セブルスに成り代わって平穏に生きてみる   作:dahlia_y2001

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セブルスに成り代わって平穏に生きてみる1-6

 

 

 

セブルスに成り代わって平穏に生きてみる1-6

 

 

 

吾輩は借りていた本を図書館へ返却した帰り、くっついて本を読んでいるハリー達三人組を見かけた。学年末テストが終わったのにまだ勉強をしているのか?ハーマイオニーはともかく残り二人はそんなに勉強家のイメージがない。悪いが勉強嫌いなタイプと思っていたのだが、ぼけーっと彼らを眺めていたら、向こうが吾輩に気付いた。そして、肩を震わせた。何だろう、これ。

悪戯しかけようとして先生に察せられたような、全力でやましいこと考えていますと言わんばかりの態度。さて、どうしようか?原作だと理不尽な罰則を言い渡すところだが、吾輩は原作セブルスのように頭も口も回らん。地頭悪くて、悪かったな。

しかし、ばっちり目が合ってしまったのでスルーも出来ない。

 

「勉強もほどほどにしたまえ」

 

言ってしまった後、教師の言うセリフじゃないなと心底ツッコミを入れたくなった。当然ながら三人組も目を丸くしている。フォローの入れようがない。吾輩は速攻逃げた。

吾輩に原作セブルスをトレースするのは無理だ。

 

 

 

ところで、校長は今、所用でホグワーツ城を不在にしている。何気に校長は肩書が多いのでそれなりに忙しいのかもしれない。よくは知らんが。そして、その隙をついてクィレルが暗躍する―――筈だ。やっぱり、校長不在は罠だったのではなかろうか。しかし、ここで吾輩も暗躍する。生徒に賢者の石を守らせるなど、教師の名折れだ。さて、どうしたものか。

 

提案その1

クィレルに喧嘩を売って物理的に動けなくする。魔法使いVS精霊使い。クィレルはどもっているのと妙にオドオドしているせいで弱そうに見えるが、どうしてどうしてホグワーツの教授しかも闇の魔法に対する防衛術担当である。正直なところ、勝てる自信はあまりない。なにせ、こちとら魔法使えないので盾の呪文系の防衛手段がないのだ。丸腰なのだ。こっちの攻撃はひたすら水でぶん殴るとか氷でぶん殴るとか―――可哀想なくらいに水か氷の物理しか手段がない。止めておこう。ホグワーツと生徒に被害がでないイメージも湧かないし、下手をすればクレーターが出来そうだ。

 

提案その2

マクゴナガル教授そのほか教師陣に告発してクィレルの身柄を拘束する。ホグワーツ教師陣武闘派数人がかりならばVSクィレル(ついでにあの人付)も余裕で倒せるだろう。ホグワーツ教授は優秀な魔法使いなので一対多数とか過剰戦力気味ですらある。しかも、吾輩は戦わないでも良い。

但し、これはクィレル黒幕説を教授陣に納得させることが出来ればである。そして、これが大変難しいのだ。教授陣としては心情的に同僚を疑うのは抵抗が強いだろうし、告発されるのが見た目は気弱そうなクィレルでは尚更だ。加えて、証拠がない。クィレルの立ち回りが上手いのか、吾輩の捜査能力皆無なせいか、これという説得力のある材料がない。原作ハリーもマクゴナガル教授にセブルス犯人説を一蹴されていた・・・・・・この案は無理だな。

 

提案その3

魔法省への告発。これは考えるまでもなく無理だ。教授陣を納得させるより難易度が高い。あの事なかれ主義無能魔法大臣では。あんなのでも魔法大臣が勤まるのは魔法界が平和な証左か。

しかし、トラブルに対応できる人物ではない。下手すれば、こっちが詐欺師呼ばわりされかねない。お断りだ。

 

提案その4

つまり賢者の石を奪われなければ良いのだ。トラップの入り口を氷で封鎖する。これが現実的か。精霊使いの使う魔法と魔法使いの魔法は全く異なる。故に、精霊使いが作った氷は魔法使いの魔法でどうにかすることは難しいのだ。

 

 

そういう訳で吾輩は例の部屋の扉へスッと両手をかざし―――一瞬で扉を氷で封鎖し固めた。以前にトロール相手へ使った氷壁とは本質的に異なる、より凍度の高い氷を形成させた。周囲の空気が震わされ這う様に氷が扉を中心として廊下、壁をも凍らせていく。この階の廊下が氷で覆われた。

吾輩が小さく吐息を零せば、吐息は真っ白に変わった。

 

「風邪ひきそうだな」

 

 

 

翌朝、大食堂で吾輩はイギリス的な朝食に手を付けている。スクランブルエッグ、マーマレードを付けたトーストとおいしい紅茶。食べ盛りの子供たちはベーコンやソーセージ、マッシュドポテトを詰め込んでおり、その食欲に自分もそんな時期があったかね?と呆れてみた。スッと隣にマクゴナガル教授が座った。機嫌は悪そうだ。無理もない。

 

「おはようございます。セブルス」

 

口中のトーストを飲み込んでから、一拍遅れて吾輩は返す。

 

「おはようございます。マクゴナガル教授」

 

マクゴナガル教授は吾輩をファーストネーム呼びする。というか、教授陣は同僚意識からファーストネーム呼びが慣習らしい。吾輩はそこまで仲間意識はないのでファミリーネーム呼びを貫いている。頑なな、と思われているだろうが直すつもりも譲歩するつもりもない。特に、校長とか、校長とか、校長とか。

校長は光派代表で、精霊使いの吾輩のことを目の上のたん瘤のように思っているのでは?と思う。校長は頭が良いので、精霊派が大多数な現状はっきりと吾輩が気に入らないとは言わないが、その辺りの立ち回りは上手い。

ちなみにマクゴナガル教授の機嫌が悪いのは昨夜の騒動のせいだ。主人公ハリー一行がやっぱり賢者の石防衛に動き、扉の氷漬けに立ち往生。加えて、そこを校務のフィルチに見つかってマクゴナガル教授に深夜徘徊で連行されたらしい。当然ながら、寮監から雷を落とされ大量減点されたのだ。マクゴナガル教授は公正なので自寮生徒でも容赦なく減点するだろう。まして、フィルチ立ち合いの下では生半可な処分は許されまい。

なお、校長も深夜慌てて帰ってきたとか。賢者の石は守れたのだ、扉を凍らせたことは不問にして貰いたい。あの氷漬け扉を見れば、あれが誰の仕業かは明白である。

吾輩はぐるりとハイテーブルを見回す。

クィレルを捜したがいない。失踪したのだろうか。今のところ、そこまでの噂は流れていないのではっきりは分からないが。朝食の後に急ぎ、職員会議が開かれた。ハリー達のやらかしで緊急職員会議が開かれるとは思えない―――とおもったらクィレル失踪の件だった。校長はポーカーフェイス。教授陣は驚きと動揺を隠せていないといったところか。無論、吾輩も一応は驚いておいた。クィレル(プラスあの人憑依)は賢者の石をひとまず諦めたのかもしれない。

ここで気になったのは、クィレルがテストの採点を終わらせていたか否かである。皆があーでもないこーでもないと意見を述べている中、生徒のテスト採点のことを心配しているのは吾輩位だろうな、と思う。他の教授方のように純粋に心配するには、クィレルの中身というかあの人憑依とか、賢者の石目当てとか知ってしまっているのがな~。

 

結局、ホグワーツサイトの事件としてクィレル教授失踪事件が加わった。

ところで、クィレルが生徒の採点を終わらせていたこと、この点においてクィレルの評価を大幅に上げておいた。なぜなら、絶対に手の空いている吾輩に押し付けられる気がしていたからだ。

賢者の石は守れたし、ハリーポッターは賢者の石防衛できずに減点されたがクィレルと対決せずに済んだし、精霊使いのネビルに指導はできたし、無難に教授職も務め切ったし、ホグワーツ教授一年目としては上出来ではなかっただろうか。

 

 

 

 

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