・キャラ崩壊注意です
「何が激アツだこのクソ台がよぉ!ああ!」
形相を憤怒に染めレトロなスロット台に握りこぶしを振りかざそうとしていた男は、辛うじて理性が働いたのか、そのまま振り上げた拳を宙に浮かせて自分の膝に叩きつける。
「今日だけで40万溶けてんだぞ!?本当に当たんのかこれ!?おい店員、こっちこいコラ!」
サングラス姿に白スーツ、柄物のYシャツ姿といった如何にも反グレといった風貌。しかし瞳の奥底には知性を感じさせる不思議な魅力を持った男だった。
「お客様、申し訳ございませんが他のお客様のご迷惑になりますので……。」
「あぁ?こっちはここ1週間で200万溶かしてんだぞ!?文句の権利も無ぇのかよ!」
その後も男は店員に怒りをぶつけ続け、店員はひたすらになだめていく。……そんな様子を大勝している一人の男、何千……万枚に届こうかという
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何重にも厳重なセキュリティが施されているビル。メダル1枚50円~100円での賭け――正規店では1枚20円――を行っている、俗に言う闇スロの店を出たサングラスの男は悪態をつきながら帰路につく。そんな時、後ろから男に声が掛った。
「よぉ、災難だったな兄ちゃん。」
「あ?何だ、テメェ?」
「さっき店に居たんだよ。やりとり見てたぜ。」
「ああ、万枚近く出してた野郎か……。なんだ?俺を笑いに来たのか?」
「まぁ、そう早とちりするな。そろそろタネ銭も限界だろ兄ちゃん。良い儲け話があるんだ。日当で5万円出す。2~3時間の仕事で、場合によっちゃ20万にもなる。どうだ?」
「……胡散臭ぇなオイ。」
「ここなら人もいないし……。まず結論から教えてやる。あの店で普通に勝つのは無理だ。というよりも、この界隈の闇スロ全般だがな。」
「はぁ?俺が初見で行った時は70万勝ったぜ?」
「全く、ちょっとは頭が回るヤツだと思ったんだが見た目だけかよ。裏モノだよ、B盤面ともいう。」
「あの店が遠隔操作やってる……。ってことかぁ?」
「それもあるが、似ているようで違うな――」
男の話はこうだった。
① スロットには4号機という一度大当たりすると止まらない爆裂機がある――現在一般のパチンコ屋で打てる機種は6号機だ――。その中でも【大当たり】のフラグを獲得してもメダルが放出されず、【大当たり】をストックしていくものが、【裏モノ】と呼ばれる基盤である。
② 何十・何百もストックされた【大当たり】がいっぺんに放出されるにはいくつかの条件を満たさないといけない。そして一度【大当たりストック解放】フラグを引けば、1度の大当たりで何千・何万枚のメダルを手にすることが出来る。
③ そのストック放出条件とは本来ランダムなのだが、店の遠隔操作も可能であるそして……
「その放出を客側で無理やり行う方法がある……。てめぇゴト師か?」
「最近正規の店はどこも厳しくてな。」
「にしたって、こんな店だ筋者絡みだろ。日当5万の打ち子じゃ割に合わねぇよ。」
「安心しろ、いくつかの店では店長とも話を通して勝ち分を折半してる。よほど下手を踏まない限り、ヤーさんも気がつかない。」
「ほぅ……。おめぇ、顔が広いんだな。」
「この辺は界転組っていうヤクザが仕切ってんだが、組員たちは反グレ上がりだから金で黙る。良い狩場なんだよ。」
「はぁん、わかった。その話乗ろうじゃねーか。連絡先はラインでいいか?住所や名前、携帯番号はいいのか?」
「ああ、構わん。くれぐれも他言無用だぞ?俺に会ったこともな。」
「当然だ、〝他言無用〟……。良い言葉だな。」
「 ……? 」
疑問符を浮かべるゴト師に対し、男は微笑みを浮かべ、誰にも聞こえない様な音量で静かに呟いた。
「ナントカは何も喋らない……と言いますので。」
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「……ふぅ。」
「おい、黒瀬。何だその恰好?」
「ああ、頭の悪いカモを演じようと思いまして。あなたのファッションセンスを模倣させていただきました。わたしの普段の恰好では引っかかりませんので。」
「喧嘩売ってんのか?」
「いいえ、改めてあなたのセンスに
「んで、俺のコスプレして楽しんでた理由はなんだ?気持ち悪いなぁ。」
「本当に気持ちの悪い話です。そういえばもうすぐあなたの誕生日だった。何ならば喜ぶだろうと、考えていたまでです。」
「はん、テメェが何をくれるってんだ?」
「そうですね……」
黒瀬は爽やかな笑みを浮かべて答えた。
「……新鮮なお肉。なんてのは如何でしょうか?」