する。

 

「生徒が言い出してもアンブリッジ教授に潰されてしまう。魔法省にバックを持つアンブリッジ教授に対抗出来るのは、名門当主のプリンス教授しかいない、と。加えて、ずっと防衛術の座学を担当しているプリンス教授の発言であれば説得力もありますから」

「いや、説得力はないだろう。とはいえ、オウル試験やイモリ試験は不安であろうな」

 

かといって、現時点でアンブリッジとガチでやりあう気にはなれん。面倒くさいから。それにアンブリッジのメンツを潰すのも気の毒だ。相手は大人だし、今のところロックハート程に厄介でもない。

 

「では、防衛術の実技補講ではなくイモリ試験オウル試験対策という名目で補講を実施しよう。これは以前からそもそも実施していたことだからアンブリッジの面目も立つだろう」

「そんなにアンブリッジに気を使わなくても」とロン。

 

文句を言う生徒たちに吾輩は肩をすくめた。

 

「覚えておきたまえ。大人のメンツを潰すものではない」

「センセ、意外に優しい」とルーナ。

「普通に優しいよ」ネビルが続けて言う。

 

そういうフォローはいらないから。余計なことは言わないで欲しい。吾輩が面倒くさい人間みたいではないか。

提出されたレポートについて指導があるという名目で、トムを残した。単なる口実というのはトムも分かっていたようだ。

 

「それで、プリンス教授。僕に何かご用があったのですよね?」

「率直に聞くが、あの方は復活しているのか?動向は分かるかね?」

「分霊箱である僕と本体は連動していませんし、互いに連絡も取れません。もし僕の動きが分かったら、本体が阻止に動く筈でしょう」

 

それもそうか、と吾輩も思い至った。手帳ベースに他の分霊箱を回収し、統合してトム・レストレンジになったのだ。仮にあの方が分霊箱の動きを把握出来ていたら、勝手な動きをするトムを野放しにする筈がない。

こちらがあの方の動きが分からないデメリットはあるが、こちらの動きがあの方に知られぬメリットはある。あれ、でも原作ではハリーとあの方が繋がっているような描写があったような?

 

「ハリーとあの方が繋がっていたような?」

「それはハリーが正規な手順による分霊箱ではないからです。本体はかなり弱体化していますし、協力者も少ない。元・闇側名門はこちら側です。人材・財力・コネのない現状で復活は難しいでしょう」

 

流石、あの方の分身、情報も分析力も本体と遜色がない。原作ではクラウチ・ジュニアの工作とピーター・ペティグリューの助力により復活を果たしたが。クラウチ・ジュニアはアメリカへ逃がしたし、ペティグリューは本人の希望で魔法省に軟禁中。ペティグリューはシリウスから逃れるには魔法省に頼るしかないと思い込んでいる。間違ってはいないが、色々と残念な事態である。

 

「そうなれば、あの方のことは放置で良いか。藪をつついて蛇を出すのは避けたい。話を変えよう。今年度の防衛術の教授。毎年、何かしらの問題を抱えているが、今年のアンブリッジはどうだろうか?」

「権威主義の俗物ですね。少なくとも校長の子飼いではありません。あの教科書読み上げ授業と学生時代の成績から―――実技に自信がないのでしょう。たいした魔女じゃありませんから」

 

原作でもアンブリッジはそんな感じであった。

 

「それにしても、闇に対する防衛術の教授のレベルの低さときたら。毎年毎年、碌な教授が―――」

 

そこでピタリとトムは言葉を止めた。言っていることがイチイチもっともで現役教授の吾輩は何もフォローが入れられない。防衛術のみならず占い学トレローニーもいまいちだし、ビンズ教授の読み上げ魔法史もどうかなーと思う。どうしてか、トムの表情が冴えない。

 

「どうかしたのかね?」

「あの、その、毎年、闇に対する防衛術の教授が変わるのは、多分、僕というか本体のせいではないか、と」

「は?」

 

そして明かされる呪いの話。防衛術の教授が一年もたない理由はトムというか本体が名簿に呪いをかけたらしい。教師になれなかった腹いせにしてもなぜ、こんな呪いを?

 

「なんでまた、そんな呪いをかけたのだ?」

「いや~、毎年教授が変わるのなら僕にもワンチャンあるかと」

 

どういう発想だよ。単にやけになっていただけじゃないのか。

てへっとトムは笑う。

 

「実は解くの忘れていただけなんですけどね」

「そうであろうな。ともかく、その呪いは解除した方が良いだろう。今のトムには解除出来なくても、解き方を明記して闇祓いに提出して解いてもらうか」

「呪い解呪はそっち専門の魔法使いに依頼した方が良いと思いますよ」

「吾輩にそっちの伝手はない。ロングボトム夫妻かルシウスに頼むか。その前にマクゴナガル教授に相談しないと」

 

穏やかな一年の筈なのに、今年もマクゴナガル教授には面倒をかけることになりそうだ。

 

 

 

 

 

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