セブルスに成り代わって平穏に生きてみる   作:dahlia_y2001

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セブルスに成り代わって平穏に生きてみる6-2

 

 

 

セブルスに成り代わって平穏に生きてみる6-2

 

 

 

空き教室に吾輩はルーナとフィルチを呼んだ。これからルーナの精霊学個人授業だ。座学ではなく実技なので同じ風の精霊使いであるフィルチに実演してもらう為、時間をとってもらったのだ。属性の同じ精霊使いが身近にいることはとても有難い話である。

まず、吾輩はフィルチに礼を言う。

 

「すまない、フィルチ。時間を取らせて」

 

ぴょこんとルーナは頭を下げる。

 

「フィルチさん、よろしくお願いいたします」

 

「フン、プリンス教授の頼みとあればワシが断れる筈もない。それで、プリンス教授。ワシは何をしましょうか?」

 

前半、フィルチはルーナにツンとした物言いをした後、後半、吾輩に伺いを立てた。これでもフィルチにしては当たりが柔らかい。相手がルーナだからというよりは同じ風の精霊使いだからだろう。

 

「座学で講義した通り、精霊は精霊使いを自動で守る。精霊にとって精霊使いはあくまで庇護対象だ。そこで、ここで行うのは精霊使いが自ら力を使う技術を習得する。つまり、ミス・ラブグッドの場合、風を行使して物を動かすということだ。フィルチ、頼む」

 

目の前に置かれた片手で持ち上げられる煉瓦(これは練習でネビルが作ったもの)を吾輩は指示した。

 

「では、いきます」

 

スッとフィルチが右手を煉瓦にかかげた。

ひゅっと風が舞い、煉瓦を中心に竜巻が発生して煉瓦が持ち上がる。ゆっくりと煉瓦は宙に浮き、目線まで持ち上げてから再びゆっくりと下降し、地面に置かれた。

 

「ありがとう、フィルチ。ミス・ラブグッド、やってみたまえ」

「はい」

 

ルーナは煉瓦に手をかざす。小さなつむじ風が発生したが、小さすぎたのかきゅるきゅると煉瓦の周囲を舞うばかりだ。煉瓦を持ち上げるには風が弱すぎるのである。

 

「風の力を徐々に上げられるかね?」

 

ルーナは集中するように眉をひそめる。かざした手にも力が入っている。しかし、別に手に力を入れる必要はないのだけれど。見ている限りでは、風の力が上がっている様子はない。吾輩は片手を上げて、一度、ルーナを止めた。ルーナは今のところ徐々に力を上げていくのは難しいらしい。とはいえ、力をただぶつけることに比較すると、こういう精密制御の方が難易度は高いのだ。出来なくても仕方あるまい。そもそも、いきなり何でもこなされては教師として立つ瀬がないではないか。

 

「そうだな。アプローチを変えてみよう。ミス・ラブグッド、手でその煉瓦を持ち上げてみたまえ」

「はい?」

 

意図は分からなかった様子だが、素直にルーナは煉瓦を両手で持つ。片手で持てる大きさと重さではあるが、ルーナは安全を期したのか両手だ。別にどちらでも構わない。

 

「対象の固さ、重さを認識できたか?」

「はい」

 

意図は伝わったようだ。ルーナは煉瓦を地面に置き、再び手をかざす。ギュルギュルと風が舞う。今度はぐらりと煉瓦が揺れた。

それから、何度もルーナは挑戦を続ける。吾輩はルーナも前に立って見守り、フィルチは吾輩の斜め後ろで椅子に座り、膝に風の精霊である白虎を乗せている。白虎は猫のように丸くフィルチの膝で眠っているようだ。眠っているように見えるが、もともと、精霊に睡眠は必要がないので単なるポーズに過ぎないのだろう。精霊は基本的に気まぐれで遊び好きなのだ。人と契約する等、まさに精霊にとっての道楽だと吾輩は思う。

ルーナは一時間ほど試した挙句、煉瓦を一瞬だけ浮かせることに成功した。初回としてはこんなものだろう。根を詰めても上達するわけでもなし、集中力も切れるので今日はここまでにしておこう。

 

「ミス・ラブグッド、今日の授業はここまでとする。この手の精密制御は訓練によって上達するので直に出来なくても問題はない。但し、制御できない力は己の力とは言えない。このことを覚えておきたまえ」

 

ルーナは神妙に頷いた。

精霊使いは契約精霊により大きな力を得る。それ故にこそ、心も身体も力に振り回されない様己を律する必要があるのだ。

 

 

 

 

空き教室に鍵をかけ、再度、吾輩とルーナはフィルチに礼を言って、彼と別れた。これから場所を吾輩の部屋に移して軽い講義と少々聞きたいことがある。

ルーナへの軽い講義が終わった頃、ちょうど他の講義も終わった頃合いだったのか、ドラコとハーマイオニーが遊びに来た。原作と異なって、スリザリンとグリフィンドールの対立もさほどなく吾輩の部屋でお茶を一緒にしている内に、優等生気質の二人は仲良くなったのだ。

 

「セブルスおじ上、これ、母上からです」

 

ドラコはナルシッサから渡されたお菓子の箱を吾輩に渡した。

 

「わざわざありがとう。ナルシッサにも礼を伝えてくれ」

「はい。とても美味しいお菓子なので、お茶会に是非と」

「では、せっかくなので皆で頂こう。さ、座りなさい。メリーアン、茶を頼む」

「はい、セブルス様」

 

メリーアンは恭しく頭を下げ、茶の用意を始めた。ドラコからのお土産を皆で楽しみつつ、吾輩は尋ねてみる。

 

「諸君らは、スラグ・クラブのメンバーであったな。そのスラグ・クラブはどのような感じかね?」

「スラグホーン先生とのお茶会だよ。あの先生、ユニークだよね」とルーナ。

 

ルーナにユニークと言わしめるスラグホーン。今までホグワーツにいなかった教授のタイプというのは分かる。分かるが、何かこうふわっとした感覚のみな意見だ。間違ってはいないが、そういうことが聞きたい訳じゃない。察したドラコが口を開いた。

 

「寮関係なく優秀な生徒を集めてお茶会するのが好きな方です。スラグホーン先生の人脈の広さは自身の基準で人を見るところでしょう。欠点と言えば俗物なところですね」

「俗物かね」

「悪い人じゃありませんよ」

 

ハーマイオニーが急ぎフォローを入れる。吾輩は肩をすくめた。

 

「別に俗物が悪いとは言っておらん。それに欠点のない人間はおるまい?俗物で優秀な生徒を贔屓するくらい、可愛らしいものだ。同じ教師として優秀な生徒に目をかけたくなる気持ちは分かる」

 

グリフィンドール贔屓の校長に比較すれば、寮の垣根がない分だけスラグホーンの方がずっと公平である。理事会がスラグホーンを推すのも納得だ。

スラグ・クラブメンバーの一同は皆、スラグホーンに好意を持っているようだ。こうなるとメンバー外の意見も聞いてみたいものである。近いうちにハリーやロンに聞いてみよう。(ハリーとロンはスラグ・クラブに入れるほど優秀ではないと思っているので)

一同はお茶会を楽しんだ後に解散となった。

 

 

 

ところで、ハリーはスラグ・クラブに入っていたそうだ。よく考えたら英雄ハリーにスラグホーンが注目しない筈もなかったのだ。

 

 

 

 

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