ニートだった俺がヤクザの大幹部!?   作:セパさん

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・裏世界ラボ別館様より【性別が逆転した話】の二次創作です。リンク下記

https://www.youtube.com/watch?v=Mfg5TCDwqp0

・タグにはついていませんがTSものです。苦手な方はバックしてください。


職務と友情と……

 みなさんこんにちは、今川組若頭補佐牧村ユタカ……改め牧村ユカです。

 

 俗に言う【女体化】が起こって一体どれだけ経ったのか、最近では〝お花摘み〟と言う言葉が自然と出てきたり、男の人が近づいてきた時〝あ、この人ナンパ目的だ〟と第六感が働いたり、肉体に引っ張られるよう精神が侵されはじめ、恐怖を覚える毎日です。

 

 最近では非公式ファンクラブなんてサイトまで立ち上がり、隠し撮りの写真――しかも小塚に聞いたら「俺が撮った写真じゃないっすね」と――が数十万円で転売されていると聞いた時は膝を折って泣きそうになりました。

 

 まぁそんな日々が続いている訳で、ヒロは暴走するし、カジは洗濯物などを気まずそうに行うので今までのような暮らしは難しいと判断し、今は同じく【女体化】の被害者である槙野君と暮らしています。とはいえ俺の生活が平凡になったという訳でもなく……。

 

「窓ガラスの振動を拾って音声信号を送る、レーザー型の盗聴器の可能性が高いな。一応室外内の検査は全て行ったが、盗聴器が設置されている反応は無い。ここまで来ると警察よりも探偵の領分になるかもしれん。振動を遮断させる盗聴防止の商品は数あるから何個か見繕ってみるといい。」

 

 この人は鷲尾章宏(わしおあきひろ)さん。警視庁組織犯罪対策部、暴力団員を相手にするのでマル暴とも呼ばれる刑事さんだ。え?なんで暴力団員が警察に通報しているのかって?非公式ファンクラブのサイトに明らかにプライベートな会話の録音が流出するという大事件があったから!

 

 ヒロに伝われば暴走するのは火を見るよりも明らかだし、野口さんに伝えればこれが原因で界転組との火種になれば嫌だし、とりあえず警察(鷲尾さん)を間に挟むことにした。

 

「あ、ありがとうございました。兎に角ガラス窓の部屋を対策してみますね。」

 

「レーザー盗聴は1km先からでも音声を拾う事が可能だからな。一番簡単な対策は音楽を大音量で流す事だ。被害届はどうする?俺が言うのも情けないが、この手口だと、まず犯人は見つからないと考えてくれ。それに牧村の立場なら、他の組との関係に余計な軋轢を生むかもしれん。」

 

「そっかぁ。じゃあ、被害届は止めておこうかなぁ。」

 

「……にしても、暴力団員、それも若頭補佐が警察に〝自宅を隅々まで捜査してくれ〟なんて依頼、前代未聞だぞ。何か見つけたらどうしようかこっちがビクビクしたわ!」

 

「あはは、御迷惑おかけしました。」

 

 もちろん見られてはマズイ【道具(けんじゅう)】や裏帳簿などは全部隠蔽(いんぺい)している。鷲尾さんもあくまで〝盗聴の被害者女性〟として取り扱ってくれ、ガサ入れのような乱暴なことはせず、金属探知機や盗聴電波を拾う機材で部屋を丁寧に調べるまでにとどめてくれた。

 

「それにしても部屋住みたちは休みか?いくら俺だろうと……いや俺が警察だからこそ絶対にお前を一人にはさせないと思っていたんだが。」

 

「ああ、流石にこの身体になっちゃってから色々気まずく、必要な時だけ来てもらう形にしているんです。」

 

 ここであえて槙野君の情報を言う必要は無いだろう。俺は嘘でもなく、かつ真実でもない話で鷲尾さんの疑問をはぐらかす。

 

「じゃあ今は一人で居ることが多いのか。まぁこのマンションはセキュリティがしっかりしているから大丈夫だとは思うが……」

 

「そうだ鷲尾さん!前Barで話した時、警察独自の逮捕術っていうのがあるって言ってましたよね。俺もちょっと習ってみたいです!」

 

「確かに逮捕術は暴漢から身を守る護身術の要素もあるが、〝生兵法は怪我のもと〟というように格闘技は一朝一夕で身につくものでもないぞ。でもまぁ初歩的なものならば教えるのも(やぶさ)かじゃないが……」

 

 鷲尾さんは俺を上から下まで眺め、やや気まずそうにつぶやいた。

 

「とりあえず動きやすい服装に着替えてくれ。流石にスカートとベルスリーブ姿の女性に荒事を教える気にはなれん!」

 

「ああ!滅茶苦茶感覚麻痺してた!」

 

 

「さて、護身術で一番手っ取り早く、尚且つとても有効なものが……」

 

 鷲尾さんはスエット姿に着替えた俺の顔面へ向かって目にも止まらぬ速さで鞭のように腕をしならせ、手の甲を両目の寸前で止めた。腕に注視していたので気が付かなかったが、片足が俺の太ももの前で止まっておりダボダボだったスエットから風圧を覚える。

 

「目潰しと金的蹴りだ。どちらもスポーツ格闘技の試合では反則だろう?逆を言えばどんな大男だろうと、この技さえ決めてしまえば大抵は悶絶して動けなくなる。」

 

「なるほど!これなら手っ取り早く覚えられそうですね。」

 

「突き・蹴り・投げ・締め・縛法や施錠術は身につけるまで年単位の時間がかかるが、これなら少しコツを覚えれば簡単だ。まず目潰しだが、手の甲と指でハエをはじくように相手の眼を狙う。次に金的を蹴るときは 膝を上げる、足を伸ばす、引く の動作をなるべくスムーズに行う。つぶすことが目的じゃなく、揺さぶるように……」

 

「なるほど、こんな感じですか?」

 

「おわ!!」

 

 俺は先ほどの鷲尾さんの模倣をして目と股間に向かって同時攻撃を行ってみた。その瞬間、鷲尾さんの血相が変わり、俺の腹部に強烈な蹴りが飛んでくる。俺はそのまま壁まで吹き飛んでしまった。

 

「うはあ!」

 

「す、すまん!牧村、大丈夫か!?」

 

「いてててて、ちょっと擦りむいたかも。この身体(もろ)くて本当に。」

 

「い、言い訳になるがお前は本当に人の不意を突くのが上手いな。危うく本気で食らいそうになった。すまないかなり本気で反撃したので痛むところはないか?」

 

「う~んどうでしょう?」

 

「少し触るぞ。肋骨などは折れていてもすぐには気が付かないからな。」

 

「あ、はい。」

 

「……いや、本当に済まない。謝罪で済むことでは無いな。公僕である俺が意味なく人を傷つけるなど。」

 

「何を言っているんですか、〝格闘技指導中の不慮の事故〟ですよね。なんてことありませんよ。」

 

「いや、しかし。」

 

「鷲尾さんは頭が固すぎますって。ほら、触られてもどこも痛みませんし、大丈夫です。」

 

「……そう言ってくれると助かる。しかし擦りむいた傷、傷。あの……ううん。」

 

「 ? 」

 

「わるい。救急箱はあるか?それを探してくるので、その間に、その、胸くらいは……隠しておいてくれ。」

 

「あ!!」

 

 その後俺は鷲尾さんに傷口へ軟膏を塗ってもらったが、お互い気まずい空気が流れたままで、どのように会話の糸口を見つけようか散々に悩む羽目となった。




 お蔵入りにしていたとてもハーメルンには載せられない二次創作小説の一部公開を始めてみました。もし興味のある方はTwitterID【https://twitter.com/takaomi_sepa】へメッセージを下さい。
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