ニートだった俺がヤクザの大幹部!?   作:セパさん

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・本作品は公式ではありません。そのためキャラクターの性格等も誤っていることがあります。

・筆者はミリタリーについて門外漢ですので、銃の知識で間違いがあればご意見ください。

・以上をご注意の上お読みください。


部屋住みの成長

「カシラ、キャバクラで暴れてたバカですが戸山さんが(ナシ)つけてくれやした。戸山さんはこのまま遊んでタクシーで帰るそうです。んで対応した譲なんですが、かなり傷心しちまってるみたいで、俺がそのまま話聞きながら送っていこうと思うんですがいいですか?在日の子みたいで、中国語の話で少し盛り上がったんすよ。」

 

「ああ、好きにしろ。間違えても手ぇ出すんじゃねぇぞ。」

 

「当たり前っすよ。帰りに買ってくるものありますか?」

 

「今んとこは……ねぇな。ゆっくり話聞いてやれ。じゃあな。」

 

 今川組若頭野口は耳に当てていたスマホを外して通話終了ボタンを押し、そのまま閉眼して腕を組んだ。

 

「俺の人を見る目も曇ったか?……いや、牧村(あのバカ)の影響だな。」

 

 今さっき通話していたのは今川組の部屋住み、加地小次郎。カジの愛称で親しまれており、仕事着は白のジャージ姿。【チンピラ】という言葉が服を着て歩いているような外見をしており、部屋住み当初は内面も反グレ上がりそのもので、とても〝出来た人間〟とは言い難かった。

 

 そのため野口はカジに重要な仕事を割り振ることはなかったし、他の部屋住みには必要に応じて持たせている道具(けんじゅう)や大金の入った封筒を預ける信用も無かった。そもそも野口の考えだと、カジは部屋住み中に根を上げて辞めるか、組の金に手を付けて逃げたなら、それで脅し鉄砲玉要因にして服役してもらうくらいしか使い道は無いと思っていたのだが……

 

「……この前シマにいる中国人の反グレ集団(ガキども)とやった会合の議事録まとめたのもカジだったな。」

 

 極道の世界において議事録……5W1Hに則りどのような会話がなされたかまとめる仕事は、本来部屋住み(ごと)きが行える簡単な仕事ではない。裏家業の人間とは一言一句・一挙手一投足に難癖(アヤ)をつけて金にするのが仕事のようなものだ。

 

 そのため言質をとられないよう、後々トラブルとならないよう〝言った言わない〟をまとめる仕事にはかなり優秀な人材とそれなりの役職の人間が選ばれる。

 

 もちろん〝部屋住みが作りました〟なんてことそのものが相手を侮辱(ぶじょく)しているともとられかねないので、議事録の筆者は今川組若頭補佐牧村ユタカの名前になっている。

 

 しかし日本語で行われた会合だったが、向こうの中国語での密談やボイスレコーダーでさえ拾えない声までカジが記憶し文章に(したた)め、更には相手に文句を言わせなかったと意気揚々と自慢してきたのは牧村ユタカ本人だ。

 

 完全にこっちを舐め切っていた相手に一泡吹かせた事実に野口自身も爽快感を覚えそうになるが、牧村の術中にハマるようで(しゃく)なため、なんとか根性だけで心を落ち着かせる。

 

「そろそろあいつの評価を改めねぇといけねぇか。」

 

 野口がそんなことを考えていると事務所の電話にワンコールが鳴る。防犯カメラでカジが一人であることを確認し、そのまま開錠を見届けた。……もし電話が無かったり、他の誰かが映った場合防弾シャッターが閉まる仕掛けとなっている。

 

「カシラ!ただいま戻りました!」

 

「おう、女と遊んできたにしちゃ早すぎじゃねぇか?」

 

「勘弁してください、店の嬢に手は出しませんよ。俺が枯れてるようなこと言わないでください。」

 

「……お前、【床下】については知っているよな?」

 

「はい、【床下】……つーかぶっちゃけ〝武器庫〟件〝薬箱〟のことですよね。」

 

「カジにゃ教えてなかったが、暗証番号教えてやる。とはいえ全部じゃねぇ。見つかっても3年程度の懲役で済むものに限りだ。」

 

「あの若頭、サラっと怖いこと言うのやめてもらえます?」

 

「お前実際道具に触ったことはねぇよな。部屋住み仕事は山本に代わってもらう。一緒にこい。」

 

 

 ●

 

 

牧村(あのバカ)に最初持たせたのがコルト・ガバメントって言う……まぁ解りやすく言えば第一次世界大戦から100年以上使われていた素人でも扱いやすい銃なんだが、日本人の体格には反動が大きすぎるし、経口も大型で簡単に人がヤれちまう。だからお前にはもう少し小型のものを渡す。」

 

「アニキんなもんで人撃ったんすか……。」

 

「カジはヒロほど大柄じゃねぇし目的も護衛と護身だ。自動小銃くらいが丁度いいだろ。そこの丸太狙ってみろ。」

 

「はい!……あ、外れた。」

 

「結構難しいだろ?ゴ〇ゴ13の世界なんかじゃ1km先の眉間を撃ち抜くのが当たり前だが、動く的なら本職の軍人でも100mも距離がありゃじゃしくじる事が多い。そもそもオリンピックの射撃選手でさえ、300m先の的を外すこともあるんだからな。」

 

「……これを練習なしに成功させたアニキって凄いっすね。」

 

「まず引き金は引くんじゃねぇ、絞るように意識しろ。弾道がぶれる。あと咄嗟のときは狙いを定める時間は無駄だ、兎に角相手の何処かに当てる事だけ考えろ。」

 

「はい!」

 

「メンテナンスも怠るなよ?暴発した日には破門じゃ済まされないからな。」

 

 

 ●

 

 

「アニキ、ヒロと交代しました。メシはどうしますか?」

 

「ああ、上のコンビニで新作のポテチ買って食べたから大丈夫だよ。」

 

「そんな生活してたらまたヒロからあーだこーだ言われますよ。って……。」

 

「すん、すん。んん……?カジ、この辺で花火でもやってた?」

 

「あ~、そうっすね。事務所に爆竹投げたバカの世話したり本当今日は散々っしたよ。」

 

「そっか、お疲れさまだね。」

 

 牧村はそのままカジの肩に手を置いた。

 

「今度銀座でスーツ見に行こう?いい人知ってるんだ。ね?」

 

 カジは改めて、この人だけは敵に回してはいけないと心に誓った。

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