セブルスに成り代わって平穏に生きてみる 作:dahlia_y2001
セブルスに成り代わって平穏に生きてみる5-3
マクゴナガル教授に名簿に呪いがかかっているせいで闇に対する防衛術の教授が一年しかもたないのか?と尋ねたら肯定された。嘘だろ、なんで解呪しないんだ!
「理由があって解呪していない訳ではありますまいな」と吾輩
「もちろんです。・・・・・・ただ、問題人物が一年で辞職するというメリットも」
それはロックハートとか、アンブリッジとか指していたりするのか?とはいえ、毎年教師が変わって指定教科書は変わるし、担当教師だとて常に新人ばかりではノウハウの蓄積もない。
「生徒にとって全体的にメリットよりデメリットの方が上回りますな。そもそも魔法学校で呪い付き教員名簿放置とかありえぬ事態。即急に対処すべき案件です!!」
きっちりはっきり吾輩が言い切ったら、マクゴナガル教授はいたたまれなさそうに顔をそむけた。校長は迂遠に何かを言っていたが―――いやいや放置の理由って本当に何なのだ?
校長は無視して吾輩主体で名簿解呪に動く。吾輩以外が主体だと横やり入って潰されそうなので仕方なく、本当に仕方なく吾輩が。別に目立ちたくも功績上げたいわけでもない。解呪が成功したら、成功した奴に功績を押し付けてくれよう。
とりあえず、闇祓いに連絡取ったら、わざわざネビルの父親フランク・ロングボトムがホグワーツに来てくれた。忙しいのに申し訳ない。
「久しぶりだな、セブルス」
「わざわざすまない。フランク」
ネビルが精霊使いの関係でロングボトム家とはファーストネームで呼び合う仲だ。ホグワーツの同僚より仲良かったりする。信頼度の違いか。
「いや、ついでにネビルに会うつもりだから構わないよ。それで手紙にあった通り、名簿の解呪だね。よくよく考えてみたら私が在学中も毎年、闇に対する防衛術の教授が変わっていた。呪いだったのか。思い至らなかったよ」
「それで早速、名簿を見てくれ」
フランクは名簿を確認し、眉をひそめた。杖を出し、口早に呪文をかけると名簿がパチリと静電気を走らせた。再度、フランクは杖を振るうが、抵抗するように名簿が震えた。
「これは手強いな。セブルス、すまないが私の手には余りそうだ」
「こういうのを専門に解呪できる者の伝手はないか?」
「ああ、何人か思いつく者はいる」
「出来たら、能力もだが場所が場所だけに信頼できる人間が望ましい。例えばホグワーツのOBとか」
「なるほど、そっちで捜してみよう」
凄腕の闇祓いフランク・ロングボトムでも手に負えないか。流石、あの方の呪いだ。こうなると、トムに解呪法をレポートにさせて解呪者に渡すべきだろうか。しかし、この解呪法はどこから持ってきたと突っ込まれると困る。説明のしようがないのだよな。どうしたものか。
「じゃあ、ネビルに会ってくる」
楽しそうにフランク・ロングボトムはネビルに会いに行った。ロングボトム家の親子仲は良いのだな。
そして、フランク・ロングボトムの紹介で来たのがビル・ウィーズリーだった。ロンや双子の長兄だ。闇の解呪が得意だったか。
「はじめまして。プリンス教授」
「はじめまして。今回は厄介ごとを頼んですまんな、ミスターウィーズリー」
「ビルでよいです。ウィーズリーは多いですし、今も弟たちがホグワーツに通っていますし。大分、お世話になっているのも聞いています。フレッドとジョージのことも。僕じゃ手助け出来なかったから、ありがとうございます」
ロングボトム別荘での課外授業とか、双子の出資とか知っていたのか。弟たちの礼を言うとは、ちゃんとお兄ちゃんしているのが吾輩から見ても偉いな、と思う。
「気にするな。課外授業や補講は生徒の為だし、双子の事業は儲けが出ると判断したからだ」
素っ気なく言ったが、ビルは微笑を返すだけであった。何か腹立つな。腹が立ったので仕事を押し付けることにする。ビルに例の名簿を見せる。
ビルも杖を出して軽く?調べて、ロングボトム同様に想像以上にこれは大変と判断したようだ。ビルは色々と試して、額に薄っすらかいた汗を手の甲でぬぐった。
「これは、ちょっとかかりそうです」
「そうか。では、ホグワーツに滞在できるよう、手配しよう」
長期戦になろうとも、今まで放置しておいたことと比較すれば大分マシである。
そういう訳で吾輩が教授陣にビル・ウィーズリーを紹介して回った。大概の教授は教え子としてのビルを知っているので特に問題はなかった。またビル自身も如才なく振る舞っているのも大きいだろう。だからこそ、新人のアンブリッジはビルを胡散臭げに疑う様子で見つめた。
「名簿の呪いですって?」
そんな話は聞いていないという風だった。
そこで吾輩が闇に対する防衛術の教授が一年もたない呪いの旨を教えた。アンブリッジは信じず鼻で笑う。
「アンブリッジ教授が在学中も防衛術の教授は毎年変わっていたのでは?」
ぴたり、とアンブリッジが固まった。思い至ったらしい。フランク・ロングボトムも指摘するまでこの点に気付かなかったのだから、この呪いはそういう効果も付加されているのやもしれない。
「吾輩の知る限りでは――クィレルは年度末試験後に失踪、未だ行方知れず。ロックハートはアクロマンチュラ騒ぎの直前に夜逃げし、新聞報道で社会的に死んだも同然ですな。ルーピンはシリウスの脱獄騒ぎで学生時代の愚行が露見して辞職。マッドアイ・ムーディは教職を受けた直後に身代わりにされ幽閉。呪われているのは確かかと」
ざあっとアンブリッジは顔色を青くした。
「しかし、闇に対する防衛術の教授ならば、自身への呪い位は自力でどうにか出来るでしょうとも。それに吾輩の知る限りでは死人は出ていませんからな。社会的に死んだのはいますが」
アンブリッジはもごもごと口の中で呟いた後、挨拶もそこそこに踵を返して去っていった。
ビルはくすくす笑う。
「近いうちにアンブリッジは辞職するのではないですかね」
「なぜだ?」
「あれだけプリンス教授に脅されてしまっては」
「脅す?吾輩は脅してなどおらぬし、本当のことしか言っていない。大体、生徒に防衛術を教える位だ、魔法にさぞかし自信があるのだろうて」
アンブリッジの能力は十分、知っているのでこれは単なる当てこすりに過ぎない。とはいえ、名簿に名前を載せた以上、アンブリッジが呪いに巻き込まれているのは確かだ。今更、何をしても同じなのか、辞職することで呪いの回避が出来るのだろうか。あの方の思考からすれば、教授を辞めたら興味を失いそうである。故に、早々に辞職するのは有効かもしれない。
色々と呪いについて考えることがあって、吾輩はビルを自室に招いた。ハウスエルフのメリーアンに茶とお菓子を頼む。お茶を飲みながら、先ほど考えたことをビルに話して意見を聞いてみたくなった。
「そうですね。気付かなければ呪いを認識できないというのはあり得ます。僕も指摘されるまで全く気に留めていませんでした。毎年、闇に対する防衛術の教授が変わっていたのに」
「認識阻害系統の呪いが含まれているのかもな。気付かなければ解呪に着手される可能性も低くなる。思うのだが、名簿に名前を記載した時点で呪いが発動されるのでは」
「そうなんですよね。適当な名前でも有効ならば、名簿上のみ欺くという方法もあります」
「存在しない名前では無理な気がする。とはいえ、今年はアンブリッジに呪いがかかっている。結果、今年いっぱいという時間的猶予が与えられた訳だ」
「アンブリッジの尊い犠牲で貴重な時間が稼げましたね」
にやりとビルは人の悪い笑みを浮かべた。さすが兄弟、ウィズリーの双子によく似ていた。
翌日、アンブリッジは魔法省に呼び出されたという名目でホグワーツ城からいなくなった。引き継ぎも何もせず夜逃げのように、である。名簿の呪いにかけられた事実は、アンブリッジが逃げ出すに充分な理由となったらしい。
アンブリッジの逃亡は朝食の大テーブルで発表された。そして、ホグワーツの教師、生徒皆から大歓迎で喝采が挙げられた。教師陣はアンブリッジによる魔法省からの視察という名の授業参観にピリピリしていたのだ。魔法省を笠に着た態度に苛ついていたらしい。ちなみにアンブリッジは吾輩の授業には関わらなかった。プリンス当主に対するアンブリッジなりの忖度だったのだろう。生徒はクィディッチ開催を邪魔されたり厳しい校則乱立にアンブリッジ・ヘイトが溜まっていたようだ。
但し、辞職宣言を出したところで名簿に名前が載っていることに変わりはない。本気で呪いを避けるならば、闇に対する防衛術の教授を引き受けるべきではないのだ。今頃、真相に気付いたとしたら?アンブリッジは心底後悔していることだろう。いくらアンブリッジの権力欲が強かろうとも、自分の命には替えられまい。
とりあえず、ホグワーツに平穏が訪れたと言っても良いだろう。
2022/7/12
ご指摘ありがとうございます。以下の項目を修正・変更しました。
バジリスク騒ぎ→アクロマンチュラ騒ぎに変更
自身→自信に修正
名簿の呪いは指摘されるまでは気付ない効果あり、ということにしています。
セブルスもトムの暴露話で気付いていますし、フランク・ロングボトムやビル・ウィズリーもそうです。認識阻害系統の力は大きかったと思っていただけると。だから、マクゴナガル教授もあえて放置していたのではないですよー、と。
但し、校長はどうかな?考えれば考えるほど、この人が黒幕でもおかしくないのではと思ってしまいます。