木で頑丈に作られたコテージはあっという間に燃え、その燃え盛るコテージの中、俺は思わずこう叫んでしまっていた。
「なんで俺がこんなことにーーーーーー!!!」
3時間前 自宅
〜ピピピ ピピピ ピピピ〜
目覚ましの音が部屋中に響き渡り、俺は枕に顔をつけたまま、腕を伸ばして、目覚ましを止めた。目覚ましの音が止まった後、部屋は静まり返り数分後に俺はようやくベッドから出て起き上がった。俺は、眠い目を擦りながらも窓のカーテンを開け深呼吸すると笑顔で朝の第一声を言った。
「今日から俺の夏休みだ!」
と晴れ晴れとした声で言うと、部屋のドアを開けて、階段を降りた。階段を降りて、リビングに行くと母さんが台所で朝ご飯を作っていた。俺は「おはよう母さん」と言うと母さんも朝ご飯を作りながら俺の方を向き「おはよう純人!」と返した。
俺はリビングの席に座り、テーブルの上にあるリモコンを手に取って、テレビを付けた。テレビを点けると美人のアナウンサーが朝のニュースを読み始める所だった。
「おはようございます。午前7時朝のニュースのお伝えします。まず一つ目のニュースです。非能力者差別社会反対運動代表者の高森一郎さんが自宅マンションで死亡しているのが見つかりました。午前1時ごろ東京港区の高森一郎さんの自宅マンションで高森さんが首を吊っているのを家族が見つけ通報しました。高森さんは病院に運ばれ死亡が確認されました。自殺を図ったと見られています。高森さんは非能力差別社会反対運動の代表者であり選挙にも出馬し当選が確実とまでされていました。45歳でした。警察によりますと自殺の詳しい理由はまだ明らかとされておらず今後は自殺の詳しい原因について慎重に調べていく方針です。と話しています。えぇこの件に関しまして今日はスタジオにコメンテイターの白内(シラナイ)さんをお呼びしております。白内さん今日はよろしくお願いします」
と、美人アナウンサーが視線を誘導した先に白内が座っていた。
白内は、「よろしくお願いします」と挨拶を返し、美人アナウンサーの方に白内の目が泳いでいるのがテレビ越しでもはっきり分からくらいだった。
「白内さんはこの高森氏の自殺についてどうお考えですか?」
と美人アナウンサーが質問すると白内は指を組み、組んだ指に自分の顎を乗せながら、美人アナウンサーの問いに答え出した。
「そうですね〜、私は政府の陰謀だとどうしても疑ってしまう所が多々見受けられますね。選挙当選確実とまでされてた人物が自殺などすると私は到底思えません。まあ本当の所は"知・ら・な・い"ですがね」
そう白内は決まったと言わんばかりににやけづらをし、美人アナウンサーにコメントを返した。
美人アナウンサーは微妙な顔で「アハハ」と笑いながらも気を取り直し、ニュースを続けた。
「次のニュースです。またしても非能力に対する消費税が20パーセント上がるとされており人々に不満の声が高まっています」
そこからVTRが変わり、東京に住む人々に消費税についてのインタビューコーナーへと切り替わった。
「ほんと悲しい限りです」「能力があっても無くても同じ人間として平等に扱ってほしいと願うばかりです」
そんな悲しみや不満の声を上げる中、一方、能力者の人達は…
「まあ俺達には関係ないですしどんどん上がっても別に気にしてないって感じっすね」「可愛そうだとは思うけど私達がどうこう出来る問題でもないからね…」
「ここで一旦CM入ります」
と美人アナウンサーが言うと毎回これと言わんばかりの何度見たかも忘れた例のCMが流れる。
「わ〜いあま〜い果実!パクッ一口食べれば〜〜〜キュン!君も今日から能力者!神の子の仲間入り!今ならお安く100万のところをなんと49万9999円でご提供!ネット注文だと送料無料!今すぐお電話を!フルーツコーポレーションは皆様の生活をより良いものに致します」
俺は、そのCMを見終えると「ハァ」とため息をつき、テレビを消して、母さんが作った朝ご飯を「いただきます」と言い食べ始めた。
「本当ロクじゃないもんしかやってないわね」
と母さんもため息をつきながらそう話し、俺は、母さんの問いに頷きながら首を上下に振った。
母さんとそんな話をしながら俺は、朝ご飯を食べ終わり、二階に上がって、バッグに自分の服やゲーム機などをギュウギュウになるくらい詰めた。
「純人ー!出かける準備は出来たー?」
一階から母さんの声が聞こえてきたので俺は「準備出来たー!」と大きな声で母さんに伝えた。
俺は、一階に降り、仏壇に手を合わせた。
父さん、今日から俺、夏休みに入りました。夏休み初日、今から母さんとアドベンジャーロッジと言うコテージに泊まってきます。
と心の中で思いながら俺は、仏壇のある部屋を後にし、家のドアを開け外に出た。外は蒸し暑く、セミもミンミンと鳴いていた。俺は、腕を広げ「暑いね〜」と言い夏の空気に浸っていると車に乗った母さんがいきなりクラクションを俺に向けて鳴らしてきた。すると母さんは、車の窓を開けて「早く乗らないと置いていくわよ」と急かすように俺に言ってきた。俺は、駆け足で母さんの車に乗り込んだ。俺が車に乗ると母さんは「それじゃ行くわよ〜!」と言いアクセルを全開に踏んで目的地に向けて出発した。俺が母さんの毎度の荒い運転に目を回している頃、青森空港にてスキンヘッドの男が日本に到着。スキンヘッドの男は、到着するも「蒸し暑い」と一言だけ言うと、すぐさま近くのタクシーに乗り込んだ。
「お客さまどちらまで?」と貫禄のあるおじいちゃん運転手が聞くと「アドベンジャーロッジまで」とスキンヘッドの男は渋い声で目的地を告げた。おじいちゃん運転手は「はいよ」と優しく答えてタクシーを走らせた。
そしてまたその頃、青森県のどこかのバス停にて、バスに乗り込む一人の女性。その女性は、バスの一番後ろの席に座ると耳にヘッドホンをつけスマホで何かの音楽を聴き始める。その女性の髪の毛は透き通ったかのような白いロングヘア、服は白のワンピースを着ていて、麦わら帽子を被り、眼鏡をかけていた。その女性は、しばらく窓の外を見ていたが、視線を両手に向け、顔を近づけて「ハァ」と両手に向かって息を吐いた。彼女は夏にも関わらず「肌寒い」とボソッと独り言を言うと、また窓の外を見始めた。そして彼女もまた皆と同じ目的地を目指しているそういう眼差しであった。そして何時間か経った頃、バスの車内にアナウンスが鳴り響く。次はアドベンジャーロッジ〜アドベンジャーロッジ〜と…