セブルスに成り代わって平穏に生きてみる   作:dahlia_y2001

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セブルスに成り代わって平穏に生きてみる2-1

 

 

 

セブルスに成り代わって平穏に生きてみる2-1

 

 

 

前年度・賢者の石騒動は終わり、吾輩二年目の教授生活である。今年は秘密の部屋事件だ。そして、学期始まり前の職員会議に派手派手しい新任教授ギルデロイ・ロックハートが延々と自己紹介している。今更だが、マントは黒以外も可能なのか。校長はニコニコと他の教職員は呆気に取られ、吾輩は事前情報がもとい前世知識があるので一種の見世物感覚で眺めていた。逆にここまで自己顕示欲が強い人間、そうそう見たことがない。何でこいつは俳優にならなかったのだろう、多分、そっちの方が才能あると思うのだが。ロックハートの自己紹介の後、順に右から自己紹介をするが、ロックハートを反面教師にしたのか、担当教科と名前のみというシンプルさ。だらだら長い自己アピールの反感だろうが強心臓のロックハートには多分、伝わっていない。

 

その時「大変です!!」と校務のフィルチが飛び込んできた。ロックハートに大概、うんざりしていた一同がフィルチを見つめる。

ロックハートが「どうしました、一体?」となぜか場を仕切ろうとする。

今年一年近く、この鬱陶しいロックハートに振り回されそうだ、と吾輩はつくづく嫌な予感がしていた。この予感は幸か不幸か外れることになる。

 

「生徒が空飛ぶ車でこちらに向かっています。しかも、大量のマグルに見られて!!」

 

フィルチの報告は悲鳴じみていた。そして、教職員たちも驚きで声を上げた。もちろん、ロックハートは飾りまくった言葉で感想を述べている。とうとうと立て板に水の如く。そう言えばそういうこともあった、と吾輩は思い出した。確か暴れ柳に突っ込んだが怪我はなかった筈だ。秘密の部屋とは直結しない案件なので放っておいても良いだろう。

原作では、セブルスに叱られたハリーとロンだが、今回は寮監マクゴナガル教授に絞られたらしい。今にして思うと、なんでスリザリン寮監に叱られたのだろう。よく分からん。そもそも、今の吾輩はスリザリン寮監でもないし。

 

 

翌朝のトップニュースは空飛ぶ車の件が一面に載った新聞とロン・ウィーズリーに届いた吠えメールだ。日刊預言者新聞を読んでいない生徒もこの吠えメールで事情のほとんどを知ったであろう。母モリーからの吠えメールは懇切丁寧に事情を説明してくれたのだから。とはいえ、モリーには同情する。息子があんな事件を引き起こしたら、吠えメールのひとつも送りたくなるだろう。同罪のハリーが何もないのは単に身内不在故なだけだ。もともと、空飛ぶ車はアーサー・ウィーズリー所有のものであり、ハリーが巻き込まれただけなのは想像がつくのだが。

吾輩は吠えメール自体が初なので面白がって見ていた。そして、注目を浴びたロンになぜかロックハートが張り合っている。あんな悪目立ちでも羨ましいのだろうか?ロックハートの目立ちたがりは病気の域に達しているような気がする。

 

 

吾輩は授業がないので部屋でのんびり本を読んでいたら、ネビル・ロングボトムが突撃してきた。突撃してきた様に思える位に慌てて駆け込んできたのだ。

 

「セブルスおじさん、助けて!!」

「教授と呼びたまえ」

 

ネビルとはちょいちょい同じやり取りをしている為、反射的に吾輩は返した。そして、何があった?と促したが、碌な説明もなくロックハートが授業でやらかした、とか。ロックハートの授業?あまり吾輩の記憶にないのだが。確か碌な授業ではなかったような?思わず、ため息が零れる。闇の防衛術の授業フォローが必要だ。筆記のみならずマクゴナガル教授に実技補修がいると言う必要がある。イモリ・テストやオウル・テストを受ける生徒が気の毒すぎるからな。

吾輩がネビルにつられて教室に駆け込んだ時には、即にミス・グレンジャーがピクシー共を魔法で停止させていた。見事である。

 

「ミス・グレンジャーの魔法に対してグリフィンドール10点。さて、諸君、何があったか説明して頂けるかね?」

 

教室はぐちゃぐちゃ、ロックハートは不在、生徒は逃げまどっている―――ロックハートが何かやらかしたのだろうが、分かるのはそれだけだ。生徒たちは騒動の反動なのか口々に説明し始めた。しかし、その半分が単なるロックハートの悪口に成り下がっているのは、ロックハートの人望のなさを示しているようだ。もっとも、悪口の大半は男子生徒なので女子生徒には未だ慕われて?いるようだ。この様でも評価が下落しないのだから女性心理はよく分からん。吾輩がロックハートに良い感情を抱かぬのは男のやっかみだろうか?

ロックハートは逃げているので、残りの時間は自習するように指示しておいて、吾輩はマクゴナガル教授へ報告に行った。校長?言っても動くとも思えないし、そもそも役立たずのロックハートを雇用した張本人である。加えて理事会に報告書を提出しようと思う。あの調子では遅かれ早かれ生徒から親へ報告が行き、アンチ・ダンブルドア派が勢いづくことだろう。教授側が動いていないと、こっちまで非難される。しかも、今年度入学者の親は―――あの人達だからな。

 

 

 

 

今年も去年に引き続いて一人、精霊使いが入学している。個人面談の為に吾輩の部屋に呼んだ新入生トム・レストレンジはにこにこ笑って紅茶を飲んでいる。そう、彼こそは、例のあの人の日記―――から復活したトムなのである。ベースは例の日記でハッフルパフのカップ他、ハリー以外の分霊箱を回収し、欠けた分は精霊と同化することで補って精霊使いとなったトム・レストレンジなのだ。義両親はもちろん、あの狂信者のベラ・ロドルファス夫婦である。今年入学した一番のモンスターペアレンツになる可能性大夫婦だ。アンチ・ダンブルドア筆頭である。今年、ダンブルドアが問題起こしたら、嬉々としてトムにかこつけて攻撃しまくるだろう。そして、トムに何かしたら激怒して攻撃しまくるだろう。はてさて、ダンブルドアは危機感を持っているのか?部外者の吾輩ですら心配しているのに、今年も今年で役立たずのロックハートを雇うとは―――ロックハートをスケープゴートにするつもりだろうか?任命責任取らされると思うが。

 

「そうそう、プリンス教授。秘密の部屋を開けようと思うんです」

「・・・・・・何のためにかね?」

「バジリスクを定期的に動かしてホグワーツ城に魔力を満たす為ですが・・・・・・もしかして、ご存じなかったのですか?バジリスクはホグワーツ城の魔術システムの一部です」

「そうなのか!?」

「定期的にパーセルタングがホグワーツに入学するので、バジリスク本人が都度、説明していたようです。今の魔法界はパーセルタング自体が減っているみたいですからね」

 

吾輩が知る限り、パーセルタングはトムとハリーだけだ。調べれば他にも居るかもしれん。あの人がパーセルタングの為、公表しない人間が多いのだろう。案外、名門の家には居るのではないだろうか。吾輩の精霊使いとしての伝手を使えば調べられそうだ。名門の家のスクイブに精霊契約を仲介したのでそこそこ恩を売れているのだ。

 

「パーセルタングは吾輩の方で調査しよう。バジリスクを起こすのは少々不安がある」

「バジリスクは温厚ですよ」

「温厚かね」

 

バジリスクが温厚とは思えないし、それに嘆きのマートル、彼女の死因はバジリスクの眼光じゃなかったか。そう、バジリスクの眼光が問題だ。殺せなくはないが、殺さずにすませるのは難しそうである。しかも、ホグワーツ城の魔術システムの一部では殺処分は不可であるし、そもそも吾輩はパーセルタングではない。

 

「僕はバジリスクに会いたいんです。大分、久しぶりですし、きっと寂しがっていると思います」

 

バジリスクが寂しがっているかはさておき、トムが勝手に秘密の部屋経由でバジリスクに会いに行くのは不安だ。トムが普通の生徒だ、とは言い難いが今はホグワーツ生であり、吾輩の生徒。

仕方ないので吾輩同伴ならば、としぶしぶ許可した。但し、トムが学校に慣れた一か月後とした。その期間にバジリスクについて調べることにする。

 

 

 

 

 

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