オレナツ   作:無名3

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第四話 鍵と紙

それから俺と母さんは、車で1時間かけてようやく青森県の森の中にひっそりとたたずむコテージ、アドベンジャーロッジに着いたのだった。

「やっと着いた…」

と車を降りた俺は目が回り、急に来る吐き気を我慢していた。すると母さんが近づいて来て、俺の背中を急に叩きだした。

「十何年、私の車に乗ってるのよ。まったくこれだから今の若いもんときたら情けないわね」

と呆れた声で母さんは言った。

俺は急に背中を叩かれた衝撃でテレビのバラエティ番組でよくありそうなキラキラを出しかけた。なんとか一歩手前で持ち堪え、なんで母さんの荒い運転で俺が説教されてんの〜?

と心の中で思いながらも、母さんに言ったら言ったでまた面倒な事になると思い、俺はその事を心にしまい込み、お口チャックの動作をした。すると、前を向いていた母さんがいきなり何かを感じ取ったかのように振り返り、その動作をしている瞬間を見られた。

「何お口チャックなんてして?」と急に聞かれたため、俺は「べ 別に〜」

と言った後、口笛を吹き、誤魔化しながらコテージに向かって歩いた。

コテージに入ると、すぐ目の前に受付の人が立っていた。受付人は「ようこそ!アドベンジャーロッジへ!」

と俺達家族を元気な声で出迎えてくれた。母さんは「予約していた夏夜です」

と言うと、受付人はパソコンで予約者リストを調べ始めた。

「ご予約された夏夜様ですね。お待ちしておりました。夏夜様は209番と書かれたお部屋になります」

と答えた後、受付人は、部屋の鍵と何かが書かれた一枚の紙を渡してきた。母さんは受付人にお礼を言うと、鍵と紙を受け取り、紙に書かれた内容を確認する。母さんは「なんだか面白そうじゃない」

と言って、俺に渡してきた。俺がなんだなんだと、思いながらもその紙を受け取り、紙に書いてある内容を読み始めた。

「えぇと何何〜、みんなで謎解き夏の思い出を家族や友達と作ろうサマーキャンペーン?」

と俺が疑問系で話すと、受付人は俺にその内容を詳しく説明し始めた。

「そちらはですね、夏休みの特別期間中にだけ行なっている行事でこの大自然の中アドベンジャーロッジで謎を解く。そしてみんなで最高の思い出を作ろうと言うイベントになっております。謎を一つ解くとコテージにいるスタッフがその紙の7つの空欄に一つスタンプを押していきます。そしてそのスタンプが7つ揃ったらなんと豪華景品がもらえま〜す!景品は最後のお楽しみに!」

と笑顔で言うと、俺は「説明してくれてありがとうございました」

とお礼を言い、受付の近くにあるエレベーターのボタンを押した。数秒経つとエレベーターのドアが開き、俺と母さんはエレベーターに乗り込んだ。そして、閉めるのボタンを押してドアが閉まる瞬間、受付人が俺に向けて親指を立て、大きな声でこう言ったのだ。

「良い夏を!」と…

エレベーターのドアが閉まり、俺は一人心の中で「元気な受付人だこと」

と思いながら微かな笑みを浮かべた。しばらくするとドアが開き、エレベーターを降りた。エレベーターのすぐ近くには自販機が置いてあり、距離感が掴みにくい一本道の廊下が真っ直ぐ続いていた。何十歩か歩き、俺と母さんが泊まる209番と書かれた部屋の前に着いた。母さんはポケットから鍵を取り出し、差し込み口に鍵を挿して回し、扉を開けた。扉が開き、靴を脱いで中に入ると凄く居心地が良さそうな和室の部屋が用意されていた。壁には掛け軸が飾ってあり、その下に高級そうな壺、その近くにはホテルや旅館に必ずある小さい冷蔵庫、そしてテーブルにはお菓子や給水ポットなどが置かれていた。

俺は「ほんと泊まりに来たって感じー!」

と久しぶりの泊まりに、はしゃいでいると、ふと外の景色が目に入った。俺は部屋の窓を開け、目の前に広がっている広大な景色を見ながら部屋の畳の匂いと大自然の木の匂い、両方が醸し出す晴れ晴れとした空気を堪能した。暑い日差しが照らす中、微かに吹いている風が俺の前髪を揺らした。俺は「ほんと泊まりに来たって感じ」

と今度は、さっきのテンションとは逆にクールな感じで空を見ながら呟いた。すると母さんは「純人ーカッコつけてるとこ悪いんだけど自販機で飲み物買ってきてくれない?」

と唐突に言ってきたので俺は「別にカッコなんてつけてないよ!」

と母さんに突っ込むも「あら、そうなの!じゃあ飲み物買ってきてね」

とテーブルに置いてあったお菓子をボリボリ食べながら満面の笑みで小銭を渡してきた。

「純人もそのお金でなんか好きな飲み物買っていいわよ」

と言われた。ここに着くまでに母さんはコンビニや自販機に寄り、何本も飲み物を買っては飲み干していたため、どんだけ喉乾いてんだよ!

と思いながらも俺は言い返すのを諦め「ハイハイ買ってきますよ」

とだけ言うと靴を履き、扉を開けた。扉が閉まる瞬間に母さんは「美味しそうなコーラでお願〜い」

とだけ言うと扉が閉まった。俺は長い廊下を歩きながら「コーラなんてどれも一緒だし美味しいだろ」

と心の中で突っ込みながらも自販機の前に着き、お金を入れて適当に一番右のコーラのボタンを押した。コーラが出てくると、俺もコーラでも買うかと思い、余ったお金を入れたが自販機のランプが一個も光らず、あれ?と思い自販機の故障を疑ったが、入れたお金のメーターをよく見てみると110円と出ており全ての飲み物は120円に設定されていたため、お金が後10円足りなかったのだ。

俺は230円なんか微妙な金額渡してきやがってー!

とまた心の中で母さんに突っ込んでしまいながらも確認しなかった俺も悪かったと自分に言い聞かせ、母さんのコーラだけを自販機の下から取り出し、コーラを持って自販機を後にした。

俺はまた歩きながらスタンプを7つ集めたら貰えるご褒美って一体なんなんだろう

と思いながら右の人差し指の第二関節を折り曲げ下唇につけると、どこかの漫画の探偵かのように推理してるようで全くしていないフリをした。そんな事を考えているうちにもう部屋の前まで着き、俺はドアノブを掴み部屋の中に入ろうとしたがドアに鍵がかかっていて開けなかった。俺はまた母さんがいつものイタズラをしてきたな

と思い「せっかく飲み物買ってきてあげたのにこの有様かよ!」

と言うと思いっきり扉を何回、何十回とノックした。そして何十回目かにようやく鍵を開ける音がし扉が開いた。俺は母さんにビシッと言ってやると心に決め、扉が開いた瞬間「あのさぁ!なんで鍵…」

とまで言うと出てきたのガタイのでかい長身の知らない男だった。俺はしばらくコーラを持ったまま固まり、何がどうなっているんだ?

と頭の中で考え、当たりを見渡すと数メートル先に209と書かれた部屋が目に入った。まさかと思い、扉の番号を確認するとそこには206と書かれていた。

しまったーーー!!!ご褒美が何かを真剣に考えていたら206と209の部屋の番号を間違えてしまったー!あぁ恥ずかしいー!

と思っていると、ガタイのでかい男が俺を睨みつけてきたので俺は咄嗟に「すいません!部屋をまち…」

とまで言うと男は「Password,please.」と俺に聞いてきた。俺は一体何が起こったと思いつつも「パ パスワード?」と小さい声で聞き返すと、男はもう一度「Password,please.」と聞いてくる。

俺はどうしようかと混乱するも、ふとある事を思いついた。まさかこれってさっき受付人が言っていた謎解きイベントの演出の一部なのではないのかと…

そう思った瞬間、俺の頭の中で切れていた二つの糸が結びついた感じがした。

そうかこの人もきっとイベントのスタッフだったんだ!良かったー!びっくりさせるのが上手いなーチクショー!

と心の中で思いつつ、スタッフを俺のせいで長々と廊下に止まらさせるわけには行かないと思い、必死に頭をフル回転させて考えた。

パスワード?パスワード?何かここまでに必ずヒントがあったはず

と考え、ついに俺はある事に気がつく。

そういえば、あの受付人最後に俺にこう言っていた。良い夏をー!と…

ガタイのでかいスタッフはパスワードをお願いと英語で俺に聞いてきた。なるほど…フッフッフ〜分かりましたよ。犯人が!ではなくこの謎解きの答えが!受付人の最後のあの言葉、そしてガタイのでかいスタッフの唐突の英語での質問、つまりこの謎が導き出す答えは!

と心の中で言うと、俺はガタイのでかいスタッフに向けて親指を立て、カッコよくこう言い放った。

「Have a nice Summer.」と…

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