セブルスに成り代わって平穏に生きてみる   作:dahlia_y2001

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セブルスに成り代わって平穏に生きてみる6-4

 

 

 

 

セブルスに成り代わって平穏に生きてみる6-4

 

 

 

ハリーとそして校長がホグワーツに戻った、という知らせを聞いて吾輩はニンファドーラと共に保健室へ向かった。行き先が校長室でなく保健室ということに驚かされたが、その理由は直ぐに分かった。校長の片腕は黒く変色し、見るからに普通ではなかったし、その顔色は血の気が全く引いていた。体調がおかしいのは素人の吾輩ですら察することが出来る。傍に立っているハリーも青い顔で校長を見守っている。

マダム・ポンフリーがせっせと治療を行っているが、どう見ても校医の手に負える患者ではない。校長は何らかの呪いにかけられているのだろう。吾輩の視線に気付いたマダム・ポンフリーが頷いてみせた。

 

「聖マンゴに連絡をお願いしています。直ぐに入院できるように」

 

パタパタと部屋に入ったスラグホーンが汗をかきかき片手に魔法薬を持参していた。

 

「ポピー、薬だ」

「ありがとう、ホラス」

 

即、校長に魔法薬を飲ませたが、変化は見受けられなかった。同じく駆け付けたマクゴナガル教授が報告した。

 

「ポピー、聖マンゴに連絡終わりました」

 

今一度、吾輩は倒れそうなほどに青ざめているハリーを見やった。

 

「マダム・ポンフリー、ミスターポッターはこちらで預かろうか?」

 

ちらりとマダム・ポンフリーはハリーへ視線をやってから「お願いします、セブルス」と言質を貰う。

 

「ミスターポッター、来たまえ」

「えっと、でも」

 

ハリーは校長を見て戸惑った。ニンファドーラはハリーの肩を抱いて優しく促す。強面の吾輩より、年上お姉さんのニンファドーラの方がこの件には向いているだろう。

 

「ニンファドーラ、ミスターポッターを頼む」

「分かりました」

 

きりっと表情を引き締めるニンファドーラは教師なのか闇祓い見習いなのか吾輩には判別がつかなかった。ショックを受けているハリーには申し訳ないが、校長が何の呪いにかけられたか即急に判別し解呪せねば命に関わるだろう。

故にニンファドーラはハリーから例の課外授業で何があったのかを問いたださねばならない。校長が職員会議でハリーへの課外授業の内容についてずっと伏せていたことから―――碌なことしないのでは?と我々教師陣は思っていたのだ。それを校長でなくハリーの口から話させるのは、いささか心が痛む。

 

 

 

それから1時間も経たぬうちに、校長は聖マンゴへ緊急入院した。関係者はひとまず手遅れになる前に校長を聖マンゴへ搬送出来て一安心したのだった。ホグワーツで急死されたら、後味が悪すぎるというものだ。とはいえ、聖マンゴに入院してはいるが容体はかなり悪く、面会謝絶が続いているとか。

 

 

ハリーの供述は吾輩が思うより重要だったらしく、ニンファドーラは即、魔法省の闇祓いトップに話をつけてホグワーツまで来てもらうことになった。ハリーを魔法省へ行かせないだけ、あちらも生徒に気を使ってくれているようだ。なお、吾輩は事情聴取に付き合わなかったので(事情聴取に付き合える立場でもないし)、何があったのか正確なところは知らない。というか、知ってしまうと面倒ごとに巻き込まれるのが分かり切っていたので、あえて聞かないことにしている。―――それでも、校長がハリーと共にヴォルデモート卿の分霊箱集めに行っていたことは聞いた。今更、何をやっているのだか。分霊箱は全て統合してトム・レストレンジになっているのだ、お生憎さま。

 

 

なお、この話を聞いたトムは腹を抱えて笑っていた。吾輩もその時は一緒になって笑っていたが、後でハリーがあんなにショックを受けた上に無駄足踏んでいたことに気付いて申し訳ない気もしてきた。とはいえ、吾輩の口から分霊箱はもう存在しない、とは言えないというジレンマを抱えてしまうのだった。

 

 

吾輩のジレンマはさておき、ハリーポッター補講計画を職員会議で詰めている。課外授業の内容が通常授業にかすりもしないので、丸々補講する必要があるのだ。本当に何のための課外授業だったのか。

 

「あの子はマグル育ちでマグル世界の適正も高いようだからマグル学の補講は必要ないと思います」とマグル学のバーベッジが言った。

「魔法史はレポート提出だけで良しとします」とビンズ教授。

 

とにかく補講を減らしてハリーへの負担を減らそうという皆の意向なのだ。通常授業もあるので当然だ。呪文学と変身学は削れる箇所はない、魔法薬学は時間が取られてしまうので、ハリーと教授陣は土日を費やすことになった。口には出さないけれど、皆、校長に文句の一つも言いたい気持ちではある。病人相手だから何も言えないけれど。モヤモヤする。吾輩でもそうなのだから、他の教授陣は尚更だろうとも。

 

「プリンス先生、防衛術のレポートです」とハリー。

「ああ、確かに」

 

ハリーのレポートはやっつけ仕事なのだよな・・・。そして、得手不得手がはっきりしている。実技は上手いが細かい作業は苦手としている。スラグ・クラブメンバーの癖にあの魔法薬学の成績はどうなのだろう。

ついつい先人として苦言を言いたくなる。

 

「勉学に集中できるのは学生の時だけだ。社会人になってからあの時勉強しておけばとつくづく後悔するものだ。今のうちに勉学に励んでおきたまえ」

 

ハリーは何を言われているのか分からないという風に小首を傾げた。社会人の時の反省なんて学生には分かる筈もない。先人の忠告なんぞ若人には伝わるもんじゃない、全くもって無駄なことをしたものだ。

 

 

 

 

この時の吾輩はもっとハリーにとって親身に相談できる相手になっていなければならなかった。校長がハリーに与えていた影響力と、聖マンゴに搬送されたあの様子にハリーが思い詰めてしまうことを予想してしかるべきだった。

 

 

 

6学年が終わり、夏休みにはいってから―――ハリーは失踪した。

 

 

 

 

 

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