完全聖遺物を扱う転生者   作:CODEZERO

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六話 目覚め、そして家族と過去

キャロルに負けました。どうも東雲海斗です。

現在チフォージュ・シャトーの牢屋からキャロルのいる部屋に連行中です。

あ、着きました。

 

「……起きたか。おはよう…とでも言えばいいか?東雲海斗」

 

「気遣いは無用だよ。キャロル・マールス・ディーンハイム」

 

「キャロルだけでいい。」

 

「そうか。じゃあ俺も海斗でいいぞ。」

 

「………………」

 

………え?ここで会話途切れんの?

もっと他に喋ることあるだろ……なんで連れ去ろうと思ったのかとか。

……ええい、もどかしい!こっちから切り込んでやらぁ!!

 

「そういえばキャロルはどうして俺を連れ去ろうと思ったんだ?」

 

「今、言う気はない「チフォージュ・シャトーと連結させて世界を分解し、万象黙示録を完成させるためか?」ッ!?」

 

キャロルの表情が驚愕に染まり、俺のことを睨みつけてきた。

 

「お前はどこまで知っている…!?」

 

「全て。何もかも知っている。キャロルの望みが叶わないことも含めてね。」

 

「オレの望みが叶わないだと…フン、戯言を。未来を知っているとでも言うつもりか?」

 

「あぁその通り。俺は未来を知っている。」

 

キャロルは俺のことをさっきよりも怒りの増した眼で睨んできた。

……そして俺の本当の目的はここからだ。

 

「だからキャロル。君に協力させてくれ。」

 

「何?」

 

「君の望み…世界の分解、つまり万象黙示録完成の手伝いをさせてくれ。」

 

キャロルは先ほどの怒りの感情から一転、驚愕したような眼で俺のことを見つめてきた。

 

「お前は自分が言っていることがわかっているのか!?」

 

「あぁ、わかってる。だが俺は世界を敵にまわしてでもキャロルの味方でいると、そう決めた。」

 

「…何故だ?何故お前はそこまでオレに入れ込む!?オレはお前を攫おうとしたんだぞ!?」

 

何故か……か。そんなもん、最初から決まってるし前にも言った。

敗者は勝者に従うのみ……だけど、キャロルに対してはそれだけじゃない。

 

「なぁ、キャロル。お前が最初に俺を攫おうとしたのっていつだっけ?」

 

「……四年前だ」

 

「その時さ、キャロルはなんか躊躇ってなかった?」

 

「別に躊躇ったつもりなどないが?」

 

「じゃあ無意識なのかもな。だが決定的なものがあるぞ?

………何故、四年前は攻撃してこなかった?」

 

「ッ!?」

 

そうなのだ。キャロルは最初に俺の所に来た時、攻撃してこなかった。

……それを信用できるって判断してる俺ももうおかしいんだろうな。

 

「そんなこと…ただ想い出の無駄だと考えただけだ……」

 

「……まぁたとえそうだとしても俺の中でキャロルは信用できるってのは変わらないよ。

…キャロル。二課の連中が俺をどうやって連れて行こうとしたのか知ってるか?」

 

「……そんなことは知らん」

 

「最初は家に来た。それで俺の親に向かってお子さんを渡して欲しいとかほざきやがったのさ。

まぁ当然俺の親は拒否した。そしたら次は学校の帰り道で待ち伏せして誘拐しようとしてきた。

シル…世界樹の領域使って俺は逃げた。それで最後には夜中に家の中侵入して寝てる間に誘拐しようとしてきたのさ。………それで俺は家を出た。父さんと母さんに迷惑がかかると思ったからな。……これを聞いてどう思う?キャロル」

 

「屑だな」

 

「だろ?…なぁキャロル。本当のことを教えてくれないか?

……キャロルは俺のことをどうしたかったんだ?」

 

キャロルは俯いて黙っていた。

そして数十秒経って話し始めた……

 

「…オレは、最初はお前のことを利用するつもりでお前と接触した。

だが、なぜかお前を見て情が湧いた…いや、正確には危ういと思ったんだ。

1人にさせてはいけない…誰かがそばにいてやらないといけないと…なぜかそう思った。

そして二年前、その感情がさらに強まった。

だから力づくでもここに連れてきたんだ。ここなら……オレやオートスコアラーがいつでもいるからな…」

 

「……そうか。…なら俺を1人にしないでくれよ?俺もキャロルを1人にしないからな。

キャロルの言う危うさが本当なら何するかわかんねーぞ?」

 

「……なら長生きしないとな」

 

「まだ100年くらい生きそうな奴がなんか言ってらw」

 

俺は笑いながら言った。そしてキャロルも笑ってくれた。

…てか俺ってそんな危うい空気感醸し出してんの…?なんか変な感じ……。

……ん〜?そういえばな〜んか大事なこと忘れてるような……

 

「……なぁキャロル。」 「なんだ?海斗」

 

「今日何日?」 「15日だな」

 

「キャロル……テレポートジェムプリーズ…」

 

「……いきなりどうした?」

 

「……今日…家に帰らなきゃいけない日……掃除とかせねばいかん……」

 

「ふむ…ならばオレもついていっていいか?」

 

「おう…できれば手伝ってくれ。一軒家を1人で掃除は結構キツイ。」

 

「海斗の親は掃除しないのか?」

 

「……母さんと父さんは今、掃除できない…」

 

「……?まぁいいだろう。行くぞ。(…海斗の家は母親がこまめに掃除してなかったか…?……まさか…いや、用事でも入っているのだろう。あまり気にしてはダメだな……)」

 

そして俺とキャロルは俺の家の前にテレポートした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…時間聞き忘れてたけどまだ明け方だったのか……

 

「海斗、早く掃除を終わらせるぞ。」

 

「あぁ、ごめんごめん。鍵開けるから待ってて。」

 

そして俺は家の鍵を開け、玄関のドアを開き中に入った。

その家はもう誰もいないがらんどうの家。一ヵ月に一度海斗が帰ってくる以外には誰も来ないのだ。

 

「海斗、お前の両親はどうした?」

 

「う〜ん……まぁ先に挨拶するか。キャロル、こっち。」

 

「引っ張るな……!」

 

じゃあ抵抗すればいいのにw

そんなことを考えながら俺は廊下の先へ進み、ある一部屋の前で立ち止まった。

そして襖を開け、その部屋に入る。

 

陽光がよく入るように設計された和室の奥にあったのは2人の男女の遺影が置かれた仏壇だった。

そしてキャロルは全てを察し、海斗に振り返った。

海斗は何も語らず仏壇の前に正座し、仏壇に置かれているりんを鳴らし手を合わせて目を瞑った。

チーーーーー……ンという音が響き、なり終わってもなお海斗は顔を上げなかった。

そして数分が経ち、海斗は顔を上げた。

沈黙の中、先にそれを破ったのはキャロルだった。

 

「……親に伝えるべき事は伝えられたか?」

 

「あぁ…伝えることを伝えて…その後は毎回言ってる不満だったことをぶつけてやった。」

 

母さんは優しくて、綺麗で、聖母みたいな人だった。

いけない事をしたら怒ってくれて、悲しいことがあったら寄り添ってくれて、

そして俺のことを世界で一番大事だといつも言ってくれていた。大好きだ。

 

父さんは優しくて、努力家で、家族を大切に思っている人だった。

母さんと俺が生活に困ることがないように、毎日汗水流して働いてくれていた。

休みの日は、どれだけ疲れててもそれを俺に見せずに、遊んでくれた。大好きだ。

 

そんな両親に不満が一つだけある。欲を出して欲しかった。

母さんと父さんの誕生日や結婚記念日に贈り物をしたくて、

何が欲しいかを聞いても、俺がそう言ってくれただけで十分だと、

親を気遣える優しい子に育ってくれただけで嬉しいと、そういうだけだった。

 

……もらってばかりだった。何もあげることができなかった。

前世で手に入らなかった物を、余るほど、両手からこぼれ落ちそうなほどくれた。

もっと一緒にいたかった。もっと一緒に笑いあいたかった。

もっと一緒に色んな事がしたかった。……もう一度だけ声が聞きたかった。

 

「そうか……なぁ、一つ聞いてもいいか?」

 

「ん?なに?」

 

「…いつ、亡くなったんだ…?」

 

「………二年前。事故だった。」

 

「そうか…すまない…」

 

「なんでキャロルが謝るのさ……」

 

2人の間に気まずい空気が流れる中、先に口を開いたのは海斗だった。

 

「掃除…するか」

 

「…そうだな」

 

4時間後………

 

「きれいにできたぞ〜……やっぱり疲れた」

 

「……なかなか掃除する場所が多かったな」

 

2人はリビングの床に大の字になって寝転がりくつろいでいた。

 

「なぁ…海斗。また来月…オレも来ていいか?」

 

「いいよ。ただ親に挨拶して掃除するだけだけどな。」

 

「……ありがとう」

 

「……素直に言われると調子狂うなぁ……」

 

「…フフフ」 「…ククク」

 

「「ハハハハハハハハッ!!」」

 

「ハァ…久しぶりに笑った気がするな……」

 

「ハッハッハ…俺もだ」

 

「万象黙示録完成のためにどんどんコキ使っていくとしよう。覚悟しておけ海斗。」

 

「お手柔らかにたのんますよキャロル。」

 

また2人でひとしきり笑い合い、そのあと街に遊びに行ったりしてシャトーへ帰りました。

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